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炭酸水素ナトリウムと塩酸を混ぜるとどうなる? 重曹の性質や反応を整理して覚える

2023年11月29日 みみずく

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「炭酸水素ナトリウム」は、中学受験生にとってあまりなじみのない物質でしょう。しかし、塾の教科書や問題集にはさらっと載っていることが多く、難関校の入試でもしばしば出てきます。そんな炭酸水素ナトリウムについて知識を整理して覚えましょう。

炭酸水素ナトリウムとは何か?

炭酸水素ナトリウムは用途が広く、日常生活でもよく使われます。

炭酸水素ナトリウムの用途

炭酸水素ナトリウムは、医療品、粉末石鹸、消火剤などとして使用されます。重曹として市販されているので、実際に見たことのある受験生もいるでしょう。重曹は弱アルカリ性で、キッチンのぬめり取りなど、酸性の汚れを落とすのに役立ちます。

また、パンや焼き菓子を作るときに使うベーキングパウダー(膨らし粉)は、重曹を主成分として、その効果を高める物質を混ぜたものです重曹は熱で分解して二酸化炭素を発生させるので、パンなどの膨張に使われます。

重曹をクエン酸と混ぜ合わせ、それに水を加えると炭酸水になります。この反応でシュワッと出る泡が、炭酸水の原料である二酸化炭素です。クエン酸はレモンや梅干しなどに含まれる酸性の物質です。クエン酸自体も市販されていて、健康食品として摂取するだけでなく、アルカリ性の水垢を落とすのにも役立ちます。キッチンの掃除には、重曹とクエン酸の両方を使うのがおすすめです。

炭酸水素ナトリウムの性質

炭酸水素ナトリウムには「炭酸」という言葉が入っていますが、その水溶液は酸性ではなく弱アルカリ性です。似たような名前の炭酸ナトリウム水溶液は炭酸水素ナトリウム水溶液よりも強いアルカリ性なので、混同しないようにしましょう。

炭酸水素ナトリウム水溶液が弱アルカリ性であることを確認するには、リトマス紙、BTB溶液、フェノールフタレイン溶液などを使います。それぞれの色の変化は以下の通りです。

  • リトマス紙 … 赤色リトマス紙が青色になる。
  • BTB溶液 … 青色になる。
  • フェノールフタレイン溶液 … 無色から薄い赤色になる。

炭酸水素ナトリウムの化学反応とは?

中学受験生が覚えておくべき炭酸水素ナトリウムの代表的な化学反応は2種類です。それぞれを詳しく解説します。

炭酸水素ナトリウムの熱分解

炭酸水素ナトリウムを加熱すると、炭酸ナトリウムと水と二酸化炭素に分解します。発生するそれぞれの物質に関する基本的な性質や確認方法を覚えておきましょう。

まず、炭酸ナトリウム水溶液は炭酸水素ナトリウム水溶液よりも強いアルカリ性です。フェノールフタレイン溶液が濃い赤色になるので、薄い赤色の炭酸水素ナトリウム水溶液とは異なることがわかります。重曹を使ってホットケーキを焼くと炭酸ナトリウムが生じて苦みが出ます。その苦みを取るために工夫されているのがベーキングパウダーです。

次に、水が生じたことを確認するのに使うのは塩化コバルト紙です。塩化コバルト紙に液体を付着させて、青色から桃色(ピンク色)に変われば、その液体が水であると判断できます

最後に、二酸化炭素が生じたことは、石灰水に通して白く濁ることで確認できます。また、二酸化炭素は水上置換で集めます。二酸化炭素が水にあまり溶けない気体だからです。ただ、高い圧力をかけると水に溶けて炭酸水になり、弱酸性を示します。

炭酸水素ナトリウムの熱分解実験では、実験器具の使い方にも注意が必要です。まず、炭酸水素ナトリウムを入れて加熱するのに使う試験管の口を少し下げます。これは、発生した水が過熱部分に逆流して試験管が割れるのを防ぐためです。次に、実験終了時、ガスバーナーの火を止める前にガラス管を水の外に出します。これも、水が逆流して試験管が割れるのを防ぐためです。

 

炭酸水素ナトリウムと塩酸の反応

炭酸水素ナトリウムと薄い塩酸を混ぜると、塩化ナトリウム(食塩)と二酸化炭素と水が発生します

二酸化炭素は気体なので、発生した後、空気中に逃げていきます。そのため、実験後にビーカーに残った物質の重さは実験前より軽くなります。一方、密閉した容器内で実験を行えば、反応の前後で物質の重さは変わりません。これを「質量保存の法則」といいます。

炭酸水素ナトリウムの代表的な反応では、どちらも二酸化炭素と水ができます。特に二酸化炭素は問題に出やすいので、中学受験生はしっかり覚えておきましょう。

炭酸水素ナトリウムが出ても慌てないように

塾の教科書や問題集では、炭酸水素ナトリウムについてあまり詳しく書かれていないことが多いので、難関校志望の受験生でも見落としてしまうことがあります。入試本番で炭酸水素ナトリウムに関する問題が出ても慌てないように、しっかり理解しておくとよいでしょう。

重曹はドラッグストアで簡単に手に入ります。受験までまだ間がある学年なら、年末の大掃除に使用したり、クエン酸と反応させて泡が出ることを確認したりして、体験しながら知識の定着を図るのもおすすめです。

※記事の内容は執筆時点のものです

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