中学受験ノウハウ 連載 親子のノリノリ試行錯誤で、子供は伸びる

あなたはこんな間違ったリビング学習で子どもを勉強嫌いにさせていませんか?―― 親子のノリノリ試行錯誤で、子供は伸びる

専門家・プロ
2023年1月11日 菊池洋匡

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こんにちは。中学受験専門塾 伸学会代表の菊池です

あなたのご家庭では、お子さんの勉強場所はどこになっていますか?

一般的によくあるのは、子ども部屋かリビングですよね。

特に最近は、リビングが勉強部屋としておすすめされることが多いのではないかと思います。

親の目がよく届くということで、子どもに勉強をさせやすいということがその理由です。

確かに、リビングだと勉強がはかどるという子は多いです。

しかし、私の指導経験上、リビング学習が逆効果となり、勉強嫌いになってしまっている子も多いです。

果たしてうまくいくリビング学習とうまくいかないリビング学習は何が違うのでしょうか?

今回はその違いについてお話ししていこうと思います。

連載の第1回で書いたように、「成績アップ」とは他の子を追い抜くということです。

他の子を追い抜くためには、他の子以上に努力をしなければいけません。

子どもを勉強嫌いにしてしまい、嫌々勉強しているような状態にさせてしまったら、成績アップは叶いません。

嫌々な状態で人並み以上に頑張ることなど、人間はできないからです。

間違ったリビング学習でお子さんを勉強嫌いにしてしまわないように、今回の記事もぜひ最後まで読んでくださいね。

リビング学習が失敗する2つの理由

さて、リビング学習がうまくいかない原因は大きく分けて2つあります。

1.リビングが勉強に適した環境になっていない

1つは前回の記事にも書いたように、リビングが勉強に適した環境になっていないパターンです。

ゴロゴロするのに適したソファーがあり、ちょうど見やすい位置にテレビがついている。

そんな状態だったら子どもは集中できません。

リビングを学習の場にするのであれば、家族だんらんの場としての機能は控えめにして、学習に集中できるように環境を整える必要があります。

リビングで勉強させさえすれば良いと誤解しないように気を付けましょう。

2.親が関わり方を間違っている

もう1つは、親の関わり方の問題です。

前回書いたように、子どもが勉強している時間帯に、親はソファーでゴロゴロしてスマホをいじっているようでは、子どもは勉強に集中できません。

これはわかりやすい失敗パターンですね。

それだけではなく、親も子どもの勉強に積極的に関わろうとしている場合でも、子どもを勉強嫌いにしてしまう場合があります。

それが、親が子どもを「監視」してしまうパターンです。

親が「子どもを監視して勉強させる」と、子どもは勉強が嫌いになります。

親が「子どもの勉強を応援する」と、子どもは勉強が好きになります。

この「監視」と「応援」の違いはわかりますか?

「監視」と「応援」の違い

これらはどちらも「見る」ことなのですが、見方が違います。

「監視」は悪いところが無いかを見る「減点法」の視点で、「応援」は良いところを見る「加点法」の視点なのです。

多くの親御さんは悪気無くここで失敗しています。

学校や塾の先生から「お子さんの勉強を見てあげてくださいね」と言われたときに、「悪いところを直してあげなきゃ」と考え、良かれと思って「監視」をしてしまうのですね。

子どもの勉強を見るために時間を割くというとても良いことができているのに、視点がズレてしまっていて、とてももったいない状態です。

私たち大人も自分のことに置き換えてみればわかりますが、上司や先輩から、あるいは舅・姑から、「監視」されて自分のした仕事や家事にケチをつけられたら、嫌な気持ちになりますよね。

ダメ出しをされて、素直に「教えてくれてありがとうございます」という気持ちになれますか?

きっとなれないでしょう。

逆に、良いところを認めてもらえたら、もっと頑張ろうという気持ちになりますよね。

これらは子どもも同じです。

ですから、子どもの勉強に関わるときには、「監視」ではなく「応援」をした方が良いのです。

もし問題の解き方を間違えていたりして、それを教えなければいけないときには、良いところを褒めてから改善点を伝えるようにしてください。

比率で言うと、良いところを5つ伝えてから改善点を1つ伝えるくらいに改善点の比率を少なくしましょう。

「そうはいっても、うちの子は直さなきゃいけないところだらけです。良いところはなかなか無くて、5つも良いところを見つけられません…」

そんなふうにおっしゃる方もいますが、そういう場合は、だからこそ「良いところを5つ伝えてから」が良いブレーキになるでしょう。

あれこれ叱られてばかりでもうやる気がしない、そんな勉強嫌いな状態にお子さんを追い込まないですみます。

そもそも、そんなにたくさんの改善点を伝えたって子どもはどうせ覚えきれませんし、一気に直すことなんてできません。

直すことができないのであれば、言うだけお子さんにストレスを与えるだけで、良いことなど何もないのです。

いっそ、改善点を1つも伝えずに、良い点だけをただただ褒めても構いません。

悪い点を直すのは難しいですが、できている良い点を再現するのはそれに比べて簡単です。

より良く伸ばしていくこともしやすいです。

良い点を伸ばす働きかけを実践すれば、正しくリビング学習が機能するでしょう。

リビング学習を機能させる「応援」の声かけ

ということで、リビングで「監視しながら勉強させる」のは間違ったやり方ですよというお話しでした。

「やれって言わないと宿題やらないんです」

「監視してないとすぐにサボるんです」

こういうご相談は多くの親御さんからいただきます。

監視したくなる気持ちはよくわかります。

ですが、そんな親御さんにこそ、だまされたと思って「応援」をしてみていただきたいと思います。

もし、子どもにダメだししたくなったら、できていることの方に注目したポジティブな表現に言い換えてみてください。

たとえば

「宿題終わってないじゃない!」

      ↓

「宿題ここまで終わったね!」

「まだ宿題終わってないの?」

      ↓

「宿題はいつまでに終わらせる予定?(本人の考えを尊重)」

「ここの計算間違えてる!」

      ↓

「ここまでの考え方は合っているね!」

「ダラダラやらないの!」

      ↓

「早く終わらせて遊ぼう」

「ひっ算を丁寧に書きなさい!(字の汚さをダメだし)」

      ↓

「ひっ算を書いて丁寧にやってるね(書いていること自体を評価)」

「間違えたら解き直しをしなさい!」

      ↓

「1回解き終えたね!」

といった感じです。

ポジティブな声掛けをしていけば、きっとお子さんの反応が変わりますよ。

お試しあれ。

それでは。

※記事の内容は執筆時点のものです

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菊池洋匡
この記事の著者
菊池洋匡 専門家・プロ

中学受験専門塾 伸学会代表。開成中学・高校・慶應義塾大学法学部法律学科を卒業。算数オリンピック銀メダリスト。大学生時代にアルバイトで塾講師をはじめ、情熱を持って取り組むうちに、子供たちの成績を上げるだけでなく、勉強を楽しむ気持ちや困難を乗り越え成長していくマインドを育てる方法を確立。その後、15年の塾講師生活で生徒と保護者に「勉強には正しいやり方がある」ということを一貫して伝え続ける。著書に『小学生の勉強は習慣が9割 自分から机に向かえる子になる科学的に正しいメソッド』(SBクリエイティブ)『「やる気」を科学的に分析してわかった 小学生の子が勉強にハマる方法』(秦一生氏との共著、実務教育出版)『「記憶」を科学的に分析してわかった 小学生の子の成績に最短で直結する勉強法』(実務教育出版)。

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