中学受験ノウハウ 連載 塾のトリセツ

初めての入塾テスト、どう準備すべき? 不合格だったらあきらめたほうがいい?|中学受験塾のトリセツ#01

2022年11月29日 天海ハルカ

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中学受験塾の入塾テストが、人生で初めて受ける「合格・不合格があるテスト」だというお子さんも多いことでしょう。

よくわからないまま不合格という結果を手にすることも、決してめずらしいことではありません。

では、入塾テストで落ちてしまった場合は、入塾をあきらめるべきでしょうか。もしかして、わが子は中学受験に向いていないの……?

答えはNOです!

実は、我が家の娘も、とくに対策せずに挑んだ一度目の入塾テストでは不合格になってしまい、再チャレンジで入塾しました。

不合格を経験しての入塾ですが、今は元気よく楽しそうに通っています。どうか、お子さんが「落ちてしまった!」という人も、必要以上に落ちこまないでくださいね。

この記事では、初めて入塾テストを受ける人、入塾テストに一度は落ちてしまった人のために、中学受験塾の入塾テストとはどういうもので、どう準備すると効果的なのかを解説します。

入塾テストで不合格になることはめずらしくない

入塾テストで落ちてしまうのは、めずらしいことではありません。

塾にとっての理由、お子さんにとっての理由、両面から説明します。

塾にとっての入塾テストとは?

塾にとって入塾テストは、中学受験に向かって学ぶ準備のできている生徒のみに入ってもらい、塾のレベルを高く保つためのもの です。

塾にとっては多くの生徒を受け入れたほうが経営のためにはよさそうですが、いくつかの塾では入塾テストを課して、入塾させる生徒を絞っています。

その目的のひとつは、入塾してすぐに、塾の授業レベルについてこられる生徒のみを入塾させることです。

基準をクリアした生徒だけのほうが塾全体として目標を高く持つことができ、生徒たちは自然とより高いレベルを目指せるのです。

勘違いしてはいけないのは、入塾テストはあくまでもテストを受けた時点での基礎的な学力、あるいは集中力やテストに向き合う力を測っているだけだということ。

入塾テストで、お子さんの本質的な受験への向き・不向きや、潜在能力、将来の学力レベルまで測れるわけではありません。

ですから、定員に空きさえあれば、入塾テストには繰り返しチャレンジしてほしいというのは、塾側の本音でもあります。

初めて入塾テストを受けた時点では中学受験に向かって学ぶ準備ができていなかった生徒でも、再チャレンジした入塾テストで合格レベルに達するなら、それは失敗から学ぶことができる、成長している証にほかならないからです。

子どもにとっての入塾テストとは?

入塾テストでは、お子さんの潜在能力や将来の学力レベルまでは測れないと言いました。その理由は、お子さん側にもあります。

知らない場所で知らない人に囲まれて知らないテストを受ける。

学校や家という見知った環境で過ごすことの多い子どもにとって、入塾テストというのは受けるだけでも大変なことなのです。

のびのびと実力が発揮できる子は、むしろ少ないといってもいいでしょう。合格できなかったからといって、落ちこむ必要はまったくありません。

とはいっても、入塾テストで不合格になってしまうと、子どもは大きなショックを受けるもの。できれば前もって、「難しいテストだから不合格になることもある」という話をしておけるといいでしょう。もちろん、親御さん自身も、覚悟はしておいてください。

そして、もし不合格になってしまっても、お子さんの気持ちに寄り添い、がんばってテストを受けたことをまずは誉めてあげてください

親御さん自身がひどくがっかりした様子を見せたり、お子さんを責めたりすることには、デメリットしかありません。

お子さんのやる気を奪わないこと。テスト嫌いにしないこと。これがまず、大切なことです。

我が家でも、「不合格」の結果を見たときの娘は、とても落ちこんでいました。

学校ではそれなりの成績をとっていましたし、何より「テストで不合格」という経験が初めてだったからです。

「もう受けたくない」と言い出すのを覚悟していましたが、再チャレンジができることを知った娘は、「悔しいから今度は絶対に合格する」と、前向きな気持ちで勉強に取り組むようになりました。

テストを受ける前よりもしっかり勉強するようになったので、いい刺激になったのだと思います。

入塾テストで不合格でも、機会があるなら再チャレンジすべき

入塾テストは、中学入試と違って、再チャレンジができます。  

一度落ちたからそこで終わりということはないので、あきらめるのはもったいないです。

ただし再チャレンジは、必ず可能というわけではありません。

たとえば大手進学塾SAPIXのホームページには、各校舎別の募集状況が掲載されています。見ると、とくに4年生以降は人数がいっぱいで入塾テストを受け付けていない校舎が複数あります。

どれだけ成績を上げても、その校舎の定員に空きがなければ、受け付けてはもらえないのです。

行きたい校舎の定員がいっぱいというときは、別の校舎や別の塾を検討する、もしくは再募集の可能性にかけるなど、どうするか考えなければなりません。絶対に行きたい校舎があるのなら、定員がいっぱいになる前の低学年のうちにチャレンジしておくというのも、ひとつの方法ではあります。

定員自体には空きがあり、入塾テストに再チャレンジする機会があるなら、子どものやる気が落ちないようケアしつつ、ぜひ取り組んでみてください。

入塾テストに落ちてしまうのはどんな子?

入塾テストに落ちてしまう子の特徴は大きく2つのタイプに分けられます。

偏差値を測るためのテストに慣れていない

学校のテストではある程度点数が取れているのに、入塾テストでは全然点数が取れないということはあります。

原因はふだんとは違うテスト形式につまずいてしまうからです。

入塾テストは、学校のテストとはまったくの別物です。

学校のテストは理解を確認するためのもの。習ったことがそのまま出題されるので、頑張れば満点をとれます。

しかし入塾テストは生徒の偏差値を測るためのものです。

満点が続出しては正しく偏差値を測ることができないため、応用問題やハイレベルな問題を用意し、どんなに頭が良くても満点をとることはほぼ不可能なつくりになっています。

わからない問題にこだわってしまうと最後まで解ききれず、本来ならとれた点数まで落としてしまうのです。

さらに言えば、問題用紙と解答用紙が独立して存在することや解答の書き方にルールがあることも、はじめてで戸惑うかもしれません。

あらかじめ伝えておいたとしても、それだけではなかなかすぐには対応できないでしょう。

我が家の娘も、はじめての入塾テストでは、算数の解答用紙が半分も真っ白でした。

家であらためて解いてみるとできる問題が多く、テストに慣れていなかったことが原因で不合格になったとわかったのです。

テスト慣れしていないことが原因で不合格になってしまったのなら、慣れればよいわけですから、前向きに再チャレンジできますね。

勉強が足りていない

中学受験を目指す進学塾の授業は小学校より早く進みます。

学校の授業や宿題にも苦労している状態では、まだまだ入塾テストに合格するには勉強が足りないかもしれません

塾にもよりますが、中学受験塾の場合、学校の勉強は自分でできるというのが、合格ラインへの第一歩だと思います。

勉強が足りないことが原因で入塾テストに落ちてしまった場合は、いったん仕切り直してから再チャレンジするのもひとつの手です。

学校の宿題をこなしつつ抜けている基礎知識を強化する、もしくは中学受験に向けた進学塾ではなく、基礎学力を身に着けることを目指す学習塾で、しばらく勉強をしてから再チャレンジするのはいかがでしょうか。

長期スパンでのチャレンジにはなりますが、最終目標を中学受験とするなら、試す価値のある方法だと思います。

具体的な入塾テスト対策

少しでも入塾テスト合格の可能性を上げるためには、学校の勉強と並行してテスト対策の時間を作りましょう。

入塾テストに合格するために、効果的な対策方法をご紹介します。

答案の使い方を確認

低学年の子によく見られるのが、答案の使い方がわからず、解答に手間取ったという失敗です。

学校のテストは問題文と解答欄が同じ紙に印刷されていることが多いですが、多くの塾では問題冊子と解答用紙が別々に用意されています

たとえば、算数の計算は問題冊子で計算してから解答だけを解答用紙に記入しますが、いつものテストのように問題冊子に書いた段階で終わった気になってしまう子どももいます。

終了時間ぎりぎりにあわてて解答用紙に写そうとすると、ミスをしてしまいます。

ときには解答欄がずれて、もったいない結果になってしまうことも。

家では、問題と解答用紙を別にしたテスト形式を試しておくとよいでしょう。

採点ルールの意識

学校と塾ではテストの採点ルールにも違いがあります

たとえば国語での文字のトメハネ。学校では先生によってばらつきがありますが、塾では厳しく採点されます。中学受験の入試でも、そこで減点される可能性が高いからです。

下の図は、塾では減点される書き方の例です。

社会では、漢字で書くべき用語をひらがなで書いてしまうと減点されることもあります。

もちろん白紙で出すよりもひらがなで書いたほうがよいですが、教科書で漢字になっている用語は漢字で書いたほうが無難です。

家庭学習では用語を漢字で書く練習を取り入れ、テストではできる限り漢字で書くよう伝えておきましょう。

時間の意識

入塾テストは時間が長く、最後まで集中できない子も少なくありません。

入塾テストで最初の15分しか集中力が持たず、2教科目からは名前を書いて席に座っているのが精いっぱいという子も、実際にいました。

どんなに知識があっても、集中して問題に向き合えなければ、点数はとれません。

集中力を養うには、家で勉強するときも、タイマーを使うのがおすすめです。

途中で話したり席を立ったりせず時間いっぱいまで集中する習慣がつくでしょう。

タイマーを使った勉強法、は時間内にたくさん問題を解く訓練にも使えます。

漢字の書き取り10問を3分で解くなど、時間にこだわった勉強をすることで、より高い点数が目指せます。

捨て問の意識

はじめのほうはしっかりと解答をうめていたのに後半は真っ白、という答案もよく見かけます。

単に時間が足りなかったというケースもありますが、どこかの問題でつまずき、そこで進めなくなった可能性も大きいです。

1問にこだわりじっくり考えるのは良いことですが、テストでは点数をとるチャンスを逃してしまいます。

いくら考えても知識や解き方がわからなければどうしようもない問題があるのが、入塾テストです。

ぜひ家庭学習の段階で、わからない問題は飛ばすという解き方を伝えてあげてください。

自信のない計算問題の解答や忘れてしまった漢字などで詰まっているときは「まず先に進もう」と声をかけ、時間が余ったらもう一度戻って考えるように導きます。

これは学校のテストなどでも使えるテクニックなので、学年が上がるほど役に立ちますよ。

再チャレンジの場合は対策できることが増える!

再チャレンジの場合は不合格の原因がわかるので対策しやすいです。

不合格だったテストの問題と答案をしっかり分析すれば、何をすればよいかがわかります。

たとえば、問題用紙の後半が真っ白だったら、制限時間を意識し、捨て問に時間をかけすぎないように家庭学習を進めます。

正答率がわかるなら、正答率の低い問題は捨て問として放っておいても構いません。

正答率が高いのに間違えてしまった問題を中心に見直しましょう。

具体的にはまず正答率70%以上の問題は確実に点数を取っていきたいので、解き方が分かるかどうか、もう一度同じ問題が出たら取れそうかという基準で復習します。

日を開けて、同じ問題を解かせて見るのも良いですね。

同じ塾であれば、出題量も出題傾向も大きくは変わりません。

基本の計算問題ができると何点取れるのか、応用問題はどのぐらい解ければ合格ラインに届くのか、しっかりと分析します。

そのうえで再チャレンジまでスケジュールを立てて勉強を進めていきましょう。

入塾テスト合格を目指して頑張ってみよう

入塾テストは合否を決めるものですが、「このラインに届かないと塾に入っても大変ですよ」という塾からのメッセージでもあります。

はじめての塾は子どもにとって未知の場所であり、はじめてのテストは子どもにとって大きな壁です。

たとえ不合格だったとしてもすぐにあきらめる必要はまったくありません。

進学塾に通う最終目標は、数年後の中学入試のはず。

入塾後も成績は上がり下がりを繰り返すものですから、親御さんはどっしりと構えて、お子さんと一緒に入塾テスト合格へ向けて頑張ってみてください!

この連載では匿名での質問を受け付けています。ぜひ、塾について、中学受験についての質問などを、こちらの質問受付フォームからお寄せください。

※記事の内容は執筆時点のものです

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天海ハルカ
この記事の著者

大手進学塾で国語講師を務め、主に5,6年生を担当。偏差値20台の勉強しない子供から、御三家に合格するレベルの子供まで幅広いレベルを受け持つ。モットーは「無理なく楽しく効率的に」。著書に『中学受験国語・成績を上げる思考力の磨き方-情報を整理し理解して伝える力』(エール出版社)。

中学受験を応援する個人サイトを運営しながら教育系webライターとして教育、子育てサイトでも活動。プライベートでは、わが子の中学受験をサポート中。

中学受験アシストブック
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