中学受験ノウハウ 連載 桜井信一の中学受験相談室

子どもの受験熱が一向に上がりません。成績も下降するばかりです。色々と面倒を見すぎたせいでしょうか?|下剋上受験 桜井信一の中学受験相談室

専門家・プロ
2022年5月31日 桜井信一

『下剋上受験』でおなじみ、桜井信一さんが中学受験を考える親御さんのさまざまな悩みに答えます。今回は小6のお子さまをもつ親御さんからの相談です。

今回の相談

小6の息子は、小3の秋から塾に通っています。野球をやりながら通塾してたのですが、塾が忙しくなったので、小5の12月で野球はやめました。中学に入学したら再会する予定です。

もともと本人が中学受験したいと言ったわけではなく、きっかけが親の勧めだったこともあり、「これをやりなさい、あれをやりなさい」と、ずっと面倒をみてきました。

ですが、今はそれを後悔しています。新型コロナウィルスの影響で学校見学にも行けていないので、本人の受験熱は一向に上がってきません。成績は、まあまあなところを維持していましたが、6年になった現在は下降するばかりです……。

また、最近では反抗期なのか、「あれやったら」とか「このスケジュールでやろう」などの指示?を、全く聞かなくなりました。公開模試が近いのに、「自分でやるから」と、こちらの出した課題は無視。何をやるかと思ったら「算数の参考書を解かずに読むだけ」など、おかしなことをやっているのです。

色々面倒を見過ぎたせいで、自分でやることを考えられなくなっているのか……と後悔しています。でも、何とか合格の道に導きたい。どうしたらよいのでしょうか?

相談者:悩んでいます…お節介な父親かな…
お子さまの学年:小6


桜井さんの回答

悩んでいます…お節介な父親かな…さま、こんにちは。

ハンドルネーム(ニックネーム)にお節介なんて書いてありますが、私はそんなことないと思いますね。むしろお節介が足りないと思います。そのあたりを少しお話しさせてください。

塾に通うきっかけって、ほとんどの場合、お友達の影響か親の影響かのどちらかですよね。自分で看板を見てパンフレットを貰ってくる小学校3年生は、なかなかいないでしょう。ですから、親の誘導でいいと思います。

そこから、「あとは本人に任せておけばヨシ!」となればいいですが、これも実はそんなに多くないんです。たしかに、最上位クラスには競うことをゲーム感覚と捉えて勉強を頑張る子がいますが、それは少数派です。多くの場合、「任せておくとマズイ!」となるわけです。

……ということで、「ずっと面倒を見てきた」という点に関しては問題ないでしょう。ところが、小3からスタートして、親が面倒をみてきたのに成績が上がらなかったのでしょう?ここで、親の手の出し方に疑問を持たなかったのでしょうか。結果が出なかったということに対して、もっと早い段階で「これではダメだ」と判断するべきだったかもしれません。

あれをやりなさい、これをやりなさいと言うのは、どんな内容でしょうか。「今日は算数の図形のところをやりなさい」「模試の復習をしなさい」こういうことでしょうか。もしこうだとしたら、効果のない指示だと私は思います。言葉だけ聞いていると、確かに具体的な指示に聞こえるのですが、じつはかなり抽象的で、これでは小学生には伝わりません。

図形が苦手な子は、図形の求積を苦手とする場合が多いのです。相似がよくわかっていないとか、もっと初歩的なことかもしれません。そんな状態なのに、「図形を解いておきなさい」で苦手が解消しますか?

パソコンが苦手な中年に「エクセルでもやっておきなさい」といっているようなものです。得意になるまでに何年かかるでしょう、ということになりますし、ひょっとして得意にならないまま終わる可能性もありますよね。

「模試の復習」って具体的に何をするのですか? 子どもたちはそれがわからないのです。ですから参謀が必要なのであって、その大役をお父様が請け負ったのでしょう? 

お子さんは、反抗期というよりも、失望しているのではないでしょうか。「もういいよ!お父さんうるさいだけだよ!効果ないじゃん!」本音はそんなところではないでしょうか。

中途半端に手を出さず、とことんやるのがお父様の役目です。決して面倒見すぎなんかではありません。自分を律することができる子ならば、最初の段階で「この子にはオレの出番がないな」と気づくはずです。後悔すべきは面倒を見すぎたということではなく、作戦不足だった点です。

今のお子さんの成績、そこから志望校までの距離。まずこれを正しく把握します。次に、もし仮にそれをお父様がやるとすれば、それはどんな作戦でどんなスケジュールであれば到達するのか。真剣に考えた上で答えを出し、それをそのままお子さんに伝えるのです。大人が真剣に考えた策であれば、必ずその熱量が子どもに伝わります。反抗期なんて吹き飛ぶほど伝わります。

そして、できる限りお子さんに付き合ってあげてください。子育てのなかで「一緒にやる戦い」って、これが最後の機会かもしれませんよ。ぜひ、記念写真を超えるものを残しましょう。


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※記事の内容は執筆時点のものです

桜井信一
この記事の著者
桜井信一 専門家・プロ

オンライン塾「下剋上受験塾」主宰。中卒の両親のもとで育ち、自らも中卒になる。 娘の下剋上のために一念発起して小5の勉強からやり直す。塾には行かず、父娘の二人三脚で偏差値を41から70に上げ、100%不可能とされた最難関中学「桜蔭学園」を目指した。その壮絶な受験記録を綴った『下剋上受験』はベストセラーに。 2017年1月には待望のドラマ化。学習講座「桜井算数教室」「国語読解記述講座」にはのべ2000人の親子が参加し人気を博した。2020年、オンラインの「下剋上受験塾」を立ち上げた。

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