
レモン電池が中学入試に出ても怖くない! 自由研究で定番の理科実験を解説
理科が好きな中学受験生なら「レモン電池」と呼ばれる装置を知っているでしょう。レモン電池は自由研究のテーマにぴったりなだけではありません。入試問題として出題されることもあるので、仕組みを知っておくと有利です。そんなレモン電池についてわかりやすく解説します。
Contents
自由研究でレモン電池を作る
夏休みの自由研究などでレモン電池を作ってみると、レモン電池の仕組みを楽しく理解できます。
レモン電池の作り方
レモン電池とは、レモンの果実に金属板を刺して電流を発生させる簡易な電池です。レモン電池を作るのに必要な材料は以下の通りです。
- レモン
- 電子オルゴール
- 亜鉛板
- 銅板
- クリップ付きリード線
レモン電池で発生する電流は小さいため、豆電球は点灯しません。電子オルゴールを使いましょう。
上記の材料で最低限の実験はできますが、いろいろ比較することを考えると、次の材料も用意しておくとよいでしょう。
- レモン以外の果物や野菜(ミカン、リンゴ、ジャガイモ、キュウリなど)
- 亜鉛板と銅板以外の金属(アルミニウム箔や鉄製フォークなどでも可)
レモン電池の作り方は簡単です。半分に切ったレモンの果肉に亜鉛板と銅板を刺し、それぞれの板にクリップ付きリード線をつなぎます。さらに、クリップ付きリード線を電子オルゴールにつなげば完成です。
レモン電池で実験すること
レモン電池を作って音が鳴ることを確認するだけだと、実験としては物足りません。以下のことを確認してみましょう。
- 電子オルゴールの音は時間の経過とともにどうなるのか?
- レモンに刺す金属板を亜鉛板だけ、銅板だけにしたらそれぞれどうなるのか?
レモン以外の果実や野菜、亜鉛板と銅板以外の金属も用意したのなら、これらの組み合わせを変えて、電子オルゴールの音がどうなるのかを比較してみましょう。
レモン電池の仕組みを理解する
レモン電池の仕組みを理解するには、中学理科で勉強するイオンの知識が必要です。中学入試でイオンについて問われることはありません。しかし、ざっくりと覚えておいた方が、レモン電池が入試に出たときに困らないでしょう。
イオンと電流の正体
地球上に存在するあらゆる物質は小さな粒子で構成されています。この粒子が原子です。原子の中心には原子核(陽子と中性子で構成)があり、その周りを電子がまわっています。陽子は正の電気を、電子は負の電気をそれぞれ帯びていて、陽子と電子の数は同じです。
原子が電子を失ったり取り入れたりするとイオンになります。電子を失ったイオンは、正の電気を帯びた陽イオンです。一方、電子を取り入れたイオンは、負の電気を帯びた陰イオンです。
また、電子の中には原子の間を自由に動き回れる自由電子があります。この自由電子の動きが電流の正体です。電流は+極から-極に流れるとされますが、自由電子は-極から+極に流れます。
レモン電池の仕組み
レモン果汁は、水にアスコルビン酸やクエン酸などが混ざった酸性の水溶液です。酸性の水溶液には、正の電気を帯びた水素イオンが含まれていて、この水素イオンが金属を溶かします。
亜鉛板と銅板を刺したレモン電池の場合、レモン果汁によって亜鉛板が溶けます。このとき、亜鉛原子が電子を失って、正の電気を帯びた亜鉛イオンになります。亜鉛原子から放出された電子がリード線を伝って銅板側に移動することで電流が流れます。電子は-極から+極に流れるので、亜鉛板側が-極、銅板側が+極であることがわかるでしょう。
レモン果汁に含まれる水素イオンは、銅板側に移動した電子を取り入れて水素原子になり、水素原子がくっついて気体の水素として空気中に出ていきます。
金属のイオン化傾向
金属が水溶液中で陽イオンになろうとする性質を金属のイオン化傾向といいます。金属のイオン化傾向は次の通りです。
リチウム>カリウム>カルシウム>ナトリウム>マグネシウム>アルミニウム>亜鉛>鉄>ニッケル>すず>鉛>(水素)>銅>水銀>銀>白金>金
レモン電池に刺す2種類の金属板は、イオン化傾向の差が大きければ大きいほど、流れる電流も大きくなります。そのため、亜鉛板と銅板の組み合わせの方が亜鉛板と鉄板の組み合わせよりもオルゴールの音が大きくなります。
レモン電池とボルタ電池
レモン電池と同じ仕組みで電流を発生させる装置にボルタ電池があります。ボルタ電池は、亜鉛板と銅板を硫酸に浸して電流を発生させる電池です。人類史上最初の電池なので覚えておくとよいでしょう。
レモン電池は中学入試で出る
レモン電池が中学入試で出るときは、実験などの説明が与えられるはずなので、それを読んで考えれば解けます。しかし、レモン電池の仕組みをイオンのレベルから理解しておけば解きやすくなるのは確かです。余力のある受験生は、自宅で実験した後、自分なりに知識をまとめておくとよいでしょう。
※記事の内容は執筆時点のものです
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