中学受験ノウハウ 連載 親子のノリノリ試行錯誤で、子供は伸びる

環境を変えれば子どもも変わる! 「雰囲気に流されて」勉強してしまう状況をつくるには?―― 親子のノリノリ試行錯誤で、子供は伸びる

専門家・プロ
2022年12月28日 菊池洋匡

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自ら伸びる力を育てる学習塾「伸学会」代表の菊池洋匡先生がおくる連載記事。「親子で楽しく試行錯誤することで、子供が伸びる」ということを、中学受験を目指す保護者さんにお伝えします。

こんにちは。中学受験専門塾 伸学会代表の菊池です

サッカーワールドカップも終わりましたね。

史上最高のサッカー選手と言われるリオネル・メッシが、唯一獲得したことがなかったのが、このサッカーワールドカップの優勝でした。

年齢的に最後となる今大会でそのメッシ率いるアルゼンチンが優勝し、メッシが大会MVPを獲得。

できすぎな有終の美だったのではないかと思います。

さて、そんな出だしからスタートした今回の記事ですが、実は私はサッカーにはあまり興味がありません。

それなのになんとなくニュースに上がってくるから記事を読んでしまったり、「中継中」という表示に釣られてABEMAのサイトに飛んで視聴してしまったりしました。

これは生徒たちも同じだったようで、小6の受験直前期の子どもたちも数名、ワールドカップを見ていて夜更かしをしたとか、勉強がはかどらなかったとか言っていました。

サッカー少年で、ワールドカップを楽しみにしていたならまだしも、野球少年で知っているサッカー選手の名前もそれほど多くない子たちですら、そんな感じです。

「なんで中継を見たの?」と聞いたところ、「親が見ていたから」とのこと。

人間とはなんと流されやすいものなのでしょうか。

そこで、今回の記事では、「子どもが勉強するようになる環境づくり」についてお話をしようと思います。

周囲の環境が人の行動をうながす

多くの人は自分の意思で自分の行動を決めているように思っていますが、それは間違っています。

実は、人間は環境や雰囲気に流されて行動を選択しています。

ですから、環境を変えれば、人の行動は勝手に変わっていきます。

有名なのは、ニューヨークの治安を大きく改善したジュリアーノ市長の事例です。

彼はニューヨークの街で割れた窓ガラスを修繕し、地下鉄の落書きをきれいに消しました。

荒れた雰囲気だった街は綺麗になり、そこで発生する犯罪が大きく減少しました。

「割れた窓ガラス」や「地下鉄の落書き」という環境が、人々を犯罪という望ましくない行動に駆り立てていたのです。

こうした「環境によって人の行動が変わること」は心理学の実験でも確認されていて、実験のためにわざと「放置自転車」を設置しておくと、その周辺ではごみのポイ捨てをする人や信号無視をする人が増えたそうです。

おもしろいものですよね。

子どものやる気を引き出す環境づくりに必要な3つの要素

ということは、子どもたちの行動を変えたいと思ったら、「子どもにお説教をしてやる気を出させる」よりも、「子どもがやる気になる環境を整える」方が、簡単だし効果的だということです。

子どもを観察しながら、勉強に限らずさまざまな物事に対して、この子がやる気になるのはどんな状況なのか?を分析してみましょう。

そのときの視点として、「周りの人」「周りのもの」といった要素を考えてみると、やる気になる状況が掴みやすくなると思います。

1. 身近な家族の姿勢・かかわり方を再チェック

まずは「周りの人」について。

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菊池洋匡

菊池洋匡

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中学受験専門塾 伸学会代表。開成中学・高校・慶應義塾大学法学部法律学科を卒業。算数オリンピック銀メダリスト。大学生時代にアルバイトで塾講師をはじめ、情熱を持って取り組むうちに、子供たちの成績を上げるだけでなく、勉強を楽しむ気持ちや困難を乗り越え成長していくマインドを育てる方法を確立。その後、15年の塾講師生活で生徒と保護者に「勉強には正しいやり方がある」ということを一貫して伝え続ける。著書に『小学生の勉強は習慣が9割 自分から机に向かえる子になる科学的に正しいメソッド』(SBクリエイティブ)『「やる気」を科学的に分析してわかった 小学生の子が勉強にハマる方法』(秦一生氏との共著、実務教育出版)『「記憶」を科学的に分析してわかった 小学生の子の成績に最短で直結する勉強法』(実務教育出版)。

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