中学受験ノウハウ 連載 親子のノリノリ試行錯誤で、子供は伸びる

これから受験を迎える親子に緊急メッセージ―― 親子のノリノリ試行錯誤で、子供は伸びる

専門家・プロ
2023年1月25日 菊池洋匡

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こんにちは。中学受験専門塾 伸学会代表の菊池です

いよいよ受験シーズンが始まりましたね。

この中学受験ナビの読者は日本全国にいらっしゃるので、もう受験を終えたという読者の方も多いのではないかと思います。

これから受験を迎える方、もうすでに終えた方、両方にメッセージをお贈りしたいと思います。

とても大切なメッセージですのでぜひ最後まで読んでください。

それは、「あなたのお子さんを将来の成功に導くものは何か?」という話です。

まずは「お子さんのためにできたこと」に注目を

そのことについてお話する前に、まずは長い間お子さんのサポートお疲れさまでした。

中学受験をする小学校高学年という年齢は、子どもの自我が大きく育つ時期です。

それは反抗期が始まる時期でもあります。

子どもの態度の悪さにイライラすることもあったでしょうし、アドバイスの通りにやらないことにやきもきすることもあったと思います。

時には感情的に怒ってしまって、後になって自己嫌悪になったりしたこともあったんじゃないでしょうか。

きっと大変でしたよね。

その大変な日々を乗り越えて受験までたどり着いた、自分とお子さんをたくさん褒めてあげてください。

こうした記事を読んでいるあなたは、きっと教育熱心で、真面目に学ぼうという意欲があり、とても良い親御さんなのだろうと思います。

そういう真面目な方だからこそ、時間が無かったり精神的な余裕が無かったりして子どものサポートが十分にできていなかったと、自分を責めてしまうかもしれません。

でも、自分を責めるのは間違いです。

できなかったことを数える「完璧主義」「減点法」の発想は親子ともに疲弊してしまいます。

できたことに注目してみてください。

お子さんのためにしてきたことがたくさんあるはずです。

例えば、ご飯を作って食べさせたり、お弁当を持たせたり、夜寝かしつけて朝起こしたり、お金のやり繰りをして塾の授業料を支払ったり、教材・ノートの整理を手伝ったり、行き帰りの送迎をしたり、分からないところを教えてあげたり、スケジュール管理のサポートをしたり、落ち込んでいるとき・やる気が出ないときに話を聞いて励ましたり。

きっと、「これは私は頑張った」と思うものがありますよね。

それがちゃんとお子さんの力になっています。

まだまだ未熟な小学生であるお子さんが、過酷な中学受験勉強を乗り越えてここまで来られたのは、間違いなくあなたのサポートがあったからです。

お子さんのために頑張ってきたあなたに、私は敬意を表します。

お子さんの将来を成功に導くものとは?

そして、そのあなたにとても良いことをお教えしたいと思います。

もしかしたら一面では酷な話かもしれませんが…

それが、今回の本題の「あなたのお子さんを将来の成功に導くものは何か?」です。

将来の成功に必要なものは学歴でしょうか?それとも学力でしょうか?

いいえ、どちらも違います。

あなたのお子さんを成功に導くものは「学習習慣」です。

そのことがよくわかる研究を、日本の社会工学者で、東京工業大学工学部教授・東京大学大学院教育学研究科教授などを歴任した矢野眞和先生が行っています[*1]。

矢野教授は、5つの大学の卒業生から約4500人にアンケートを行い、

  1. 大学時代の勉強に対する「意欲・関心」、「大学時の読書レベル」、「卒業時の知識能力」
  2. 仕事に対する 「意欲・関心」、「現在の読書レベル」、「現在の知識能力」
  3. 現在の「収入」「地位」「仕事満足度」「業績」

といったことを調査しました。

その結果、「卒業時の知識能力」は「現在の収入」の上昇につながっていませんでした。

それどころか、なんと小さいながらもマイナスの影響を与えていました。

これは「卒業時の知識能力」ではなく、「大学時の読書レベル」に置き換えて分析しても同じ結果でした。

では何が収入の上昇につながっていたかというと、「現在の読書レベル」「現在の知識能力」でした。

こうした結果を見ると、「学校で勉強したことなんか大人になってから役に立たない」という勉強しない子どもの「言い訳」が真実であるかのように思えますよね。

しかし、この「言い訳」も間違っています。

大人になってから、読書をし、高い知識能力を身につけている人の多くは、学生時代にも読書をし、熱心に勉強をしていました。

学生時代の学習習慣が、大人になってからの学習習慣と収入を支えていたのです。

「大人になってから頑張っても遅くはない」というのも確かにその通りなのですが、現実として学生時代に頑張れなかった人が大人になってから頑張るのは難しいのですね。

矢野先生は、「学習は継続し持続することによって力を発揮する。学習の継続は力なりだが、学習の断絶はマイナスである」とおっしゃっています。

これは大学時代と社会人になってからの関係だけにあてはまることでしょうか?

いえ、小学校時代と社会人になってからの関係の方が、より一層あてはまるのではないかと私は思います。

つまり、あなたのお子さんが、時に宿題をサボったり、苦手な科目の勉強から逃げたりしつつも、ここまで塾に通い、宿題に取り組んで、日々「学習する習慣」を身につけてきたことにこそ本質的な価値があります。

ですから、現在どれだけ学力が身についているか、偏差値がいくつか、とかは関係無く、ここまでこれただけで中学受験は大成功なのです。

教育経済学の研究によれば、第一志望の学校に進学した子よりも、第二志望に進学した子の方が成功する確率が高いといったことが示されているものもあります。

入試の結果や今の偏差値を気にする必要は全くありません。

中学受験完走おめでとうございます。

そして、酷なこともお伝えします。

まだ終わりではありません!

中学受験が終わっても、これからも学習は続きます。

中高大のその先、大人になってもです。

中学受験は通過点に過ぎず、どの学校に進学するかも、ルートが違うだけです。

少しずつ手は離れていくでしょうが、まだまだあなたのサポートを必要とすることがあるでしょう。

これからも子育ての試行錯誤を頑張ってくださいね。

それでは。

 

参考文献

[*1]「教育と労働と社会 教育効果の視点から 」(矢野眞和)

※記事の内容は執筆時点のものです

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菊池洋匡
この記事の著者
菊池洋匡 専門家・プロ

中学受験専門塾 伸学会代表。開成中学・高校・慶應義塾大学法学部法律学科を卒業。算数オリンピック銀メダリスト。大学生時代にアルバイトで塾講師をはじめ、情熱を持って取り組むうちに、子供たちの成績を上げるだけでなく、勉強を楽しむ気持ちや困難を乗り越え成長していくマインドを育てる方法を確立。その後、15年の塾講師生活で生徒と保護者に「勉強には正しいやり方がある」ということを一貫して伝え続ける。著書に『小学生の勉強は習慣が9割 自分から机に向かえる子になる科学的に正しいメソッド』(SBクリエイティブ)『「やる気」を科学的に分析してわかった 小学生の子が勉強にハマる方法』(秦一生氏との共著、実務教育出版)『「記憶」を科学的に分析してわかった 小学生の子の成績に最短で直結する勉強法』(実務教育出版)。

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