連載 中学受験の「新」常識

中学受験は特別なものではない|下剋上受験著者 桜井信一さんに聞く 中学受験の「新」常識【1】

専門家・プロ
2020年12月23日 ハルカ

中学受験は賢い子だけのものではない。普通の子こそチャレンジすべき。この連載ではいままで当たり前だと思ってきた中学受験の常識を見つめ直します。著書『下剋上受験』や『下剋上受験塾』で多くの受験生とその保護者から支持を集める桜井信一さんに、中学受験の常識についてお話をうかがいました。
桜井信一

オンライン塾「下剋上受験塾」主宰。中卒の両親のもとで育ち、自らも中卒になる。 娘の下剋上のために一念発起して小5の勉強からやり直す。塾には行かず、父娘の二人三脚で偏差値を41から70に上げ、100%不可能とされた最難関中学「桜蔭学園」を目指した。その壮絶な受験記録を綴った『下剋上受験』はベストセラーに。 2017年1月には待望のドラマ化。学習講座「桜井算数教室」「国語読解記述講座」では、のべ2000人の親子が参加し人気を博した。2020年、オンラインの「下剋上受験塾」を立ち上げた。

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下剋上受験塾

普通の子ほど中学受験をすべき

――最初にズバリお聞きします。勉強が苦手な子でも中学受験をしていいのでしょうか。

はい、むしろ勉強が苦手な子ほど中学受験をすべきだと思います。興味がない人にわざわざすすめるようなことはしませんけどね。少しでも検討していて子供が前向きに取り組めそうなら絶対に挑戦すべきです。

勉強は中学生になってから頑張るという考えもありますが、勉強って基礎が多い。その基礎的な勉強は小学生の範囲です。

中学と高校の勉強って、難易度からすると、本当は中学2年高校4年の内容だと思うんですよ。それを中学3年高校3年のペースで進められるのは一部の賢い子だけですよ。だから普通の子ほど中学受験をして、じっくり6年かけて大学入試に備えるべきなんです。

――共働きでなかなか子供を見られないというご家庭でも中学受験にチャレンジできるでしょうか。

私は親が仕事をセーブしてでも中学受験はすべきだと思っています。たとえそれで一時的に収入が減って支出が増えたとしても、子供にとってはそれ以上の価値があります。どれだけ幸せに生きられるかが変わってくるんですよ。

ほとんどの仕事において親の代わりは必ずいます。でも子供にとって親の代わりはいないんです。つきっきりで見てあげることが無理ならアウトソーシングでも構いません。家庭教師という意味ではなく、近所の大学生にお願いするとかでいいんです。

親のお金、もしくは時間を投資して子供を見てあげるという気持ちが大切なんですよ。

リタイアせず最後まで走り切ろう

――中学受験で難しそうならいったんあきらめて高校受験にかけようというご家庭もありますよね。

たとえばプロゴルファーになりたいからゴルフを頑張るというようなビジョンがあるならいいですよ。でも無理そうだからやめて後で頑張るというのはよくないでしょう。お金があるなら最後までやるべきです。

私の親も「子供は痛い目を見たほうが成長する」という考え方でしたけど、私はそれで目を覚ましませんでしたからね。受験をあきらめることが子供の成長につながるとは思えません。

――中学受験を走り切るのはそれだけのメリットがあるということでしょうか。

もともとは人生を変えるという気持ちで中学受験をした私たちですが、受験を乗り越えて私立に入った今は、中学受験をしたことの価値をさらに大きく感じています。

とくに私立校には華やかさがあるんですよ。豊かさの本質がわかっている子供たちばかりです。受験をせずに公立に入っていたらこの環境は味わえなかったでしょう。豊かさとそこから感じる人生の楽しみ方を知るためにも、ぜひ頑張ってほしいですね。

偏差値は人気のバロメーター

――中学受験をするならやはり難関中を目指すべきでしょうか。

もちろん目標は高いに越したことはありません。でも難関と言われるところでなくともいい学校はあると感じます。

いい学校とはたとえばいじめへの対応が早いなど子供が安心して過ごせる環境が整っているところです。多才な子がたくさんいるなかで生活するというのもいい刺激になるでしょう。
だからといって勉強しなくていいってことではないですよ。学校を選べるだけの力を身につけましょう。それに偏差値は人気のバロメーターです。高い偏差値を保てるのは人気があるというなによりの証拠ですからね。

コロナ禍の今こそ自分を見つめなおそう

コロナ禍で私も「桜井算数教室」の講座が開催できなくなり、オンラインの「下剋上受験塾」を開設しました。実際にやってみると、いろいろなことが見えてきたんですね。

今まで当たり前だと思っていたあれやこれやを改めて考えさせられたというか……。働き方や満員電車など、「いつかは解決しないと」と思いつつ、なあなあにしていたことを考える機会なんじゃないでしょうか。

それは受験も一緒ですよね。学習方法や塾の通い方を見直すいい機会だと思います。私もオンライン塾をやってみて、今までの学習が抱える非効率さに気づきました。ぜひこの機会に大人も子供も自分を見つめなおしてほしいと思います。

※記事の内容は執筆時点のものです

桜井信一
桜井信一 専門家・プロ

オンライン塾「下剋上受験塾」主宰。中卒の両親のもとで育ち、自らも中卒になる。 娘の下剋上のために一念発起して小5の勉強からやり直す。塾には行かず、父娘の二人三脚で偏差値を41から70に上げ、100%不可能とされた最難関中学「桜蔭学園」を目指した。その壮絶な受験記録を綴った『下剋上受験』はベストセラーに。 2017年1月には待望のドラマ化。学習講座「桜井算数教室」「国語読解記述講座」にはのべ2000人の親子が参加し人気を博した。2020年、オンラインの「下剋上受験塾」を立ち上げた。

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ハルカ
この記事の著者

大手進学塾で6年間国語講師を務め、塾では主に5,6年生を担当。偏差値20台の勉強しない子供から、御三家に合格するレベルの子供まで幅広いレベルを受け持ちました。モットーは「無理なく楽しく効率的に」。

現在は中学受験を応援する個人サイトを運営。教育系webライターとして教育系、子育て系サイトでの活動も行っています。

中学受験アシストブック
https://assist-book.com

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