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私立中高一貫校で学べる「アクティブラーニング」とは?

2018年4月09日 朝倉浩之

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「アクティブラーニング」とは、学習者である生徒が能動的に学ぶことができる学習方法です。2012年8月の中央教育審議会答申では生徒が能動的に学ぶことで「認知的、倫理的、社会的能力、教養、知識、経験を含めた汎用的能力の育成を図る」とあります。

従来型の教育にありがちな教員側からの一方的な講義形式ではなく、生徒が自主的に参加できるような内容を盛り込んでいる授業形式です。具体的には、グループワークでの調べ学習、相手の意見を聞きながら自分の意見を伝えていくディベート学習などがその一例とされています。

「アクティブラーニング」のニーズが高まっている背景

「アクティブラーニング」が求められるようになった大きな理由のひとつとして、時代によって求められている人材が変化していることが挙げられます。

1990年代以降、インターネットが使われることによって情報化社会が加速していきました。それまではある程度決まった形に則った教育が行われていきましたが、情報化社会では違ったタイプの人材育成を目指していく教育がとられるようになっていきました。

つまり「標準化・規則化」を目指す従来型の教育スタイルから「自由化・多様化」へと対応できる教育への転換が図られたのです。

現在、この動きはさらに加速しています。学習した知識を活かして自ら考えて、主体的に動ける人材を育てるための教育として「アクティブラーニング」が取り入れられているのです。

私立中高一貫校で行われている「アクティブラーニング」とは?

では、現在、私立中高一貫校で行われている「アクティブラーニング」にはどのようなものがあるのでしょうか。その一例をご紹介します。

まずは、施設面での対応があげられます。なかでも、芝浦工業大学附属中学高等学校(東京都江東区)はその先駆けともいえるでしょう。2017年の豊洲への校舎移転に伴い、ICT教育設備を導入した教室、コンピュータ室、アクティブラーニング教室、イングリッシュスクエア、3つの理科実験室に2つの技術工作室を設置しました。

さらに大型のものづくりが可能なファクトリーや鉄道工学の歴史的資料を展示した、「しばうら鉄道工学ギャラリー」といった独自の施設があるなど、生徒の能動的な学習が進む仕掛けがたくさんなされています。

また、同敷地内には芝浦工業大学もあり、大学の施設も利用可能となっています。同校校長の大坪隆明先生も同校のホームページのなかで「芝浦工業大工附属中学校で勉強しようとする人は単に『使う人』ではなくて、原理を考えて、設計して、製作する人、つまり『作る人』になるんです。使う人から作る人に君も、なろう」とあいさつしています。

情報化社会に効果的に対応していくために、生徒にタブレット端末を貸与して対応しているところも増えてきています。

淑徳中学校・淑徳高等学校(東京都板橋区)では社会科の授業を中心に生徒が興味深く授業に参加できるような工夫がアクティブラーニングでなされています。教科書の文字だけのアプローチと比べて、タブレットによる映像を活用することで、生徒の理解度や定着率もあがっているようです。進学実績もそれに伴ってあがっています。

今回ご紹介した2校以外にも多くの学校で「アクティブラーニング」が展開されています。学校見学や説明会の際に確認してみてください。

2020年の大学入試改革を見据えて、さまざまな「アクティブラーニング」が私立中高一貫校で行われています。情報化社会の中で、子供たちには主体的に情報を活用する姿勢を身につけてほしいものです。

※記事の内容は執筆時点のものです

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