不合格で落ち込んだ気持ちの立て直し方―― 親子のノリノリ試行錯誤で、子供は伸びる
こんにちは。中学受験専門塾 伸学会代表の菊池です。
2023年の中学受験が終了しました。
今年受験を迎えた保護者さんたち、お疲れさまでした。
嬉しい合格、悔しい不合格、それぞれたくさんあっただろうと思います。
中学受験では、第一志望に合格できる子は、データ上は3~4人に1人だそうです。
これは公立高校を受験する場合との大きな違いで、ご自身は中学受験経験が無い保護者さんたちが驚かれることです。
大多数の子は第一志望には合格できないのですから、中学受験をすると決めたら、同時に不合格になった場合の準備が必要になります。
もし我が子が不合格になって落ち込んでいたら、どうすれば助けになれるのでしょうか?
ちゃんと知識としてご存知の方は少ないのではないかと思います。
効果が無い、またはより状況が悪化してしまう典型的な方法は、「慰める」「遊びで気分転換させる(大人だったらお酒なども)」「そっとしておき、傷が癒えるのを待つ」といったものです。
これらは、やればやるほど一層気持ちが落ち込む傾向があることが知られています。
知らないとどれもやってしまいそうですよね。
そこで、今回の記事では「気持ちが落ち込んだときの正しい立て直し方」についてお伝えしようと思います。
今年受験を終え、不合格になって気持ちを引きずっている方は、ぜひ参考にしてみてください。
そして、来年以降に受験を控えている方は、ぜひ覚えておいてくださいね。
Contents
失敗して落ち込んだときに何をすべきか
今回お伝えするのは、受験の不合格に限らず、ものごとに失敗したときに気持ちを立て直す方法として、様々な場面で活用できるものです。
事実を受け入れる
その方法は、まずは「事実を受け入れる」ことです。
起きた失敗と、そこから生じたネガティブな感情を受け止めましょう。
例えば「自分は受験に不合格になって落ち込んでいる」「明日の受験も不合格になるんじゃないかと不安になっている」といった事実をありのまま受け入れるということです。
気をつけなければいけないのは、「事実を受け入れる」ことは、「自分を責める」「後悔する」こととは違うということです。
想像しやすいことだと思いますが、自分を責める傾向がある人は気持ちが落ち込み続け、極端な場合は鬱病になるなど心の健康を害してしまいます。
ですから、子どもが自分を責めないように、「後悔」ではなく「反省」をできるように、上手く導いてあげましょう。
「事実を受け入れる」ことができずに、自分のネガティブな感情から目をそらしたり押し殺して平気なふりをしたりする子もいます。
具体的には、不合格になってもヘラヘラしているようなケースです。
それをすると、内心では余計に気持ちが落ち込むことになります。
そういう行動をする子は、十分な努力をしてこなかった自覚がある子であることが多いです。
もし我が子がそんな姿を見せたら、なぜちゃんと反省しないのかと腹立たしくなり、子どもを責めたくなるのではないでしょうか。
ですが、「責める」ことは効果的な解決策ではありません。
不合格になって落ち込んでいることを受け入れられないのはなぜだろうか?と考えてみてください。
よくあるのは、落ち込んだところを見せると「だから言ったでしょ!」というように責められると思って、防御反応として弱みを見せないようにしているケースです。
心の中では反省したり後悔したりしていながらも、それを見せるのは負けたような気がして悔しいという心理が働いているのかもしれません。
シンプルに、落ち込んだところを見せるのが恥ずかしいのかもしれません。
いずれにせよ、自分を守るための反応です。
ですから、子どもがしっかりとネガティブな感情を受け入れられるようにしてあげるために、心理的な安全性・安心感を与えてあげてください。
「責める」のとは逆のアプローチです。
失敗をポジティブに捉え直す
そして、次にするべきことが、失敗の良い側面を探して、ポジティブに捉え直すことです。
この経験から学べることは何か?
この経験でどんな成長ができただろうか?
この経験はどんな風に生かすことができるだろうか?
といったことを考えるのです。
例えば、模試で悪い成績を取ったときには次の模試や入試本番に向けてどう生かそうかと考えたり、2月1日の受験に不合格になったときには2日・3日に向けてどう生かそうかと考えたりするということです。
そして、今のタイミングであれば、熱望校に不合格になりまだ気分が落ち込んでいる子も多いと思います。
そんな場合には、「中高生活に生かすには?」「大学受験に生かすには?」と考えるわけですね。
失敗をポジティブに捉える例
1つ、私自身の例を挙げようと思います。
私は大学受験のときに東大が第一志望でしたが、不合格になり慶應大学に進学しました。
大学受験に失敗したわけです。
生徒達には、「菊池先生はなんで開成なのに東大に行かなかったの?」と聞かれます。
子どもは純粋で、それゆえに残酷で、傷口に塩をグリグリぬってきます(笑)
もちろん胸が痛むのですが、そんなとき私はこう考えるようにしています。
中学・高校で勉強につまずき、勉強が嫌いになり、勉強から逃げていた経験があるから、今同じように勉強につまずいている生徒達の気持ちに寄り添うことができるようになり、仕事に生かせている。
大嫌いで逃げていた勉強が、やってみたら実は面白かったから、後輩や生徒達には「勉強って面白いんだよ。やらないともったいないよ」とアドバイスができるようになった。
努力をしなければ成果が出せないと学んだから、大人になった今も学び続ける習慣を身につけられた。
あの失敗を教訓にしたから、今、より良い自分になれている。
と。
その結果、もちろん「もう一度失敗したい」とは思わないのですが、「失敗した分の元は取った」「これはこれでおいしい経験だった」と前向きになることができています。
ぜひお子さんも、そしてあなた自身も、失敗をしたと思ったときにはポジティブな側面を考えてください。
仕事に生かせるとか大げさなことでなくても、笑い話にできればそれでも十分です。
そうすれば素早く気持ちを立て直すことができますよ。
そして、「今」と「これから」を楽しむようにしてくださいね。
「失敗」は「成功」に変えることができる
最後になりますが、これから言う「まとめ」をぜひ覚えておいてください。
「失敗」を失敗のまま終わらせない
失敗は次に生かせないまま終わるから失敗なのであって、次に生かすことができればそれは大きな成功の一部です。
中学受験の「合否」は競争相手がいることなので、倍率の問題で必ず不合格になる子がいます。
冒頭でお伝えしたように、中学受験では不合格になる子の方が多数派です。
しかし、中学受験の「成功・失敗」は個人の評価の問題であり、今後への生かし方の問題なので、競争相手はいません。
正しい対処法がわかっていれば、全員が受験の結果に意義を持たせ、大きな成功の一部に変えていくことができます。
つまり、中学受験は必ず成功することができます。
誰でも「やって良かった」という経験にすることができるのですね。
一方で、成功も次に生かせなければ大きな失敗の一部となります。
成功した理由を考え、それを何度も再現していかなければいけません。
また、成功におおい隠されてしまっている「失敗につながる要因」も改善していかなければいけません。
「成功」も後の「失敗」の要因になることがある
ここでも私の個人的な経験をお伝えしておきます。
私は中学受験のときに、社会が苦手でした。
しかし、他の3科目はよくできたので、他の科目でカバーをして第一志望だった開成に合格し、全勝で終えることができました。
得意科目で押し切れば何とかなるという成功体験でした。
それが後に仇となりました。
大学受験では英語が苦手科目だったのですが、英語の強化を怠り、国語・数学で押し切る作戦を取りました。
結果は見事に不合格。
本質的な敗因は、中学生以降長い間勉強嫌いになり勉強をしなくなったことですが、戦術的な失敗も重なったなと思っています。
成功が後の大きな失敗の一因となった典型例ですね。
合格をした子たちにも、不合格になった子と同様に学びが必要です。
中学受験の合格が後々まで価値あるものになるかどうかは、これからの行動次第です。
中学受験で「成功」するために必要な視点
中学受験を総括するときに「合格/不合格」という線引きもできるし、「教訓を取り出して次に生かせる/次に生かさない」という線引きもできます。
今後の人生の成功に、前者はほぼ関係ありません。
後者の影響はとても大きいです。
中学受験で真の成功を掴むために、後者の視点を忘れないようにしてください。
中学受験は大変なことが多いですが、でもやる価値があり、素晴らしいものだと私は思っています。
あなたとお子さんが、中学受験で成功できることを願っています。
※記事の内容は執筆時点のものです
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