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2023年入試直前! 理科分野の時事問題を考える【後編】|なるほどなっとく 中学受験理科

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2022年12月19日 水溜 兼一(Playce)

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学習範囲が広く、難しいイメージがある理科の中学入試問題。難関校に多くの子どもを合格させてきたカリスマ講師・小川眞士さんが、子どもの理科力を育むためのヒントを伝えます。

近年の入試理科では時事問題が増えていることを前回お伝えしました。今回は、入試理科で時事問題がどのように扱われるのかと、時事問題対策について小川先生にお聞きします。

時事問題は入試でどのように扱われる? 2023年受験生に伝えたいこと

昔の時事問題は、たとえばノーベル賞受賞者の名前を答えるような単純な知識問題が多く見られました。現在もそのような知識問題が出題されることがありますが、時事問題を入り口に、そこに理科の知識や計算力、図表を読み解く力を交えて問題を解かせる構成が増えてきています。これは時事問題を理科的視点で深く考えさせる狙いがあります。中には一つの大問の内容がすべて時事問題になっているものもあります。2022年入試の時事問題の振り返り記事もご参考ください。

さて、来年受験を迎える小学6年生は、この時期、時事問題について大手塾が作ったテキストや市販の参考書で学習している子が多いと思います。中にはテキストや参考書の内容をできるだけ頭に詰め込もうとする子がいるかもしれません。しかし、知識事項についてマニアックなことは、受験であまり聞かれません。ですから、あれもこれもと内容を覚える必要はないと私は考えています。

全部のことをきっちり把握するのは時間的にも難しいですから、親御さんがテキストや参考書に目を通して、いろいろなトピックの中から特に気になるものについて、お子さんと一緒に話してみることをおすすめします。ほかは、冬期講習で講師が取り上げたテーマを家に帰って復習すればよいと思います。

時事問題の対策の一環として、過去問演習を重視すべきと、私は考えています。前述したように、近年の入試理科の時事問題は、単に知識事項を聞くのではなく、計算や図表の読み取りを交えながら論理的に考える問題が増えています。そのような時事問題を選び、理科的思考力を用いて論理的に考える訓練をしてください。

来年、再来年受験をするご家庭へ。時事問題に強くなるためには?

理想的な時事問題対策は、世の中のニュースについて日頃から親子で会話することです。とはいっても、無理に話題を探す必要はありませんし、子どもに知識を覚え込ませようとしなくていいです。話題も理科的なことに限らず、たとえば、いまなら物価上昇や節電といった連日ニュースになっていることもいいと思います。親御さんが興味関心のあることを、お子さんとぜひ話してみてください。

私も授業で、子どもたちに、いま世の中でどんなことが起きているのかを話しています。子どもたちと会話していると、世の中のことをあまり知らないんだなと感じることがあります。子どもたちがいろいろなことを知って関心を持つためには、家庭での親の投げかけが大事です。

お子さんとの会話では、「いま、こんなことが起こっているよ」とちょっと話題を振る程度で結構です。普段のささやかな会話の積み重ねがあると、受験直前に理科や社会の時事問題を集中して学習するとき、「そういえばあのときお父さんやお母さんと話をしたな」と記憶とつながることがあります。

もう一点、会話をするときは、子どもの好奇心や想像力に働きかけるようにするとなお良いです。たとえば、ロケット発射のニュースについて話すときは、「もし宇宙服がないと、どうなるんだろうね」と投げかけます。1時間に100ミリの猛烈な雨が降ったというニュースなら、「100ミリの雨ってどれくらいだろうね?」「もしこの部屋に100ミリの雨が降ったらペットボトル何本分くらいになるかな?」といったような感じです。正解を言う必要はありません。お子さんといっしょにぜひ考えてみてください。

会話の中では、大人の常識=子どもの常識でないこともあります。たとえば子どもたちに「ガラケーのガラって何?」と聞くと、「ガラクタ」という答えが返ってくることがあります。 “ガラパゴス”だと知らないのですね。日常で会話している言葉について、意味を知っているかどうかを、ときおり聞いてみるとよいでしょう。

最後に、時事問題に強くなるために小学生新聞を読むこともおすすめします。小学生新聞は内容が充実していて、理科や社会のニュースに加えて、読み物や漫画、算数に関することなどトピックが満載で、楽しみながら読めます。新聞を読むことで、読解力も養えます。近年の中学入試の問題はどの教科も昔より文字量が多いですから、読んで内容を理解する力がつくだけでも受験に大いに役立ちます。

※記事の内容は執筆時点のものです

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小川眞士
小川眞士 専門家・プロ

小川理科研究所(東京都豊島区)主宰。都内の中学校教諭を経て、四谷大塚進学教室理科講師に。開成や桜蔭の特別コースを約25年間担当、コース生28人全員が開成中学に合格した実績を持つ。教務主任や副室長も務めた。2009年4月に小川理科研究所を開設。主な著書に、『中学受験 理科のグラフ完全制覇』(ダイヤモンド社)、『これだけ理科』(森上教育研究所スキル研究会)、『カンペキ小学理科』(技術評論社)がある。

この記事の著者

雑誌・新聞の編集・ライターを経て、現在は、通信教育企業のキュレーションサイトや大学案内のライティングなどを担当。