連載 中学受験は親と子の協同作業

【6年生】合否判定模試の結果 どう捉える? どう活用する?|中学受験は親と子の協同作業! 正しい理解がはじめの一歩 Vol.12

専門家・プロ
2018年9月13日 石渡真由美

0

中学受験の学習を進める上で、テストはその時点の実力を把握する判断材料になります。各塾では毎週の授業の理解度を確認する週例テスト、少し範囲を広げた応用問題も含まれる月例テスト、志望校の合否判定が分かる合否判定模試など、いくつかの種類のテストがあります。

合否判定模試は塾によっては6年生の4月から始まり、夏休み前の7月に実施されています。そして、ほとんどの塾では夏休み明けの9月から12月までは毎月1回実施されます。そこからは塾のクラスを上げることよりも、志望校に合格することを意識した勉強に変えていかなければなりません。

ところが、その合否判定模試の目的や中身をきちんと理解できていないまま受けている子がとても多いのです。さらにその結果だけを見て、必要以上に不安を感じる親が多く、残念ながら“合格の道しるべ”となる合否判定模試をうまく活用しきれていないように感じます。そこで、今回は、志望校の合格可能性を見る合否判定模試について解説します。

どうしよう! 「合格可能性25%」が出ちゃった!

6年生になると、志望校の合格可能性がどのくらいあるかを判断する合否判定模試が実施されます。合否判定模試は、各塾で用意され、基本的には通っている塾の模試を受けるようになっています。

合否判定模試では、第一志望から、多い場合は第六志望までの学校を挙げ、テストの結果からその学校に合格する可能性が何%なのかを判定します。それまでの模試は、偏差値という数字で自分が今どのくらいのレベルにいるかを判断してきましたが、合否判定模試では、自分が志望校に合格できる可能性が何%かを見ていきます。つまり、より入試を意識したテストになるということです。

中学受験の合否可能性は20~80%の範囲内で判定されます。どんなに優秀な成績をとっても、それ以上の数字は出ません。ですから、合格可能性80%と出たら、「ほぼ合格間違いナシ」と思っていいでしょう。でも、そんな子はほとんどいません。

数字で「○%」と表されると、いきなり現実味が増し、結果を見るのにドキドキしますよね。例えば「合格可能性25%」なんて数値が出てしまったら、「もはや合格の見込みナシ……」とショックを受けてしまうかもしれません。でも、大丈夫! なぜなら、中学受験の合否可能性は「25%」でもまだ見込みがあるからです。

合格見込みゾーンは合格可能性50~80%

実際の見込みがあるゾーンとしては、合格可能性50~80%です。でも、それ以下でもまだ十分に合格は狙えます。

中学受験ではボーダーラインに多くの受験生がひしめいています。1教科あたり2、3問だけ正解の数を増やすことができれば、合格可能性のパーセンテージを大きく上げることができます。

合格(可能)率25%から80%までの点数の幅は50点程度(算数150点、国語150点、理科100点、社会100点の場合)。ですから、合格可能性が25%という結果が出てもあきらめる必要はありません。

でも、「合格可能性20%」という数字が出てしまうと、厳しい状態です。なぜなら、そこにはそれ以下の成績の子も含まれているからです。極端な話、合格可能性が「21%」であればまだ見込みはあります。でも、それには「正しい勉強のやり方」を実践していかなければなりません。

合否判定模試 次のテストで成績アップを目指すには?

合否判定模試は6年生の4月からスタートしますが、その時点ではまだ第一志望校が決まっていない子も少なくありません。そのため、今の実力よりはるかに上の難関校ばかりを挙げる子もいます。しかし、秋以降の模試は、もう少し現実を見ていく必要があります。第一、第二志望は挑戦校であっても、第三志望校以下は、よく検討をして挙げましょう。

模試の結果が出たら、合格可能性のパーセンテージは参考として受け止め、間違えてしまったところを次は正解できるようにすることに注力しましょう。だからといって、満点を目指す必要はありません。中学受験の最終目標は、志望校に合格することです。何も上位を目指す必要はありません。

そこで、合格最低ラインをクリアすることを目標に成績を上げていきましょう。とはいえ、少しゆとりも欲しいので、各教科「合格可能性80%偏差値に相当する点数」を目指して復習しましょう。

復習は、ただ解き直すのではなくて、どこで間違えたのか、なぜ解けなかったのかその原因をきちんと突き止めることが大切です。

「この条件を見落としていた!」「この計算を間違った!」「ここで、あの方法を思い出せなかった!」というように、悔しい気持ちとともに確認するのです。この確認作業をやりながら、もうちょっとで「○」になりそうな問題からじっくり解き直してみます。

その時も「なぜそうなのか」「なぜこの解法を使うのか」、しっかり納得して理解するとともに、「こういった問題(この問題だけではなく)は、○○に注意しよう」と自分に言い聞かせると、効果が大きくなります。このように、もうちょっとで「○」にできる問題から始めて、合格可能性80%に相当する点数のところまで復習してください。(この学校の80%は偏差値が62だ。算数で偏差値62は、85点だ。というように調べてください。)

それ以上はやる必要はありません。なぜなら、合格するのに満点である必要はないからです。

ただし、ひとつ注意点があります。それは、合否判定模試は受験する学校のレベルに関わらず、偏差値25~75の幅の受験生が一斉に受けているため、志望校のレベルによって、正解すべき問題の難易レベルが違ってくるということです。

例えば志望校偏差値50~60の子であれば正答率は50%以上、志望校偏差値60~65の子であれば正答率は35~40%以上、志望校偏差値65以上の子であれば正答率20%以上の問題は正解を目指しての復習をお願いします。

また、模試の内容が実際の入試問題と大きくかけ離れている場合もあります。ですから、合否判定模試の結果がすべてではないのです。実際の合否の予測は、その学校の過去問で見ていくほうが正確性はあります。過去問については、また改めて解説をします。

合否判定模試は「%」に振り回されないで! 最後は「わが子の力を信じること」が大事

受験生親子にとって、合否判定模試の結果は、現実の実力を知らされるものです。「合格可能性25%でも合格の見込みはある」と言われても、実際にその数字を見たら、焦りを感じてしまうかもしれません。

合否判定模試は12月を最後に終了します。12月の最後の模試で「合格可能性25%」が出てしまった場合、正直不安な気持ちでいっぱいでしょう。でも、東京・神奈川の受験生の場合、実際の勝負は2月です。それまでに1カ月以上もあるのです。実は多くの子がこの最後の1カ月で大きく伸びます。実際、本番前最後の模試で、「合格可能性25%」の子がたくさん逆転合格しているのです。

ただし、それには「正しいやり方」で勉強を進めていかなければなりません。焦って、ただ闇雲に頑張らせてもうまくはいきません。

そして、一番大事なことは、親御さんが最後までお子さんの力を信じて、応援してあげることです。「信じろ」と言われても、「信じてあげられる自信がない」という気持ちになるのも分かります。でも、親の不安感は子どもに伝わり、自信喪失の原因になること、その逆に親から信頼されていると感じている子どもは、その信頼に応えようと最後まで努力を続けることを知っておいてください。

成績に波があってずっと安定していなかったのに、最後にひょいっと上がって合格する子。それまで順調だったのに、直前1カ月で自信を無くして不合格になってしまう子。実はそんな子がたくさんいます。

だからこそ、最後は根拠なんてなくてもいいから、「あなたなら大丈夫よ」と励まし続けるとともにお子さんの力を信じ続けてあげることが大事なのです。


これまでの記事はこちら『中学受験は親と子の協同作業! 正しい理解がはじめの一歩

※記事の内容は執筆時点のものです

0