中学受験ノウハウ 学習 連載 中学受験算数の基礎力を伸ばす

約数と倍数の基礎力|中学受験算数の基礎力を伸ばす#10

専門家・プロ
2023年10月25日 さち

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中学受験は算数で決まる、とよく言われます。もっとも得意不得意が分かれやすく、点差がつきやすいとされるからです。この連載では、中学受験算数の基礎力を測る & 伸ばすアプリ「ドリる算数」を開発されているドリさんに、算数の基礎力とは何か、どう伸ばすべきなのかをうかがいます。
今回から、ドリさん先生に加えて新しく、さち先生が執筆担当として参加してくださいます。さち先生は、ドリるゼミ・計算くらぶの計算アドバイザーであり、基礎力を伸ばしたいお子様に向けて教材作成をされています。 また、ドリさん先生も引き続き、監修として記事の企画制作に携わっていただいております。パワーアップした連載をどうぞよろしくお願いします。

こんにちは!ドリるゼミ講師のさちです。

現在、ドリるゼミの「計算くらぶ」にて、ご家庭での計算力アップをサポートさせていただいております。
今回からドリさん先生に変わって、私が算数の基礎力についてお伝えしていきますね。
どうよろしくお願いします!

突然ですが、お子さまは約数と倍数の単元は得意ですか?

約数と倍数の文章問題は、約数・倍数どちらを利用する問題なのかを見分けられないなど、苦手を感じている子が多い単元です。

この記事では、以下の2つのポイントに分けて約数・倍数の基礎をお伝えします。
1つずつ確認し、苦手をつぶしていきましょう!

① 約数、倍数の求め方

②「あまりが出るわり算」の問題を解いてみよう

①約数、倍数の求め方

まずは約数、倍数の基本を確認しましょう。

約数

約数とは「ある数を割り切れる整数」のことです。

約数を求めるときは、ペアで書き出す癖をつけるともれなく書き出すことができます。

 

倍数

倍数とは「ある数を×1,×2,×3…してできる数」です。

×1を忘れやすいので注意しましょう。

②「あまりが出るわり算」の問題を解いてみよう

基本が確認できたところで、「あまりがでるわり算」にチャレンジしてみましょう!

まずはこちらの2問です。

お子様に考えてみてもらいましょう。

(1) 49を割ると4あまる整数をすべて求めなさい

(2) 77を割ると2あまり、49を割ると4あまる整数を求めなさい

いかがでしたか?

  • 求める部分を□として、わり算の式を作る
  • □にあてはまるのはどんな数か書き出してみる

という手順で進めると、何をすべきかが見えてきますよ。

それでは、(1)の解説です。
求める数を□として式を立ててみると、「45の約数を求める問題なんだな」ということが見えてきます。

(1) 49を割ると4あまる整数をすべて求めなさい

求めるのは、49 ÷ □ = △あまり4の□にあてはまる数

→ 49 − 4 = 45 をちょうど割り切れる数(45の約数)の中で、4より大きい数

→ 45の約数は1,3,5,9,15,45

答えは5,9,15,45

次に、(2)の解説です。

複雑そうに見えるかもしれませんが、実は(1)に1つ条件が加わっただけなので、同じ考え方で解くことができます。

(2) 77を割ると2あまり、49を割ると4あまる整数を求めなさい

求めるのは、以下の式の□にあてはまる数
  77 ÷ □ = △あまり2
  49 ÷ □ = 〇あまり4

→ 77 – 2 = 75、49 – 4 = 45をちょうど割り切れる数の中で、4より大きい数

→ 75の約数は1,3,5,15,25,75
  45の約数は1,3,5,9,15,45
両方に共通しているのは1,3,5,15

答えは5,15

続いて、こちらの2問にチャレンジです!

(3) 5で割ると4あまる2けたの整数を小さい順に5個求めなさい

(4) 5で割ると4あまり、3で割ると2あまる2けたの整数のうち、最も小さい数を求めなさい

いかがでしたか?

この2問も先ほどと同じように

  • 求める部分を□として、わり算の式を作る
  • □にあてはまるのはどんな数か書き出してみる

という手順で進めることができます。

それでは(3)の解説です。
求める数を□として式を立ててみると、「5の倍数+4」を求める問題だと気付くことができます。

(3) 5で割ると4あまる2けたの整数を小さい順に5個求めなさい

求めるのは、以下の□にあてはまる数
□ ÷ 5 = △あまり4

→ □ = 5 × △+ 4 (△=0,1,2…)

→ 書き出すと、4,9,14,19,24,29,34…

答えは14,19,24,29,34

次に、(4)の解説です。

式を立てることで

  • 5の倍数+4
  • 3の倍数+2

のどちらにも当てはまる数を求める問題なんだな、と分かります。

(4) 5で割ると4あまり、3で割ると2あまる2けたの整数のうち、最も小さい数を求めなさい

求めるのは、以下の式の□にあてはまる数
  □ ÷ 5 = △あまり4
  □ ÷ 3 = 〇あまり2

→ □ = 5 × △+ 4 (△=0,1,2…)
        □ = 3 × 〇+ 2 (〇=0,1,2…)

→ 書き出すと
  5 × △+ 4 : 4,9,14,19,24,29,…
     3 × 〇+ 2 : 2,5,8,11,14,17,20,23,26,29…
     一致する数は14,29… 

求めるのは2けたの整数のうち最も小さい数なので、答えは14

解説は以上です。

どの問題も

  • 問題文を読んで式を立てる
  • あてはまる数字を書き出す
  • 共通するものを見つける

という手順で答えを出せましたね。

パターンごとに解法を覚えると忘れた時に対応できなくなってしまいますが、この方法であればその心配はありません。

間違えてしまった人は、「ドリる算数」の【約数・倍数の基礎力プリント】でトレーニングしましょう。現在、無料でできます!(2023年10月時点)

 

 

まとめ

約数と倍数が苦手なお子さまは、次のポイントをチェックしましょう。

  1. 約数、倍数の意味と求め方を理解する
  2. 「あまりが出るわり算」の問題では、問題文を読んで式を立ててみる

「あまりが出るわり算」の問題で説明した

  • 問題文から式を起こしてその式をもとに考える
  • 条件に合う数字を書き出す

という方法は、約数と倍数以外にも応用できます。

解き方が分からなくても諦めず手を動かす姿勢は、難問に立ち向かう力となり、入試本番でも大きな強みになるはずです。

約数・倍数の問題が、それに気づくきっかけになりますように。

※記事の内容は執筆時点のものです

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