
考察力に優れた子どもを育てる! 保護者の働きかけで調べて考えるようになる
実験や観察の結果をふまえて考える理科の問題や、表や絵といった資料から推測する社会の問題などは、しばしば「考察問題」と呼ばれます。このタイプの問題を解くのに必要となるのが「考察力」です。子どもの考察力を伸ばすために保護者ができる働きかけを紹介します。
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「考察力」とは何か?
「考察」の辞書的意味は、『デジタル大辞泉』によると「物事を明らかにするために、よく調べて考えをめぐらすこと。」です。意味的に「調べること」と「考えること」の組み合わせなので、「調べる力」と「考える力」の両方を兼ね備えた力が「考察力」といえます。
近年は「考える力」が注目されがちですが、これに加えて「調べる力」も大切です。「調べる」といっても、試験時に辞書やネットで調べることはできません。考察力における「調べる力」とは、問題として与えられた文章や資料から情報を取捨選択し、自分の解答の根拠としていく力です。
子どもの考察力を鍛えるための働きかけ5選
考察力は、勉強だけでなく、普段の生活で調べて考えることを通して鍛えられます。特に「調べる力」を鍛えるには、自分や周囲を丁寧に観察することが必要なので、保護者はそのような観察を子どもに促すとよいでしょう。以下では、「算数の勉強法の改善」をテーマに、子どもの考察力を鍛えるために保護者ができる働きかけを紹介します。
1. 目標をはっきりさせる
子どもは漠然と「算数のテストで点数をアップさせる」といった目標を設定しがちです。しかし、このような抽象的な目標は、結果を判定できないので好ましくありません。保護者は子どもと相談して、「次の組分けテストで150点中100点以上取る」のような具体的な数値目標を考えさせましょう。
もっとも、150点中60点の子どもが「次の組分けテストで150点中140点以上取る」のような実現不可能な目標を掲げた場合は、その目標を見直させます。子どもに自分の現状を正確に把握させるのが、調べる力を鍛える第一歩になります。
2. 仮説を立てさせる
前回や前々回の算数のテストを見直させて、どこで失点しているのかを調べさせます。その上で、それらを克服したらどのくらい点数がアップするかの仮説を立てさせることで、考える力も鍛えられます。
たとえば、「小数の計算でミスを多発しているから、そのミスを克服すれば20点は点数が上がるはずだ」という仮説を立てられます。保護者は子どものできないところに厳しい目を向けがちです。しかし、仮説を立てさせるときは、「小数の計算でミスが多いと自分で気づいたのはすばらしいことだよ」などと、弱点を的確に把握した子どもを褒めてあげるとよいでしょう。
3. 具体的な解決策を考えさせる
小数の計算でミスが多いからといって「計算ミスをなくす」では何をしていいのかがわかりません。子どもにこれまでの模試やノートなどを見直させて、ミスする原因を調べさせます。その後、判明した原因をふまえて、具体的な解決策を考えさせましょう。
たとえば、小数同士の計算でミスが多いなら小数の一部を分数に直して計算する、わり算の商とあまりで小数点の位置がわからなくなるなら小数の割り算だけ毎日練習するなど、実際にできそうなことを考えさせます。
4. 複数の人や物事を比較させる
自分で考えた仮説や解決策が正しいかどうかは、他人との比較でわかります。小数計算が得意な友達にどうやって計算しているのかを聞いてみたり、ネットで計算方法を調べさせたりしましょう。比較することで調べる力も考える力も鍛えられます。
ただし、保護者が自分の子どもを兄弟姉妹や友達などと比較すると、子どものやる気を損なってしまうので要注意です。「~君に方法を聞いてみたら?」みたいな提案にするとよいでしょう。
5. 結果を分析させる
解決策を実際に行ってみて、目標を達成できたかどうかを検証すれば、仮説が正しかったかどうかがわかります。目標を達成できなかったとしても、その結果を分析させて次につなげることが大切です。
算数の組分けテストで目標点を突破できた場合、仮説通りに計算ミスを克服できたのか、それともたまたま得意分野が出て点数が高かっただけなのか、を判断させましょう。逆に、目標点に達しなかった場合、そもそも解決策をきちんと実行できたかを検証させ、必要に応じて勉強法、場合によっては目標そのものを見直させます。勉強に限らずあらゆることで、結果の分析が調べる力も考える力も鍛える上で有効です。
考察力は中学以降でも役に立つ
考察力は、中学受験だけでなく、中学以降でもさまざまな場面で役に立ちます。勉強だけでなく、学校行事や人間関係、趣味などでも、調べて考える習慣があれば、できることがどんどん増えていきます。トラブルも解決しやすくなるでしょう。保護者の働きかけで子どもの考察力を伸ばしてあげることが大切です。
※記事の内容は執筆時点のものです
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