中学受験ノウハウ 親の関わり方

【1学期】夏休みまでに意識したいわが子への声がけ

2021年3月30日 山口友美

中学受験成功には、子供が自分から「勉強しよう」という気持ちになることが欠かせません。なので、親としては、子供が机に向かう気持ちを後押しする言葉を掛けてあげたいものですよね。今回は受験生にとって大切な夏休みを迎える前に意識したい声がけを紹介します。

どうして声がけが大切なの?

受験勉強の“天王山”ともいわれる、夏休み。勉強にとことん集中できる貴重な期間ですが、この夏休みを少しでも有意義なものにするためには、子供が机に自発的に向かう姿勢を1学期の間につくっておく必要があります。このときカギを握るのが「保護者の声がけ」です。

そもそもどれだけモチベーションが高く、自発的に勉強できる子でも、中学受験を子供ひとりだけで乗り越えることはまず不可能です。悩んでいるとき、モチベーションが下がっているとき、成果が出ないとき ――。こうした状況を前にして、多くの子はひとりで解決していく術(すべ)を持ちません。こうしたときに、子供が自分の気持ちを“軌道修正”していくうえで、保護者の声がけが大切な役割を果たします。特に学習習慣がまだ確立できていない子の場合には、声掛けを強く意識してあげてください。

声がけのポイント

夏休みを控えた1学期は、特に子供への声がけが欠かせません。しかし、ポイントを押さえないと逆効果になってしまうことも。次の3つを踏まえ、子供自身で意欲的に勉強に臨めるような声がけをしてあげましょう。

・考えさせる質問をする
・ポジティブな声がけを意識する
・注意は二言目から

考えさせる質問をする

自分から宿題に取り組めない子や、そもそも何をすれば良いかわからなくなっている子は指示待ちのことが多いものです。こうした子は、日頃から「自分で考える」という習慣がないことがほとんど。保護者としては何も考えていないように見える子に対してしびれを切らし、何度も勉強の指示を出してしまうかもしれません。しかし親が指示を出せば出すほど、子供はますます自分で考えられなくなる……といった悪循環に陥ってしまいます。

そこで声がけをする際は、まずは子供自身に考えさせる言葉を掛けてあげてください。このとき大切なのは、YESかNOで答えられる質問をしないこと。「学校で楽しかったことはあった?」「塾の宿題はどの科目が大変だった?」といったように、子供が答えを考えないといけないような質問をしてみましょう。

こうした質問をしても、はじめのうちは返事が遅かったり、答えの選択肢を出してあげないと答えが出なかったりするかもしれません。しかしここで諦めず、粘り強く質問してみてください。何度も質問を重ね、自分の言葉で子供が答えられるようになっていくと、考える力が少しずつ子供につき、「今なにをするべきか」といったことも子供自ら考えられるようになっていきます。

ポジティブな声がけを意識する

「勉強しないとテストでいい点とれないよ!」といった声がけをしていませんか? こうした“ネガティブな声がけ”は、子供の自己肯定感を下げてしまう原因のひとつ。自己肯定感を高めるためにも、できる限り“ポジティブな声がけ”を心がけてみてください。たとえば次のように、目の前の課題を終わらせると次にどんな良いことがあるか伝えるのもおすすめです。

・早めにテスト勉強して満点とろうね!
・宿題終わらせたらいっぱい遊べるよ

ポジティブな声掛けをするときのポイントは、「or(さもないと)」ではなく「and(そうすれば)」を意識すること。楽しそうなことが待っているイメージが湧くと、子供は目の前の課題に前向きに取り組めるようになります。

あくまで子供の味方で

なお、ネガティブなことばかり言われている子は、親などに対して「隠しごと」をしがちです。怒られたくないからテストの点数を言わないようにしたり、わからない問題があることを隠したり……。こうした状態になると受験勉強は良い方向に進んでいきません。しかし、子供も悪気があって隠しているのではなく、「怒られるかも……」といった気持ちを抱え、「どうにかしないと」と焦った結果として隠してしまうことが多いのです。

そこで、もしも子供が何か隠しごとをしている様子が見られたら、「私はあくまで子供の味方」といったスタンスで子供に声を掛けてあげてほしいと思います。「一緒にがんばろうね」「応援してるよ」「できると信じてるよ」といった声がけを意識的に増やしてみてください。「もう勉強したくない!」と子供が弱音を吐いたときもドンと受け止める、こうした広い気持ちを目指したいですね。

注意は二言目から

「受験生だからできて当たり前」という気持ちや、「なんとか合格してほしい」という気持ちから、子供への声がけが厳しくなってしまう保護者の方は少なくありません。しかし厳しいことばかり言われ続けると子供は委縮していき、むずかしい年頃のため言うことを聞かない子も出てきます。

そこで、まずはほめることも意識してみてください。注意したい気持ちをグッとこらえ、子供の頑張りをほめてあげるのです。そのあとで「見直しをしていたら満点取れたかもね」「ケアレスミスが少し惜しかったね」と改善してほしいことを伝えます。頭ごなしに怒られていたことで聞く耳を持たなかった子であっても、まずは頑張りを認められたことで素直に耳を傾けるようになります。

子供のやる気を伸ばそう

中学受験に合格する家庭はさまざまですが、塾講師としての経験からすると、受験に失敗しがちな家庭には共通点があることがわかります。それは、子供への声がけが上手くいっていないこと。子供と日々接するからこそ、ついついネガティブな言葉をかけてしまうこともあるかと思いますが、一言一言に気をつけて声をかけていくと子供のモチベーションが大きく上がっていくことを感じられるはずです。受験生にとって大切な夏休みは、あっという間に訪れます。少しでも良いモチベーションで夏を迎えるためにも、意識的に声をかけていきましょう。

※記事の内容は執筆時点のものです

この記事の著者

関東の大手進学塾にて中学受験算数を10年担当。教室責任者も務め、難関校をはじめ幅広い成績の生徒の授業と併願指導をおこなう。現在は1歳の子供を育てながらフリーライターとして活動中。塾講師経験と自身の保育士資格取得経験も活かし、保育関連記事や中学受験、知育関連の記事を多数執筆。