
「やる気ある?」って発言は要注意? 子供のやる気を引き出すためにどう接するか ―― 中学受験との向き合い方
なかなか勉強を始めないお子さん、テキストは開いているけれどボーッとしているお子さん。そうした姿を見た親御さんは、「やる気ある?」と苛立ちをぶつけてしまうことがあります。言われたお子さんは、「本音を言うと、さらに怒られてしまう……」と考えるかもしれませんし、「今はたまたま少し疲れていただけなのに!」と心の中で憤るかもしれません。複雑な子供の“やる気”とどう向き合うか考えてみましょう。
この子は戦っているんだよね
「やる気」はその方向に向かって自から進もうとする意欲のようなもので、モチベーションという英語とともに広く馴染まれた言葉です。勉強であれ、社会活動であれ、商売であれ意欲が必要ですね。ある種の活動を自分でドライブしていく動因、前に進める力です。
ただ、やる気と言っても、一人ひとりの“やる気”には、実にさまざまな種類の“やる気”が混在しています。私たちはこのことを忘れがちです。
たとえば、中学受験生であれば「○○中学に合格したい」という気持ち、「次のテストで満点を取りたい」という気持ち、「今日の勉強はここまでやる」という気持ちなどなど……、長期的なものから短期的なものまで、さまざまなやる気(らしきもの)があるわけです。
しかも、状況によって上がったり下がったりします。日によっては「○○中学に合格したいという気持ちは強いけど、今日は疲れていて勉強のやる気が出ない」ということもあります。「塾の勉強は楽しいけど、絶対に○○中学に受かりたいかと言われると別に……」というケースもあるかもしれません。
親御さんから見て「やる気がなさそう」に見えても、子供は心のなかに「現状をなんとかいいものにしたい」「親にほめられたい」という気持ちを持っていたりもします。だけど、思い通りにいかなくてどうしていいかわからず、ひとりで葛藤しているのかもしれない。「気持ちはあるんだけど、現実はそうならない」といった葛藤です。
親御さんは、そういったお子さんの葛藤する胸中を察することができる大人であってほしいですね。これが、お子さんのやる気と向き合う際の基本的所作のひとつではないかと思います。
親の私からは見かけ上はサボっているように見えるけど、この子の心の中では戦いが繰り広げられているのかもしれない――。
このように自分の期待と、そうならない現実を察する。「この子は戦っているんだよね」と思いを馳せることです。こういった親の姿勢や眼差しは、お子さんからすると、かなり救いになりそうです。戦う自分に寄り添ってくれる、味方についてくれると感じられるからです。そこから親子の信頼関係も生まれるのではないかと思います。
やる気を0か1かで考えない
子供の心の中をより正確に知るためにはどうしたらよいでしょうか。
とじる
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