江戸時代の三大改革はどれも似ている! 改革に至る時代背景の理解で受験対策を
江戸時代の三大改革が本当にクセモノです。なぜならどの改革もとにかく似ているからなんです。それもそのはず、3つの改革が行われることになる時代背景がどれも同じなんです。背景が同じであれば当然改革のテーマもほぼ一緒です。このように似たような3つの改革をどのようにおさえればよいでしょうか?
Contents
江戸時代の三大改革に至る2つの時代背景をおさえる
江戸時代の三大改革の分野が出題された入試問題を観察すると、大きく2つの出題のされ方があることがわかります。ひとつ目のパターンが改革の内容の組み合わせを問う問題です。そして、もうひとつのパターンが、改革が実施されるに至った背景や、各政策の目的を問われる問題です。受験力をつけるためには、まず時代背景をおさえるところから開始すべきですね。
時代背景1:深刻な財政難 当時は税も給料もお米だった
江戸幕府が設立して100年が経過した1700年ごろ、幕府は深刻な財政難に見舞われていました。理由はとてもシンプルです。農民から集める税も、武士への給料も、米を使っていたからです。米は農業技術が発達すると生産量が増え、どんどん安くなって価値が落ちていきます。一方、不作の年は米の収入が少なくなります。豊作だと価値が下がり、不作だと量が集まらない……。こうして幕府は慢性的で深刻な財政難に陥っていたのです。
時代背景2:頻発する食糧難 いたるところで暴動が発生していた
この時代のもう1つの時代背景としておさえなければならないのは食糧難です。ひとたび農作物の不作が発生するとききんが発生し、多くの死者が出ました。そうなると農民は百姓一揆を起こし、打ちこわしを起こします。1780年代の天明の大ききんの頃には40件近く、1830年代の天保の大ききんの頃には70件近くの百姓一揆が起こったといわれています。すごい件数ですね。江戸時代の後期は暴動が頻発していたのです。
江戸時代 三大改革の内容は時代背景や目的とセットで把握する
時代背景を知れば改革の目的は自然と見えてきます。江戸時代の三大改革で行われた政策もすべて時代背景を考えれば納得のいくものばかりです。中学受験において受験力をつける近道、それは単に行われた政策を覚えるのではなく、時代背景や目的をセットで把握する事です。
庶民に対して行われた政策―背景―目的
享保の改革で庶民に対して行われた有名な政策が「目安箱」の設置です。目安箱という庶民が直接将軍に問題点や要望を直訴できるポストを設置しました。その目的は庶民から政治に役立つ意見を募るためでした。農民による一揆や打ちこわしが発生し、幕府体制が危機に瀕していた時代背景から、少しでも庶民の意見を聞こうという考えですね。
庶民に対して行われた政策―背景―目的
寛政の改革の「囲米の制」は農民に対して米などの穀物を貯蔵するよう命令を出した政策です。目的は不作によるききんが発生した際の被害を最小限におさえるためです。天保の改革の「人返し令」は農村から江戸へ出稼ぎに来ることを禁止した命令です。目的は年貢を増やすために米をたくさん作ってもらいたい。そこで労働力を江戸ではなく農村に集めたかったのです。
武士に対して行われた政策―背景―目的
「棄捐令(きえんれい)」は武士の借金を帳消しにするという何とも豪快な改革です。これも時代背景を考えてみましょう。武士への給料は米で支給されていました。農業技術が進んで米の生産効率が上がれば上がるほど米の価格は下がり、武士たちは貧乏になってしまうのです。しまいには借金まみれになりました。これらの武士を救う目的の改革が棄捐令です。
武士に対して行われた政策―背景―目的
「上米の制」は各地の大名から米を徴収するという政策です。それまで幕府は大名からお米を徴収することは無かったのですが、幕府の深刻な財政難という時代背景からこのような政策に踏み切ったのです。ちなみに無条件では大名から反発があることが想定されたので、大名の負担となっていた参勤交代の期間を短くすることを条件としました。幕府の深刻な財政難という背景から考え出された政策ですね。
そのほかの特徴的な政策―背景―目的
最後はそのほかの特徴的な政策です。これらの政策も時代背景と目的をセットで覚えることを忘れずに!
そのほかの特徴的な政策―背景―目的
例えば「寛政異学の禁」は幕府体制が弱っていた頃に、西洋や中国の色々な学問が広がっていたという時代背景があります。上下関係の秩序が最も大切だとする朱子学という学問のみを許す事で、幕府への抵抗を避けたかったというのが目的です。
まとめ
江戸時代の三大改革はどれも同じような時代背景から実施されたものでした。そのためどの改革もとにかく似ています。一方、中学受験の入試では時代背景や改革の目的がよく問われます。各分野ごとに時代背景と政策と目的をセットでおさえていく方法をご紹介しました。しっかりとおさえて受験力をつけましょう!
※記事の内容は執筆時点のものです
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