連載 桜井信一の中学受験相談室

算数の問題を直感で解いているわが子。きちんと式や図を書いて解かせるにはどうしたら良いのでしょうか?|下剋上受験 桜井信一の中学受験相談室

専門家・プロ
2021年11月29日 桜井信一

『下剋上受験』でおなじみ、桜井信一さんが中学受験を考える親御さんのさまざまな悩みに答えます。今回は小4のお子さまをもつ親御さんからの相談です。

今回の相談

小4の息子について相談です。息子は昔から要領がよく、特に努力しなくても良い成績を取れていました。

勉強の様子を見ていると、どうも算数の問題などは直感で解いているようで、式や図をあまり書いていません。

低学年の頃はそれでも点数を取れていたのですが、学年が上がるにつれて間違いが増えてきています。塾の先生に注意されても、直す気配はないようです。

きちんと解かせるには、どのように導けばよいのでしょうか。アドバイスを頂ければ幸いです。

相談者:PICO
お子さまの学年:小4


桜井さんの回答

PICOさま、こんにちは。

式や図を書く。大事なことのように思ってしまいますが、高学年になると、やたらと式が多すぎてぐちゃぐちゃになっている子がたくさんいます。計算問題でも文章題でも、式に頼りすぎて暗算する気がないというか、暗算に慣れていないんですね。

計算問題の下に5行も6行も式を書き並べる子も多いですし、文章題の計算スペースが足りない子もいます。入学試験では、式を書く欄があるスタイルが増えましたが、あの回答欄の広さはどういう意味でしょうか。正解に必要なのは「急所」だけですよね。

私の場合、「問題文を読むときは条件整理をしながら読む」、このように伝えていますが、それは解くための条件を整理するための図やメモであって、解くための式ではありません。例えば、問題文を読みながら単位当たりの量をメモしておいたりするのです。

そして、いよいよ立式して解くわけですが、「必要最低限の式にする」ここに意識をおいています。多くの子が、明らかに書きすぎているのです。さらに、計算の仕方も下手なので複雑になる。ミスが起きるのは当然です。

例をあげるとキリがありませんが、「÷5分の1」を「5倍しなさい」とイコールだと気づいていない子の方が多いですし、イコールの両側をヨコ約分するように小さくしていく方法も知りません。速さの問題を解くときに大活躍するのに、何も知らずに中学受験が来てしまうのです。

学校も塾も「丁寧に式を書きなさい」といいますね。ところが、最難関に受かるような子のプリントを見ればわかります。決して丁寧ではありません。また、よく見ると必要最低限のことしか書いていないのです。

それで十分なんです。誰からも押し付けられていないので、自分が必要と思うことだけを書いているわけです。

最難関レベルの子には、塾の指導はあまり必要ありません。解き方や式のことまで先生が口を出す必要はないのです。でも、多くの子はそのレベルに達していない。さて、先生の指導を守ればミスが減り、算数ができるようになるでしょうか。私はそういうことではないと思いますね。

明らかに書きすぎの子をどう変えるか。ここに苦労しているのです。図を書くことは大事ですが、本人が問題文を読むために必要なことを書くのであって、書いて解くからできるのではないと思います。4年生の前半あたりまでは「計算が早い子」がよい成績をとってくる。しかし、そこからは変わっていきます。「計算がうまい子」がよい成績をとってくるのです。そして6年生になると「考え方がうまい子」が難問をねじ伏せます。そうやって成長していくのです。

「最難関合格」だけでなく、「算数を通して、あたまにびっしょり汗をかく」そんな経験をすることも大きな意義があると私は思っています。

「それは違うね。書きすぎだよ。あたまのいい子はこんな風に解くんだ。ほら、かっこいいだろ?」そういう話でないと子どもはノッてきません。「式や図を書くことはとても重要なこと。横着するから最近間違いが増えてきたのでは?」これでは言うことを聞かないと思います。


これまでの記事はこちら『下剋上受験 桜井信一の中学受験相談室


『下剋上受験』の著者 桜井信一さんが、中学受験の相談にお答えします。ご相談はこちら!

※記事の内容は執筆時点のものです

桜井信一
この記事の著者
桜井信一 専門家・プロ

オンライン塾「下剋上受験塾」主宰。中卒の両親のもとで育ち、自らも中卒になる。 娘の下剋上のために一念発起して小5の勉強からやり直す。塾には行かず、父娘の二人三脚で偏差値を41から70に上げ、100%不可能とされた最難関中学「桜蔭学園」を目指した。その壮絶な受験記録を綴った『下剋上受験』はベストセラーに。 2017年1月には待望のドラマ化。学習講座「桜井算数教室」「国語読解記述講座」にはのべ2000人の親子が参加し人気を博した。2020年、オンラインの「下剋上受験塾」を立ち上げた。

[関連]

父娘の記念受験(公式ブログ)
下剋上受験塾