中学受験ノウハウ 連載 塾のトリセツ

成績が上がらなければ通塾はやめるべき? 通塾を続けるなら何をすればいい?|中学受験塾のトリセツ#02

2022年12月13日 天海ハルカ

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進学塾へ通っているのになかなか成績が上がらない、このまま塾に通い続けていてもよいものか……。

我が家の娘も、今のところ成績がぐんぐん伸びているとは言いがたいので、塾の継続について悩む気持ちはよくわかります。

ただ、私は塾講師としてのこれまでの経験を踏まえ、5年生後半までは今の塾に通わせてみようと考えています。

心も体も成長著しい小学生は、急に変化することがあるからです。

もし、5年生後半になっても、通塾を嫌がる・勉強をしないといった傾向が続くようであれば、中学受験そのものの見直しが必要かもしれません。しかし、今はまだ小4以下で、本人に受験や勉強への意欲があるなら、長い目で見てあげることもよいでしょう。

この記事では、現在通塾中だけれど、成績が原因で通塾を見直すべきか考えている新4年生(現3年生)・新5年生(現4年生)の保護者のみなさんに向けて、通塾を続けるメリットと勉強への向き合い方を解説します。

成長過程の子どもは突然変化する

通常、成績というのは毎日の努力が実を結び、徐々に上がっていくものです。

しかし、小学生はそうとは限らない、大きな可能性に満ちています。ある時期に突然、授業や勉強への向き合い方がガラッと変わり、成績が飛躍的にアップするケースはよくみられます。

小学生は成長期のまっただなかで、急激に伸びることがあるからです。

実際に私の生徒でも、5年生の夏までは下位クラスにいて私語で注意されてばかりだった子が、テストのたびにクラスを上げ、5年生の終わりには上位クラスをキープしていたことがありました。心が成長し、勉強への向き合い方が変わったことで、成績にも大きな影響を与えたのですね。

授業中に落ち着いて話を聞く、言われたことを素直にやってみる、自分の書いた答えを見直す……。大人にとっては当たり前の行動も、未熟な子どもたちにとっては実践が難しいもの。精神的な成長に伴って、理想的な学習態度が身についたのでしょう。

急成長の過程にある小学生は、今の成績がいつまで続くか、予想が難しいもの。手を打つなら早いほうが、と親として焦る気持ちもわかりますが、長い目で見守ってあげることが必要な時期とも言えるのです。

通塾を続けたほうがいいケース・考え直したほうがいいケース

このまま通塾させるべきか悩んだときは、成績以外の子どもの様子も見てあげてください。子どもの様子次第で、通塾を続けるかやめるかを考えるといいでしょう。

本人に通塾する気があるか

通塾を続けたほうがいいケースのひとつは、本人に通塾する気がある場合です。

学校で授業を受けた後に、さらに塾で数時間も授業を受けるのは大変なことです。塾をやめれば遊ぶ時間が増えるのに、それでも前向きに塾へ通えるのは、ひとつの大きな強みといえます。

通塾しているうちに、ふと勉強のコツがつかめたり、同じく塾へ通う子と意識を高め合ったりするようになるかもしれません。今は成績が停滞していても、嫌がらず通塾できているなら、ひとまず続けてみてもよいでしょう。

いっぽうで、本人が通塾を嫌がっているとしても、その理由に成績不振がありそうな場合は、すぐにやめるべきとも言いきれません

成績が上がらないことで自信を失い、結果として通塾を渋っているなら、小さい目標を立ててクリアし、本人に自信をつけていくという方法をとることができます。成績が上がらない理由を、まずは塾の先生に相談してみるのもいいですね。

自主学習に向き合えているか

塾の授業以外の場所で、自主学習ができているか、というのも大事なポイントです。

中学受験で志望校合格を目指すなら、塾の授業を受けるだけでなく、家庭や自習室での自主学習も必要です。塾によって内容や程度は違いますが、予習、復習、宿題、テスト対策など、自分で勉強しなければならないことはたくさんあります。

しかし、多くの子どもにとって、授業で先生の話を聞くことはできても、授業以外の場所で、自分から学習にきちんと取り組むことは難しいのです。

自主学習には、本人のやる気がわかりやすく表れます。通塾は楽しいけど勉強はしたくない、という子は、自主学習をやりません。

点数には結びつかずとも自主学習がしっかりできているなら、それは大きな強みです。今後伸びる可能性を信じて、通塾を続けさせてみてもよいでしょう。

通塾を考え直すべきケースとタイミング

通塾を考え直すべきケースの代表としては、子どもが通塾や勉強そのものを嫌がっている場合です。

本人にやる気がなければ、どれだけ頑張っても授業内容が頭に入ってきません。そんなときは、一度立ち止まって、通塾や勉強について、子ども本人と話し合ってみましょう。

実際に話してみると、親の目からはやる気がないように見えていたけれども、本人は意外と楽しく塾に通っていた、なんてこともあります。

また、成績不振以外の理由について、たとえば塾での人間関係で困っているなど、思いがけない本音が飛び出すケースも。その場合は、塾に相談すると解消につながるかもしれませんし、転塾もひとつの選択肢に入ります。

中学受験については、5年生の後半まではそれほど実感がわかない子が多いです。5年生の後半、もしくは6年生までは、本人のやる気を中心に通塾を考えるのがいいですね。

成績を上げるために今できることは?

せっかく通塾を続けるなら、少しでも成績が上がるように、勉強や塾との向き合い方を見直してみましょう。

本格的な受験対策に入るのは6年生になってからです。それまでは基礎をメインに勉強し、得意な科目や好きな科目のみ応用問題に取り組むという方向にシフトすると、比較的モチベーションが下がりにくくなります。

成績が上がらず悩んでいること、塾や中学受験をやめるべきか考えていることなどを、塾に話してみるのもひとつの手です。

家族である親の言葉よりも、先生という第三者からの言葉のほうが、子どもには響くかもしれません。せっかく塾に通っているのですから、塾も先生もたくさん頼ってくださいね。

そのうえで、家庭での学習サポートの方針としてできることをいくつか紹介します。

応用より基礎

成績が上がらない、と感じたら、まずは直近のテストを確認してください。子どもの苦手を知ることが、成績アップの近道です。

理科の「ばね」や「電磁石」など、子どもの苦手が単元としてはっきりわかるなら、その単元を取り上げて復習します。

基本問題で点数を落としている科目は、応用問題の時間を減らしてでも、基礎がために時間を割いてください。

ここでいう基礎とは算数の計算や国語の漢字などです。

計算ミスや漢字のトメハネは毎回気をつけ続けるしかないのですが、計算ルールがあいまいだったり漢字や語彙の知識が圧倒的に少なかったりすると、応用問題もうまく解けません。

解けない応用問題に時間をかけても、自信を失いやる気が下がるだけ。

応用問題は基本問題で点数を取れる人が加点に使うものと考え、まずは基本問題で確実に点数を取れるよう、勉強を進めましょう。

得意科目よりも苦手科目

科目によって成績にばらつきがある場合、時間を使うべきは得意科目より苦手科目です。

一度苦手意識を持ってしまうと、自分で克服するのは難しいことが多いため、保護者がしっかりフォローしてあげましょう。

基礎は親が教えるのもよいですが、思いきって塾の先生に相談してみてもいいと思います。

先生が直接その部分を教えてくれることもありますし、テキストのどの部分を復習すべきか、指示してくれることもあります。もしかしたら「その部分はみんな苦手なので気にしなくて大丈夫ですよ」と言われるかもしれません。

勉強の方向性がわかれば、あとは取り組むだけです。苦手科目に比重を置いた勉強スケジュールを立てます。

4科目すべてに同じ時間を使う必要はありません。たとえば、算数が苦手で国語が得意な子は、国語にかけていた時間を少し算数に当てます。

大事なのは、苦手科目の学習量を増やすだけでなく、ほかを減らして時間の帳尻を合わせること。

もちろん全体的な勉強時間を増やせるならそれでもいいのですが、小学生は学校へ行き、学校の宿題をやって、睡眠時間も確保しなければいけません。時間は有限なので、その中でどう4科目を配分していくかが重要です。  

もうひとつ、気をつけておきたいことがあります。苦手科目に取り組む時間を増やすのは、成績を上げるには効果的ですが、子どもの精神面には大きな負担をかけることになります。子どものストレスを減らすためにも、単に負荷を増やすばかりの方法は、極力避けましょう。

いっぽうで、苦手科目は基礎からの勉強となるため、「できない」が「できる」に変わることを実感しやすく、達成感を得やすいという特長もあります。

この達成感がやる気につながるので、苦手科目がはっきりしていることは、むしろチャンスであるとも考えてくださいね。

理科・社会よりも算数・国語

理科・社会の勉強も大切ですが、重要視すべきは算数・国語です。

中学受験では算数と国語の配点を高くしている学校が多いので、この2科目を得意にしておいたほうが有利です。さらに積み上げ知識が重要な科目のため、苦手をそのままにしておくと、後でまたつまずいてしまいます。

新しく学んだ単元を身に着けつつ、以前の知識を忘れない工夫もできると安心です。

算数なら小数や分数の計算、国語なら漢字や語彙など必要な基礎力を、今勉強している単元とは別に、継続して訓練しましょう。4科目の勉強と並行して、算数国語の基礎がための勉強を続ける、というイメージですね。

塾を活用して勉強を進めよう

家庭学習の時間に何をするかは、子どもの様子で変えていきます。

塾の授業の小テストや定期的に行われる確認テストを分析し、科目の比重を調整すると、効率的に勉強を進められます

塾のテストは点数だけでなく偏差値や正答率などを見て、相対的に子どもの実力を判断してください。

点数が悪くても偏差値が高い場合はあまり気にしなくてよいですし、点数は高くても基本的な問題が解けていない場合は、見直しが必要です。

こういった分析が難しければ、塾の先生に聞いてしまうのが早いです。

子どもから先生に聞いてみるのでもいいですし、保護者が電話で直接尋ねてみてもいいですね。

使えるものはどんどん使って、壁を乗り越えていきましょう。

5年生後半まではあせらず見守る

なかなか成績が伸びず通塾を続けるべきか迷ったら、子どものやる気で判断します。

成績を上げるよりやる気を出させることのほうが難しいので、やる気があるうちは続ける価値があります。

成績が伸びないときは我慢の時期と割りきって、基礎がための勉強を中心に進めていきましょう。

停滞期は何かテコ入れをしたくなる気持ちは痛いほどわかりますが、成績を原因に通塾をやめるかどうか考えるのは、5年生の後半になってからで大丈夫 。

ハードな通塾生活をこなせているうちは、あせらず見守ることも大切ですよ!

この連載では匿名での質問を受け付けています。ぜひ、塾について、中学受験についての質問などを、こちらの質問受付フォームからお寄せください。

※記事の内容は執筆時点のものです

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天海ハルカ
この記事の著者

大手進学塾で国語講師を務め、主に5,6年生を担当。偏差値20台の勉強しない子供から、御三家に合格するレベルの子供まで幅広いレベルを受け持つ。モットーは「無理なく楽しく効率的に」。著書に『中学受験国語・成績を上げる思考力の磨き方-情報を整理し理解して伝える力』(エール出版社)。

中学受験を応援する個人サイトを運営しながら教育系webライターとして教育、子育てサイトでも活動。プライベートでは、わが子の中学受験をサポート中。

中学受験アシストブック
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