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5月26日はスーパームーンの皆既月食! 今シーズン親子で見たい天体イベント|なるほどなっとく 中学受験理科

専門家・プロ
2021年5月12日 水溜 兼一(Playce)

学習範囲が広く、難しいイメージがある理科の中学入試問題。難関校に多くの子どもを合格させてきたカリスマ講師・小川眞士さんが、子どもの理科力を育むためのヒントを伝えます。

入試理科では、理科的思考力が求められます。子どもの理科的思考力を養うためには、普段から身の回りのいろいろな事象に興味を持ち、その原因を理科的視点で捉える姿勢が大切です。今回は、さまざまな事象のなかから「天体」にフォーカスして、小川先生にお話いただきます。

2021年5月26日は、「スーパームーンの皆既月食」

皆さんは子どもと一緒に夜空を見上げて月や星を観測したことがありますか? 入試では月や惑星、星座についていろいろな問題が出題されますが、実際に観測した経験があると、問題を解くときにイメージしやすくなります。特に普段なかなか見られない天体現象はぜひ観測してみてください。今年の大きなトピックとして、5月26日に「皆既月食」があります。

月食のイメージ。月が赤銅(しゃくどう)色に見えます

月食とは、太陽、地球、月がほぼ一直線に並んだときに、満月が欠けて見える現象です。欠けて見える理由は、太陽の光が地球に当たったときにできる地球の影に満月が入るからです。このときの影には、「半影」と「本影」があります。薄い影の「半影」に満月が入っても、太陽の光は満月に当たるので見え方はいつもとほぼ変わりません。それに対して、太陽光が遮られた「本影」に満月が入ると欠けて見えます。

ちなみに満月が本影の一部にしかかからないのが「部分月食」、本影にすっぽりと隠れるのが「皆既月食」です。

皆既月食の月の動き

月が地球のまわりを回る公転軌道面と、地球が太陽のまわりを回る公転軌道面が約5度ずれているので、満月の時に太陽、地球、月がほぼ一直線に並ぶことはめずらしく、皆既月食はなかなか見られない現象です。皆既月食の際、月は地球の本影に対して西(右)から東(左)に動くので、満月は東(左)から欠けることになります。また、地球の本影の直径が満月の約3倍なので、欠けている部分の曲線は、満月の円に対してゆるやかになります。

皆既月食は、満月が地球の本影に入ると欠け始め、完全に本影に入って隠されると赤銅(しゃくどう)色に見えます。読者のなかには、真っ暗になって月が見えなくなるのでは?と思われる方がいらっしゃるかもしれません。じつは、太陽光は波長の短い青色から、波長の長い赤色までさまざまな色の光が合わさってできています。地球の大気を通る際に波長の短い青い光は散乱してしまい、散乱しにくい赤色が残り、これが月に当たるから赤銅色に見えるのです。なお、日の出や日の入りに、朝焼けや夕焼けが起こりますが、これも太陽光が大気中を時間をかけて通過するため、青色光は散乱して赤色光だけが残るからです。

5月26日の「皆既月食」は、「スーパームーン」であることも特徴です。スーパームーンとは、地球と月が最も近づくときに見られる、一年で最も大きな満月です。ちなみに地球と月が最も離れたときに見られる満月は「マイクロムーン」といいます。肉眼では、マイクロムーンよりスーパームーンは直径が約14%大きく、30%ほど明るく見えます。このように満月の大きさが変わるのは、月の公転軌道が円ではなく楕円なので月が地球に近づくと大きく、遠ざかると小さく見えるからです。

下図は、東京における皆既月食の時間と変化を示しています。普段見るよりも大きい満月がどんな風に欠けたり満ちたりするのか、満月が完全に欠けたときにどのように見えるのか、ぜひ観察してみてください。

月食は特別な天体現象ですが、普段、月を見るときは、時刻と方角、観測地点を決めて定点観測すると、月の動きが掴みやすくなります。時間としては、あまり明るいと見えづらいので夜の9~10時頃、方角は南がおすすめです。皆既月食の前後1週間ぐらいを観察してみると月の変化がより分かると思います。

これからの季節は北斗七星、木星、土星の観測のチャンス

星座でこの時期にぜひ観察してほしいのがおおぐま座の北斗七星です。塾のテキストや試験でもよく取り上げられる星座ですが、自分の目できちんと見たことがある子は多くありません。北斗七星は、5月5日の20時には北極星のほぼ真上にあります。

そこから、1か月に30度ずつ反時計回りに移動します(年周運動)。北極星は真北に輝く星で高度は観測地点の緯度に等しいので、真北の地平線の上、約35度の方向にあります。北極星の明るさは2等星で、晴れた夜空ならばすぐに見つかります。その北極星の上を見上げることで北斗七星は見つけやすいと思います。7つの星の幅が実際はどれくらいなのか、そのスケール感を感じてください。北極星は、常に同じ場所にあって移動しません。ですから、北極星を中心に他の星がどう動いているのか、観測地点と時間を固定して、一定期間調べてみると星の動きが体感できます。

惑星については、木星や土星が、夏の星座のみずがめ座とやぎ座の付近に位置するので、今年の8月から9月によく見えます。

星を観測するには、方位磁石(スマホのアプリでも可)、双眼鏡、星座早見盤が必須アイテムです。星座早見盤は星を見つけるのにとても役立ちますし、使い方が入試で問われることもあります。実際に使って親子でいろいろな星を見つけてみてください。

■関連リンク
皆既月食(2021年5月) | 国立天文台(NAOJ)


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※記事の内容は執筆時点のものです

小川眞士
小川眞士 専門家・プロ

小川理科研究所(東京都豊島区)主宰。都内の中学校教諭を経て、四谷大塚進学教室理科講師に。開成や桜蔭の特別コースを約25年間担当、コース生28人全員が開成中学に合格した実績を持つ。教務主任や副室長も務めた。2009年4月に小川理科研究所を開設。主な著書に、『中学受験 理科のグラフ完全制覇』(ダイヤモンド社)、『これだけ理科』(森上教育研究所スキル研究会)、『カンペキ小学理科』(技術評論社)がある。

この記事の著者

雑誌・新聞の編集・ライターを経て、現在は、通信教育企業のキュレーションサイトや大学案内のライティングなどを担当。