気持ちが折れそう……期待通りに動かない子どもに悩んだときの3つの対処法―― 親子のノリノリ試行錯誤で、子供は伸びる
こんにちは。中学受験専門塾 伸学会代表の菊池です。
今回の記事では、読者の方から寄せられた「子どもより先に親が折れそうになったときにはどうしたら良いですか?」というご相談に回答していきたいと思います。
最近「教育虐待」などの重いテーマで記事を書きましたので、読んで不安になった方も多いと思います。
子どもに無理に勉強をさせれば虐待になり、子どもの心身の健康を害するかもしれない。
かといって、放っておけばいつまで経っても遊んでばかりで勉強しない。
もちろんこうした状況を改善する方法としてもっとも良いのは、親自身が子どもへの対処法を学ぶことだと皆さんご存知だと思います。
子どもが自発的に勉強したいと思うように導くための声かけや環境づくりについて、正しい知識を身に付けることは大切なことです。
だからこそこの連載も読んでくださっているのでしょう。
しかし、正しい知識を持ち正しい働きかけをしたとしても、子どもは親とは別の人格を持った人間ですから、子どもが親の期待通りに動かないこともあります。
どうしたら良いかわからず、もう手詰まり。
そんな風にお悩みの方も多いのではないでしょうか。
そこで、今回はそんなときに対処法について3つお伝えしようと思います。
参考にしてみてください。
子どもの行動に悩んだときに読みたい3つの対処法
①完璧主義を手放す
まず1つ目の対処法は、「完璧主義」を手放すということです。
中学受験における悩みの原因は何でしょうか?
わがままを言う子供でしょうか?宿題をやらない子供でしょうか?
そうではありません。
悩みの根本原因は親の「こうであって当然」という完璧主義な思い込みにあります。
完璧主義が強いと、理想と現実のギャップが目につくようになります。
例えば、他の家の子供と比べて「うちの子だけ当然のことができていない」と思ったりするときは、完璧主義になっているのです。
「昨日の土曜日は午後から早めに塾に行って13時から4時間自習をし、その後に17時から4時間授業を受けて帰宅。
そして日曜日の今日も朝から4時間模試を受けて、昼からは塾の特別講座で5時間みっちり勉強。
でも、そのあと家に帰ってきてYouTubeを1時間も見ているので、『復習もしないでダラダラして受験生としての自覚が足りない』と思ってモヤモヤしてしまう。」
そんな親御さんが少なからずいます。
受験生たるもの、可処分時間の全てを勉強に捧げるのが当然であると。
その「完璧・当然」をここでいったん疑ってみましょう。
まずは、学校を職場だと思ってください。
すると学習塾は「副業」です。
宿題は「持ち帰りの在宅ワーク」、土日の特別講座は「休日出勤」です。
ここまで含めて、学校・塾の滞在時間を総計して労働基準法と比較してください。
いかがでしょうか。
「たとえやりたくなくても、嫌でも学校に行き、塾に行き、必ず宿題を終わらせるのが当然。成績が上がるというやりがいがあるはずだから」とは、ブラック企業の「当然」に思えてきませんか。
「受験生たるもの常に向上心を持ち、成績アップ・合格のために全力で勉強するべし」というのも、「社会人たるもの常に向上心を持ち、給料アップ・昇進のために全力で仕事をするべし」と置き換えてみましょう。
昨今の「ワークライフバランス」とは真逆の、昭和な香りを感じないでしょうか。
あなたのお子さんは、子どもなりに頑張っています。
いえ、子どもなのに、ものすごく頑張っています。
親が夢見る「理想の受験生」は実在しません。
いたとしても「大谷翔平」か「藤井聡太」レベルのレアキャラです。
そんな「理想の受験生」に我が子がなれないからといってもやもやしていたら、親子ともに疲弊します。
完璧な状態と現実のギャップに目を向けるのをやめて、まずは現状をありのまま受け入れるようにしましょう。
現状を受け入れ、そして我が子はすでに十分頑張っていると気付けると、それだけで心のもやもやが1つ晴れるはずです。
そして、現状をより良くするために、ここからできることは何かを考えるように、思考を切り替えていきましょう。
②ホンネを話せる仲間を作る
先ほど「理想の受験生は実在しない」とお伝えしました。
そのことを実感させてくれるのは、同じような悩みを抱える子育て中の仲間です。
先日、保護者セミナーのあとに懇親会を行ったのですが、参加した方たちから「同じ悩みを抱えている人が多いことがわかって安心しました」というお声をたくさんいただきました。
「うちの子だけ当然のことができていない」が大きな誤解だということを、しっかりと認識できたようです。
リアルの学校の保護者つながりだと、マウントの取り合いや探り合いがあったりして余計に疲れることもあります。
ですから、SNSなどを活用して、ホンネが話せる仲間を探して繋がれると良いですね。
③責任転嫁する
「中学受験は親の受験」とか「親が8割」とか言われたりすることがあるので、プレッシャーを感じてしまう方も多いのではないでしょうか。
確かに、子どもの勉強に関して、親御さんがサポートしてあげられることはいろいろあると思います。
適切なサポートをすることで、子どもの能力を引き出すことも一定程度できるでしょう。
しかし一方で、子どもの性格や能力は持って生まれた遺伝的な素養によって決まっている割合も大きいものです。
性格は4割ほど、IQなどは6~7割くらい遺伝で決まっているそうです。
また、環境による影響も、家庭環境よりも学校などの外的環境の方が大きいそうです。
ですから、「自分の育て方にかかっている」と全てを抱え込んだりせずに、「自分がコントロールできないことに関しては自分の責任ではない」と、正しく認識していきましょう。
そうすれば、また1つ気持ちが楽になるはずです。
まとめ
以上、親の心が先に折れそうになったときの対処法でした。
多くの場合、心が折れそうになるのは、「間違った思い込み」から勝手に心の重荷を増やしてしまっているときです。
それらを手放して、ありのままのお子さんを受け入れることから始めましょう。
そして、親子で一緒に成長することに意識をむけてくださいね。
※記事の内容は執筆時点のものです
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