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第一志望校の倍率が今年は下がるらしい!? どう考えるべき?|下剋上受験 桜井信一の中学受験相談室

専門家・プロ
2023年12月21日 桜井信一

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『下剋上受験』でおなじみ、桜井信一さんが中学受験を考える親御さんのさまざまな悩みに答えます。今回は小6のお子さまをもつ親御さんから、志望校の予想倍率についての相談です。

今回の相談

先日、某先生方のツイッターのスペースで、模試の動向から見た今年の学校別の倍率の話をされていて、そこでうちの息子の第一志望校の倍率が下がる、と予想されていました。

これをどうとらえたらいいのか、なんだか胸がざわざわしてしまって、どうにも落ち着かずに相談します。
いろいろなところから予想倍率が出ますが、実際のところどこまで参考にすべきなのでしょうか。

我が子にとってその第一志望校はチャレンジ校という位置づけで、模試の合格可能性は30%代、過去問でも合格最低点にはいまだ届かず、あきらめたほうがいいかもしれないとすら思っている状況です。

しかし、受験倍率が下がるならやはり挑戦させてやるべきなのか。
それとも、公共の場所で著名な先生が倍率減に言及されたからには、実倍率はもう少し上がるのだから、やはり厳しく可能性を見るべきなのか。

以前も桜井先生が「中学受験は心理戦」とおっしゃっていたのを思い出して質問してみます。

相談者:ふらふらママ
お子さまの学年:小6


桜井さんの回答

ふらふらママさま、こんにちは。

旬なハンドルネームですね。当時は私も色んな事にふらふらにされました。いつもなら何ともないことが、この時期は過敏になるのです。仕方のないことですね。

まず、倍率の話は当たるも八卦当たらぬも八卦といったところでしょう。占っておくことに損はない商売でしょうから「やってみなければわからない」とは言わない。

でも実は、わからないはずです。その先生しかわからない資料なら話は別ですが、誰でも見ることができる資料ですから、「これはチャンス」と思ったら受験しようと考える人もいるでしょう。しかし、そう考える人が多いから逆に減るかもしれないと考える人もいる。合格しやすいとなると、さらに上に流れる可能性だってある。他人の動きなんてわからなくて当然。当たったときは長年のカンと言っておけばいいわけです。

間違いないのは、どの学校もほぼ合格するであろう受験生で定員が埋まることはないということ。チャレンジ組の空席が一定数あるということ。つまり、枠の上下はあるけれどチャンスはあるのです。

合格発表の日、確認するかのうように受験番号を見る子が何人もいました。よほどのことがない限り合格していると思っていたのでしょう。合格発表は確認の意味だった。すごいと思いました。最難関なのにとふるえました。ところが、ちゃんと歓喜もある。意外と数がいるんだなあと思いました。やっぱりチャンスはあったんだと思うと泣けてきました。

よく考えてみてください。社会でたまたま得意な江戸時代が大問ひとつまるまる出題されたとします。これだけでチャレンジ組はバーを越えそうになります。算数で、たまたま一週間前に勉強した問題が大問で出題されたとします。この程度の軽いラッキーでチャレンジ組はバーを越えて向こう側に跳んでしまうのです。

だからこそ、最後の1か月の勉強が大事なのです。学力が志望校に達していない場合は、半年前の勉強よりも直前の勉強の方が重要。

ここからが勝負です。そして、某先生のおかげでチャレンジする気になったと投稿してあげてください。きっと、占った甲斐があったと思うことでしょう。そういうことです。

※記事の内容は執筆時点のものです

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