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ペットボトル空気砲をつくろう!|家庭でできる理科の実験(1)

専門家・プロ
2018年4月17日 諸葛正弥

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空気には形がありません。さわった感触もないはずです。でも、ビニール袋に息を吹きこんで袋の口を閉じれば、そのなかに空気が入っていることがわかりますよね。

その空気をさわってみてください。さらに、つぶしてみましょう。きっと、ばねのように戻ってくるのがわかると思います。空気にはそのような「つぶしてももどってくる性質」があるのです。これを弾力(だんりょく)といいます。

この性質を利用するために、クッションのなかに空気を入れたり、自転車のタイヤのなかに空気を入れたりします。そして、この弾力を利用した実験工作が空気鉄砲です。空気鉄砲の仕組みを簡単に説明すると、次の図のようなものです。

今回はペットボトルを使った空気鉄砲『ペットボトル空気砲』をつくってみましょう。家庭にある材料と道具で手軽に工作できます。空気の性質を体感できて、少しアレンジすれば、人間の「肺(はい)」と「横隔膜(おうかくまく)」の動きも学べます。

ペットボトル空気砲に必要な材料と道具

ペットボトル空気砲をつくるのに必要な材料と道具は次の通りです。

・ペットボトル
・カッター
・はさみ
・やすり
・風船
・ガムテープ
・スポンジ(台所用)

ペットボトル空気砲をつくろう

[手順1]ペットボトルを2つに切る

カッターやハサミを使ってペットボトルを2つに切りわけます。

お子さんが刃物でケガをしないよう、注意しながら切りわけてください。

切り口が尖っていたり、ギザギザしたりしていると、次からの工程で使う風船に穴が開きやすいので、やすりで滑らかにしておくと良いでしょう。

ペットボトル空気砲には、飲み口のあるほうを使います。

[手順2]風船を2つに切る

風船をハサミで2つに切りわけます。ペットボトル空気砲には、吹き口と逆の方を使います。

[手順3]ペットボトルに風船をかぶせる

切り離したペットボトルの切り口部分に風船をかぶせます。この作業が結構難しいので、ペットボトルを足ではさんで、両手で風船を広げながらかぶせるとよいです。

[手順4]ガムテープでとめる

ペットボトルと風船をガムテープでとめます。

[手順5]スポンジを切って、飲み口に詰める

スポンジをペットボトルの飲み口よりも少し大きくなるくらいにカットします。台所スポンジに厚みがあるので、飲み口とサイズを合わせたら、スポンジの厚みも半分程度にカットしましょう。

飲み口にスポンジを詰めたら、ペットボトル空気砲の完成です。

風船を引っ張って離すと……

完成したペットボトル空気砲で早速遊んでみましょう。風船部分を指でつまんで引っ張ります。つまんだ指をポンッと離せば、スポンジが飛び出します。

アレンジすれば、人間の「肺」と「横隔膜」の仕組みを学べる

ペットボトル空気砲を少しアレンジすれば、人間の「肺」と「横隔膜」の仕組みを学べる道具に変身します。

人間の肺のモデルをつくる

つくりかたはとても簡単。ペットボトルの口の部分から風船を入れ、風船の吹き口部分をペットボトルの口に固定するだけです。次の写真のようにつくれればよいです。

風船を下に引っ張ってみましょう

ペットボトル空気砲と同じ要領で、下に貼り付けた風船部分を指でつまんで引っ張ります。すると、ペットボトル内の風船が膨らみます。つまんだ指をはなしたり、押し込んだりすると、ペットボトル内の風船はしぼみます。これが人間の「肺」と「横隔膜」の動きのイメージです。

実は、人間の肺は自分で動く筋肉がありません。ですから、息を吸ったり吐いたりするときに肺を膨らませたり、縮めたりすることを自力で行なうことができないのです。

そのため、特別なつくりで肺を膨らませたり縮めたりしています。上の写真で説明すると、ペットボトルに入れたピンク色の風船が「肺」で、下に貼り付けた風船は「横隔膜」と呼ばれる筋肉の膜(まく)のイメージです。

貼り付けた風船を引っ張る(横隔膜が下がる)とペットボトルのなかの気圧が下がります。すると、なかの気圧を戻そうとしてピンク色の風船(肺)に空気が入り込むため、膨らんでいくのです。

これが人が「息を吸う」ときの肺と横隔膜のイメージです。

逆に、貼り付けた風船を押し込む(横隔膜が上がる)とペットボトル内の気圧が上がり、ピンク色の風船(肺)から空気が押し出されてしぼんでいきます。

これが人が「息を吐く」ときの肺と横隔膜のイメージです。

直接ペットボトル内の風船に触っていないのに膨らんだり、縮んだりする様子をぜひ親子で観察してみてください。


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※記事の内容は執筆時点のものです

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