学習 連載 中学受験算数の基礎力を伸ばす

旅人算の基礎力|中学受験算数の基礎力を伸ばす#11

専門家・プロ
2023年11月22日 さち

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中学受験は算数で決まる、とよく言われます。もっとも得意不得意が分かれやすく、点差がつきやすいとされるからです。この連載では、中学受験算数の基礎力を測る & 伸ばすアプリ「ドリる算数」を開発されているドリさんの監修の元、ドリるゼミ・計算くらぶの計算アドバイザーのさち先生に、算数の基礎力とは何か、どう伸ばすべきなのかをうかがいます。

こんにちは!ドリるゼミ講師のさちです。

今回は旅人算の基礎力についてお届けします。

速さは中学受験算数の重要単元の1つですが、その中でもよく出題されるのが旅人算です。

旅人算で大切なのは

  • 図を書く
  • 距離の和や差に注目する

の2点です。

この記事で旅人算の基本の動きを確認しながら、基礎を固めていきましょう!

※速さの基本を確認したい方は

速さの基礎力を確認しよう|中学受験算数の基礎力を伸ばす#4

をご覧ください。

旅人算の4つの動きを確認しよう!

ここからは、旅人算の4つの動きを確認していきましょう!

お子さんに解いてもらう際は

  • 図を書こう!
  • 距離の和や差に注目してみてね

と声をかけてあげてください。

1. 出会う

まずは1つめは、出会いの旅人算です!

家と学校は900m離れています。
弟は分速60mで学校から家に向かって、兄は分速90mで家から学校に向かって同時に歩きだします。

(1)2人は1分あたり何m近づきますか。

(2)2人が出会うのは何分後ですか。

(1)2人の状況を図にしてみました。●が出発した時刻、△が1分後の2人の位置です。

  同じ時刻にいる場所を同じマークで表すと分かりやすくなります。

弟は1分あたり60m、兄は90m進むので、2人の距離は60+90=150mずつ近づいていきます。

答え.150m

(2)2人が出会ったときの図を書いてみましょう。

出発してから出会うまでの間に、2人は900m近づきます。

つまり、2人の進んだ距離の和が900mになることがわかりますね。

兄と弟は2人合わせて1分あたり150m進むので、

900m進むのは900÷150=6分後と分かります。

答え.6分後

2. 追いつく

続いて、追いつきの旅人算です!

弟は家から駅に向かって分速50mで歩きます。
弟が家から100m進んだところで兄が家を出発し、分速70mで弟を追いかけました。

(1)兄が歩き始めた後、2人は1分で何m近づきますか。

(2)兄が弟に追いつくのは、兄が歩き始めてから何分後ですか。

(1)兄が家を出発したとき、2人の距離は100m離れています。

1分後、弟は家から100+50=150m、兄は家から70mのところまで進んでいるので

2人の距離は150-70=80mです。

以上より、2人の距離は1分間で100-80=20mずつ近づいていくことが分かります。

(兄は1分で70m、弟は50m進むので、70-50=20mずつ近づくと考えてもOK)

答え.20m

(2)追いついたときの図を書いてみましょう。

追いつく=2人の距離がゼロになると分かります。

はじめ100m離れている2人が1分あたり20mずつ近づいていくので、

100÷20=5分後に追いつきます。

答え.5

3. 池の周りをまわる

3つめは池の周りをまわる旅人算です!

1周1200mの池の周りを1周する道があります。
姉は分速90mで、妹は分速60mでこの道の同じ地点から同時に出発します。

(1)姉と妹が反対方向に進むとき、2人が出会うのは何分後ですか。

(2)姉と妹が同じ方向に進むとき、姉が妹をはじめて追い越すのは出発してから何分後ですか。

(1)姉と妹が出会う時の図を書いてみましょう。

2人の進んだ距離の和が池の周り1周分(1200m)になっていますね。

姉は1分で90m、妹は60m進むので、2人が進む距離の和は1分あたり90 + 60=150mです。

2人合わせて1200m進むのは、1200÷150=8分後ですね。

答え.8m

(2)姉が妹を初めて追い越すのは、妹が周回遅れになったとき。

その時の2人が進んだ距離の差は池の周り1周分(1200m)です

こちらは図を書くのがなかなか難しいですね。イメージがつかめていればOKです。

2人の距離は1分あたり90-60=30mずつ広がっていくので、

差が1200mになるまでには1200÷30=40分かかります。

答え.40分後

4. 往復する

最後は、往復する場合を確認しましょう。

720m離れたA地点とB地点の間を、兄は分速100mで、弟は分速80mで往復します。
2人はA地点を同時に出発し、B地点に付いたらすぐに折り返します。
兄と弟がすれ違うのは出発してから何分後ですか。

兄と弟がすれ違う時の図がこちらです。

すれちがうのは2人の進んだ距離の和が720×2=1440mになるときですね。

兄と弟は、2人合わせて1分で100+80=180m進むので

1440m進むまでには1440÷180=8分かかります

答え.8分後

応用問題に挑戦!

旅人算の基本が確認できたところで、一歩踏み込んだ問題にチャレンジしてみましょう!

(1)A地点とB地点は720m離れています。兄は分速100mでA地点からB地点に向かって、
弟は分速80mでB地点からA地点に向かって同時に歩き出し、AB間を往復します。
2人が2回目にすれ違うのは何分後ですか。

(2)姉は分速90mでA地点からB地点に向かって、妹は分速50mでB地点からA地点に向かって同時に出発します。
2人はAB間の真ん中より120m離れた地点ですれ違いました。
2人がすれ違ったのは出発してから何分後ですか。

(1)2回目にすれ違う時の図、書けましたか?

2回目にすれ違う時は2人が進んだ距離の和=AB間の距離×3となります。

2人合わせて1分で100+80=180m進むので、すれ違うのは720×3÷180=12分後です。

答え.12分後

(2)苦手な人が多い問題ですが、いかがだったでしょうか。

2人がAB間の真ん中より120m離れた地点ですれ違った時の図がこちらです。

姉と妹が進んだ距離を比べるため、2人の進んだ距離を並べて書き直してみました。

すると、2人の距離の差=240mになっていることがわかりますね。

人が進む距離の差は1分間で90-50=40mずつ広がるので、240mの差ができるまでにかかる時間は

240÷40=6分

答え.6分後

まとめ

旅人算で大切なのは以下の2つです。

  • 図を書く

問題文を読み進めながら、状況を図に書き起こしていきましょう。

同じ時刻にいる場所を同じマークで表すと分かりやすくなります。

  • 距離の和や差に注目する

図が書けたら、その時の2人の距離の和や差を図から読み取りましょう。

図から読み取った距離の和や差と、1分あたりの距離の変化(=速さ)をもとに問題を解くことができます。

「2回目にすれ違う」など、状況設定が複雑な問題ほど、図を書いて状況を整理することが大切です。

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※記事の内容は執筆時点のものです

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