
算数の自由研究は中学受験生におすすめ! 数や図形の性質を調べる研究テーマ5選
夏休みに自由研究では理科や社会に関するテーマが選ばれがちです。
一方、算数に関するテーマで研究すると、算数が得意な中学受験生は、純粋に楽しめるだけでなく、算数をさらに深く勉強するきっかけにもなるでしょう。逆に、算数が苦手な受験生は、算数の意外なおもしろさに気づくかもしれません。
算数が得意でも苦手でもメリットが多い、「算数」をテーマにした自由研究を紹介します。
Contents
算数の自由研究のテーマ5選
算数の自由研究では、テーマ選びに失敗すると、調べようがなかったり、自分なりの結論を出せなかったりします。そうならないように、小学生でも取り組みやすいテーマを紹介します。
1. 数の性質について調べる
整数だけでも、偶数、奇数、素数、倍数、約数、三角数、四角数などの分類があります。小数や分数まで考えると、さらにいろいろな性質に気づけるでしょう。これらの規則性や計算ルールを調べます。
具体例として、倍数の判定法を考えてみましょう。倍数の判定法とは、「こういう整数は〇の倍数」という数の規則のことで、簡単なものでは「下1桁が偶数になる整数は2の倍数」というものがあります。
小学生の自由研究のテーマとしておすすめなのは、たとえば、「下2桁が00か4の倍数になっている整数は4の倍数」という判定法は本当に正しいのか、どうして正しいのかを考えてみる、というものです。理由を正しく証明するには中学数学の文字式を使う必要がありますが、小学生でも理解できる内容なので、調べてまとめてみるのもよいでしょう。
また、7の倍数の判定法に「一の位を消した数と、消した一の位の5倍の和が7の倍数」があります。たとえば、4578という数字で考えてみましょう。
- 4578 → 一の位を消した数と、消した一の位の5倍の数の和は?457+8×5=497
- 497 → 一の位を消した数と、消した一の位の5倍の数の和は? 49+7×5=84
- 84 → 一の位を消した数と、消した一の位の5倍の数の和は? 8+4×5=28
- 28=7×4なので、7の倍数です。したがって、4578も7の倍数だとわかるのです。
このように、自分で倍数判定法を見つけようとしたり、試してみたりするのは、算数が好きな子にはおもしろいはずですよ。
2. 図形の性質について調べる
図形の角度の大きさや辺の長さ、対称性などについて調べるのもおすすめです。折り紙などを折ったり切ったりして、実際にさまざまな図形を作ってみると、意外な性質に気づけることがありますよ。
例として、折り紙が三角形になるよう3回折ってから、左上を四角く切り取った場合を考えます。これを広げると、下の図のような図形ができます。切り方や切る場所を変えれば別の図形ができるので、いろいろな図形を実際に作ってまとめる自由研究も考えられます。
3. 遊びやゲームの規則や勝ち方を考える
さまざまな遊びやゲームの規則や勝ち方を考えるのも立派な自由研究です。
中学入試の算数でたまに出題されるゲームが一筆書きです。実は一筆書きには「奇点が0個か2個の図形は一筆書きできる」という規則があります。奇点とは、線が奇数本集まる点のこと。ちなみに、線が偶数本集まる点は偶点といいます。
このことは18世紀に大数学者オイラーによって証明され、「ケーニヒスベルクの橋の問題」として有名です。こうした歴史も調べてまとめると、より充実したレポートになります。
4. 自然現象から算数的な法則を見つける
自然現象の中には算数的な法則がいくつも隠れています。その法則を見つけて、本やネットを使ってさらに深掘りしてまとめてみましょう。たとえば、「素数と昆虫のセミについて」なんてどうでしょうか。
1と自分自身でしか割り切れない整数が素数です(1は除く)。2、3、5、7、11、13は素数ですが、4、6、8、9、10、12は素数ではありません。
実は昆虫のセミのなかには、この素数を利用する種がいるのです。
周期的に大量発生するセミを周期ゼミといいます。その中でも13年ごと、もしくは17年ごとに大量発生する周期ゼミは「素数ゼミ」と呼ばれます。北アメリカ東部に生息する素数ゼミは、天敵の大量発生を避けるため、もしくは絶滅リスクが高まる近隣種との交配(交尾)を避けるため、13年や17年という素数を周期に選んだと考えられています。素数ゼミは種として生き残るために算数を利用しているといえるでしょう。
5. 身近な道具の仕組みについて分析する
身近の道具には、算数的な仕組みで動いているものがたくさんあります。
たとえば、コンピューターの内部計算は、電流が流れない「オフ=0」と、電流が流れる「オン=1」の2パターンだけで行わなければなりません。そのため、0と1だけであらゆる数を表す「2進法」が利用されています。
たとえば、10進数の9は2進数の1001に、10進数の37は2進数の100101にそれぞれ変換されます。また、文字や画像、音声などのデータも2進数に変換されて処理されます。このような仕組みを分析してみましょう。
算数の自由研究で困ったら?
算数の自由研究を募集している一般財団法人「理数教育研究所Rimse(リムス)」では、レポートの書き方や過去の受賞作品などが紹介されています。「調べてわかったことをどうまとめればいいんだろう?」「どういうテーマだと自由研究にできるんだろう?」などの疑問がある場合、RimseのHPが参照になります。
また、学校の自由研究のテーマに算数が入っていなければ、算数をテーマにしてもよいかどうかを先生に相談してみましょう。自由研究は自分が興味を持ったテーマで行うと、よりよい作品となるはずです。
算数の自由研究はコスパがよい
算数の自由研究は、必要となる道具もほとんどなく、長期間の観察なども必要ないため、非常にコスパがよいという特徴があります。夏休みの宿題が早く終わることに加えて、算数の勉強にもなるので、まさに一石二鳥です。塾の夏期講習で忙しい中学受験生にこそ、算数の自由研究をおすすめします。
※記事の内容は執筆時点のものです
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