中学受験ノウハウ 連載 親子のノリノリ試行錯誤で、子供は伸びる

直前期に成績をグッと伸ばすために4~5年生の保護者がしておくべき準備―― 親子のノリノリ試行錯誤で、子供は伸びる

専門家・プロ
2023年11月22日 菊池洋匡

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自ら伸びる力を育てる学習塾「伸学会」代表の菊池洋匡先生がおくる連載記事。「親子で楽しく試行錯誤することで、子供が伸びる」ということを、中学受験を目指す保護者さんにお伝えします。

こんにちは。中学受験専門塾 伸学会代表の菊池です。

すっかり寒くなってきましたね。受験本番まで残りの日数も少なくなってきました。

6年生後半のこの時期は、模試の回数も増え、過去問演習も本格化します。

お子さんの学力によっては「冠講座」と呼ばれたりもする「○○中対策講座」もあるかもしれません。

そして、それぞれで、「合格圏」「不合格圏」という結果を突き付けられることになります。

子どもたちにとって、メンタル的にきつい時期ですね。

そうした結果を糧に成績が伸びる子と、やる気を失い勉強の質と量が低下して成績が停滞し、合格から遠ざかる子に分かれます。

果たしてどのようにすれば、最後にグッと伸びる後押しができるでしょうか?

今回の記事では、成績が停滞する原因と、伸ばすために親御さんがしておくべきことについてお話しします。

ぜひ早いうちから準備をしておいてくださいね。

成績が停滞する原因は?

中学受験本番を前にする今の時期、本来ならグッと伸びていってほしい成績が、停滞してしまう理由は何でしょうか?

①心が折れている

成績が停滞する原因として最も大きいのはやはりここです。

模試や過去問の結果が振るわず、とても合格はできなさそうという結果になると、やる気を失ってしまう子が大半です。

人間の内発的動機(自分の心の中から湧き上がるやる気)の源には、「自分で選んだ感(自律性)」「つながり感(関係性)」「できる感(有能感)」の3つの要素があります。

できなさそうだと思うとやる気が無くなるのは人間の自然なメカニズムです。

そして、この「できる感」というのは子どもの主観なので、親や指導者から見て「できるから頑張ろうよ!」と思うレベルでも、本人が「できなさそうだ」と思ってしまったらどうしようもありません。

「やったらできた」という経験を積み重ねることで、徐々に高いハードルに対しても「できそうだ」と思えるようになっていきます。

その心の成長には時間がかかります。

今の我が子が「できなさそうだ」と感じてやる気を失うようなら、今の我が子にあった課題設定・目標設定が必要になります。

例えば今の第一志望の過去問をやったときに、我が子は楽しそうに前向きに勉強するだろうか?と想像してみてください。

そうではなさそうだと思ったら、課題設定・目標設定を見直しましょう。

②課題が力量にあっていない

もし仮にメンタルが強い子で、「きっとできる!」と信じて努力をする子であったとしても、課題のレベルが合っていないと成長には繋がりません。

極端な話、小学生の子が中学校で習う数学の勉強を飛ばしていきなり高校生の数学の授業を受けたらどうなるでしょうか?

やる気があったところで基礎知識・前提知識が無ければ授業の内容は理解できませんよね。

それと同じように、速さがわかっていない子、比がわかっていない子が、速さと比の問題を勉強しても理解できません。

お子さんの力量に合わせたちょうど良い難易度の課題に取り組むことが、最速で成長する方法です。

親御さんがするべき解決策

では、どうすればお子さんが最後にグッと伸びるでしょうか?

それは魅力的な第2志望(実力適正校)を見つけておくことです。

「この学校に行きたい」という気持ちがあり、かつ「合格できそうだ」という手応えがあればやる気(内発的動機)が高まります。

そして、やる気が高まって勉強をするうちに、力が伸びてさらに高いレベルの入試問題にチャレンジできるようにもなっていきます。

魅力的な第2志望を持つことが、結果として、第1志望の合格も後押しをしてくれます。

ですから、親御さんとしては、お子さんの実力相応な志望校を見つけるように早い段階から動いておくのがおすすめです。

6年生になったときにどの程度の成績になっているのかは想像がつかないこともあると思いますので、偏差値にとらわれず幅広くいろいろな学校を見ておいた方が良いでしょう。

いろいろな学校を調べたり見に行ったりするためには時間がかかりますので、お子さんがまだ4~5年生のうちから学校探しをしておけると良いですね。

なお、これとは逆に、チャレンジングな受験校ばかりを選び、実力適正な学校を受験させないというやり方をする親御さんがいらっしゃいます。

追い込まれた状況に置いた方が、やる気が高まりしっかり勉強するだろうと期待してのことかと思います。

しかし、こうした「追い込まれた状況」から来るやる気はモチベーションの科学で言うと「外発的動機」で、「内発的動機」よりも弱いものになります。

そうした弱い動機付けで、他のライバルたちに勝る努力をすることは困難です。

「背水の陣」は本来兵法的には愚策で、うかつに使えば待っているのは惨敗です。

「起死回生」「一発逆転」「イチかバチか」なギャンブルに走らず、勝つべくして勝つためには、「背水の陣」のような奇策ではなく正攻法でお子さんのやる気を高めるようにアプローチしていきましょう。

まとめ

  • 実力不相応な目標しかないと多くの子は心が折れる
  • 仮に心が折れなかったとしても、実力不相応な問題を解いていても力がつかない
  • 実力相応な目標を持ち、実力相応な課題に取り組むことが、最速で力を伸ばしてチャレンジングな受験の成功にもつながる

あなたのお子さんにとってちょうど良い志望校を見つけてあげてくださいね。

それでは。

 

※記事の内容は執筆時点のものです

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