中学受験ノウハウ 親の関わり方

親が勉強を教えるときの「落とし穴」。ふたりの子供の受験を経て見つけた対処法

2021年9月07日 山根厚介

一般的に、塾では子供一人ひとりの細かな苦手分野までは目が行き届きません。そのため、子供が苦手な科目を家庭で教えることも多いですよね。たしかに親が子供の苦手をカバーできれば心強いですが、教え方によっては子供が混乱してしまうことも……。では、親はどうやって勉強を教えれば良いのでしょうか? 長男の中学受験を経験し、現在は次男の中学受験をサポートする私自身の経験をもとに、親がついついやってしまいがちなこと、そしてその対処法を紹介します。

私がはまった“落とし穴”

私自身、中学受験を経験していることもあり、良かれと思ってわが子に教えようとしたつもりが、かえって子供を混乱させてしまうことが度々ありました。特に私の場合は、主に算数と理科で次のような“落とし穴”にはまってしまったのです。

私がはまった“落とし穴”
算数……数学の考え方を持ち出してしまった
理科……自分の常識を押しつけてしまった

【算数】数学の考え方を持ち出してしまった

中学受験の算数は“独特”です。正直、親としてはつるかめ算や消去算などをするよりも「方程式を使ったほうが早くない?」と思えることも多々ありましたが、そこはぐっとこらえ、算数の計算問題を子供に教えるときは方程式を頭から消し去るように気をつけていました。

このように、「方程式は算数ではなく数学の知識だ」と自覚があるぶんにはまだ良いのですが、こうした自覚がないときが危険です。たとえば私の場合、「逆算」を教えたときがまさにそうでした。逆算が苦手だった長男に対し、「左辺から右辺へ移項すればいいじゃん」と教えてしまったのです。このときの私は、「移項」が数学的な考え方であることに気づいていませんでした。もちろん長男は「左辺? 右辺? なんで左から右へ勝手に動くの?」と混乱。これは、当然ですよね。そもそも逆算についてよくわかっていなかったところに、塾の教え方とは違うやり方を父親が持ち出してきたのですから……。

そして子供の反応が「どうもおかしいな」と思った私は、塾のテキストを読み直すことに。その結果、自分の教え方に“数学的な考え”が入っていることに気づいたのです。

[対処法]算数的思考をするように気をつけた

私はこの出来事以来、子供に算数を教えるときは、あらかじめ塾のテキストを読んだり、ネット上の中学受験サイトで教え方を調べたりして、数学的思考から“算数的思考”に意識的に切り替えるようにしています。そして教えるときは、子供の様子をよく観察するようにもなりました。たとえば、教えたことが理解できていないように感じたときは、「数学的思考が入っていたかな?」と疑うようにしています。

【理科】自分の常識を押しつけてしまった

算数以外にも“落とし穴”がありました。それは、長男に理科を教えたときのことです。息子は昆虫や植物がなかなか覚えられませんでしたが、何度も同じところを間違う様子を目にして、私は「こんなの当たり前だろ」とつい口走ってしまったのです。

しかし冷静になって考えてみると、私の育った環境と、子供の育った環境はまったく違ったんですね。私が育ったのは、周りに田んぼがたくさんある環境。昆虫はもちろん、動植物を目にしたり触れたりする機会が多くありました。そのため、たとえばカエルが両生類だと教わったときも、田んぼでおたまじゃくしが育っていく様子を実際に見ていたので、知識がすーっと入ってきたのです。

一方で私の子供は住宅街のなかで育っており、周りに自然はあまりありません。動植物に触れる機会が少ない環境で育っていますから、カエルが両生類といわれても、私のような“田舎ネイティブ”と違い、知識をすんなりと覚えられるはずがなかったのです。

[対処法]実物を見せるようにした

この出来事以降、子供が覚えにくそうにしている知識があるときは、できるだけ「実物」を見せるようにしました。実物が難しい場合には、YouTubeなどの動画を見せることで代用しています。

まとめ

子供に勉強を教えるときの“落とし穴”は、親としては「常識だ」「当たり前だ」と思っているところに生じるような気がします。私自身、気をつけてはいましたが、それでも自分が常識だと思っていることをどうしても子供に押しつけてしまうことがありました。そしてこうした失敗経験を通し、「自分の常識と子供の常識は違う」ということを、子供に勉強を教えるたびに強く意識するようにしています。

親子学習を円滑に進めるうえでは、自分の教え方に常に疑問を持っておくことが大切です。そのため教え方に悩んでいる方は、ここで一度立ち止まってみてほしいと思います。まずは自分と子供の「違い」に目を向けてみると、突破口が見つかるかもしれませんよ。

※記事の内容は執筆時点のものです

この記事の著者

ふたりの子供を持つ、広島在住のフリーライター。長男は中学受験をなんとかクリアしたが、現在は小5の次男が受験勉強の真っ最中。自身も中学受験を経験し、広島の進学校として知られる広島学院から東北大学に進学。自身の経験を生かし、子供の学習をサポートする毎日。