2023年入試で話題の「開成の算数が簡単だった問題」をエルカミノ・村上先生に訊く|3年後の中学受験#4
コロナ禍、少子化、物価の高騰……社会経済の影響を受けて、刻々とその姿を変えていく中学受験。
どんな子どもでも小学6年生というタイミングで受験と向き合わなければならない以上、中学受験の「今」だけでなく、「今後、何が変わって、何が変わらないのか」について、保護者は見きわめておきたいもの。
多くの中学受験塾や保護者への取材を重ねてきたノンフィクションライターで、『中学受験 やってはいけない塾選び』(青春出版社)の著者の杉浦由美子さんが、3年後を見据えて、中学受験のこれからを探る連載「3年後の中学受験」。
連載4回目のテーマは、2023年の中学入試で話題になった開成中の算数について。明らかに平易だったという噂ですが、果たしてこの傾向は続くのか? そしてその傾向は、中堅校にも流れていくのか? 難関校入試算数のエキスパートである「エルカミノ」村上綾一代表に取材しました。
2023年の中学入試で話題になったのが、開成の算数が明らかに平易だったということです。
このことに関して、ある大手塾の入試報告会では「求められる能力が変化している。問題を解く能力より、どう解いたかを表現する能力が問われる時代になっている」という分析がされていましたし、取材先の他塾の幹部もそれと似たことをおっしゃいました。
興味を持ったので、難関校の入試算数のエキスパートである「エルカミノ」村上綾一代表を取材しました。
Contents
なぜ、2023年開成入試はいつになく差がついたか
杉浦由美子(以下、杉浦) 今年の開成の問題が非常に易しかったことが話題になっていますが、これはどう合否に影響があったのでしょうか?
易しい問題だからこそ差がついた
村上綾一 エルカミノ代表(以下、村上) 今年の開成の算数は、合格者平均点と全体平均点の差が14.7もありました。例年だと10点程度の開きなので、今年はいつもより大きく差がついたといえます。
一般的には、難しい問題が多く出ると点差が開くというイメージがあろうと思いますが、実際はその逆。難問が出題されると受験生のほとんどが解けないため、かえって点差はつきません。
ただ、今年のようにみんなが解ける問題が中心だと、速く解けた受験生は見直しをしっかりできます。結果、ケアレスミスがなくなり、ギリギリまで問題を解いていて見直しができなかった受験生と差が出るわけです。
こうなってくると、たまたま得意なタイプの問題が出るか否かという運の良し悪しの部分が減り、学力が高い受験生が有利になっていきます。
御三家で難問奇問が減っている理由
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