
税金とは何かを小学生向けに解説! 消費税やふるさと納税の時事問題に強くなる
何かを買うときに支払う消費税は小学生にとっても身近な税金です。しかし、「消費税がどうして必要なのか?」「消費税以外にどのような税金があるのか?」などの質問に答えられない小学生も少なくないでしょう。今回は、中学入試の社会でもよく出る税金の知識について、子供向けにわかりやすく解説します。
税金の目的と種類
税金については社会の公民分野で学びます。入試では、用語を答えさせたり、正しい選択肢を選ばせたりするだけでなく、記述問題として出ることもあるので要注意です。
税金の目的
財務省のHPでは、税金について次のように説明されています。
税金とは、年金・医療などの社会保障・福祉や、水道、道路などの社会資本整備、教育、警察、防衛といった公的サービスを運営するための費用を賄うものです。
公的サービス(公共サービス)は、利益を出しにくく民間企業による提供が難しい一方で、国民の生活には欠かせないサービスです。国や地方自治体は、誰もやりたがらないけれども必要なことを行うため、それにかかるお金を税金として広く国民から集めます。
税金の種類
入試に出やすいのは税金の分類です。直接税と間接税、国税と地方税があるので、さまざまな税金がどこに分類されるのかを覚えましょう。
- 直接税…納税者が国や地方自治体に直接納める税金。
- 間接税…納税者が店などに税金を支払い、その店などが預かった税金を国や地方自治体に収める税金。
- 国税…国へ治める税金。
- 地方税…都道府県・市区町村へ納める税金。
たとえば、消費税は国税で間接税です。土地や建物を所有しているとかかる固定資産税は直接税で地方税(市区町村税)です。
税金と憲法
日本国憲法で税金に関連する条文は第30条と第84条を覚えましょう。
第30条は納税の義務を定めます。納税の義務は、教育の義務・勤労の義務と並んで国民の三大義務の一つです。
国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ。
第84条は租税法律主義を定めます。税金を課したり集めたりするには法律の根拠が必要です。
あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする。
税金の現状と課題
税金に関する話題のうち、中学入試で問われやすい消費税とふるさと納税について解説します。
消費税のメリットとデメリット
2019年10月1日から消費税が8%から10%に引き上げられました。増税の理由は、年金や医療などの社会保障にかかるお金を確保するためです。消費税にはメリットとデメリットがあり、どちらも記述問題として出やすいので、しっかり説明できるようにしましょう。
消費税のメリットとして財務省は次の3つを挙げています。
- 負担を分かち合う
- 税収が安定
- 経済活動に対する影響が小さい
特に1の理由は重要です。日本は少子高齢化が進み、働いて所得税を納められる人が減る一方で、年金や医療を必要とする高齢者が増えています。高齢者を支えるために現役世代(15~64歳)の負担を増やすのではなく、高齢者にも税金を負担してもらう仕組みが消費税です。
消費税のデメリットは、経済的に苦しい人ほど税金の負担割合が大きくなることです。消費税は税率が決まっているため、豊かな人も貧しい人も同じ物を購入すれば同じ金額の消費税を支払います。1人あたり年間20万円の消費税を支払うとすると、年収1000万円の人の負担割合は2%ですが、年収100万円の人の負担割合は20%です。
これに対して、所得税は、たくさんお金を稼いでいる人ほど多く払うように税率が変わります(累進課税)。
消費税のデメリットを緩和するため、一部の生活必需品の税率を8%にする軽減税率も導入されました。軽減税率の対象となるのは次の商品です。
- 酒類・外食を除く飲食料品
- 定期購読契約が締結された週2回以上発行される新聞
入試対策としては、何が軽減税率の対象になるのかを区別できるようにしましょう。たとえば、カップラーメンやインスタントラーメンは軽減税率の対象ですが、ラーメン屋で食べるラーメンは対象ではありません。
ふるさと納税の仕組みと問題点
日本では、都市部に人口が集中する一方で、地方には過疎が進んでいる地域も少なくありません。人口が減少すれば税収も減少します。このような都市部と地方の税収格差を是正するため、応援したい自治体(都道府県・市区町村)を選んで寄付できる「ふるさと納税」が始まりました。
ふるさと納税では、自分の生まれ育った自治体以外でも、寄付先の自治体を自由に選べます。また、ふるさと納税を行うと、所得税や住民税が控除(納めるべき税金が少なくなる)されます。
一方、ふるさと納税では、寄付に対する返礼品を送る自治体があります。返礼品の多くはその自治体の特産品です。寄付を多く集めるため高額な返礼品を準備する自治体もあり、返礼品競争が激しくなっていることが問題になっています。
税金を知ることの大切さ
小中学校の夏休みの課題には「税についての作文」などがあり、国が税について考える機会を学生に与えています。それだけ重要な仕組みが税金です。税金について知ることで、中学受験で有利になるだけでなく、国や社会の仕組みが見えてきます。
※記事の内容は執筆時点のものです
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