中学受験ノウハウ 連載 桜井信一の中学受験相談室

受験直前の今、好きな人ができた?!勉強どころじゃない娘に、親はどう対応すべき?|下剋上受験 桜井信一の中学受験相談室

専門家・プロ
2023年12月26日 桜井信一

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『下剋上受験』でおなじみ、桜井信一さんが中学受験を考える親御さんのさまざまな悩みに答えます。今回は、受験直前の大事なこの時期、恋愛に夢中になってしまった小6のお子さまを心配する相談です。

今回の相談

受験を控えた娘に好きな人ができたそうです。

娘は女の子にしてはおそらく少し遅かったというか、これまでそれほど恋愛に興味がなく、おそらくは初めてのちゃんとした恋に舞い上がったり急に泣きだしたりと、メンタルが大変なことになっています。私のメンタルは別の意味でどうにかなりそうです。

「あなた、そんなことやってる場合じゃないでしょう」と怒鳴りたいですが怒鳴っちゃだめだと思い、でも「そうなんだ、応援するよ」と言える気はどうしてもしません。

受験は、第一志望校はおそらく厳しいけどワンチャンありか、併願校のどれかには必ず引っ掛かりたい、というような状況です。ずっと目も当てられなかった社会が、ここへきてようやくほんの少し伸びてきました。直前の詰め込みが効きそうな気配で、もう少し踏ん張らせたいと思っていた矢先にこれです。

なお、相手の子の第一志望校は、はっきりしたことはわかりませんが、おそらく同じではないようです。残念です。

愚痴のようですみません、こういう受験生を見たことはありますか? そのとき親御さんはどうしてましたか? 何か一言でもアドバイスがほしいです。

相談者:ぺんぺん草
お子さまの学年:小6


桜井さんの回答

ぺんぺん草さま、こんにちは。

恋というのは「火」なんですよね。少しでも反対しようものなら、それは「油」となります。中学受験までもう少し時間があれば考えようがあるのですが、あまりにも直前期すぎて、リスクのある対処法は避けた方が良いと思います。

恋という漢字をよく観察してみると、下半分は心ですね。その上に人が立っていて両腕でバランスをとろうとしているように見えます。ちなみに、恋は瞬間的なものを指し、愛は時間をかけて育んだものを指すそうですが、どちらも人生に彩りを添えてくれる重要な心ですね。

ところが、受験や仕事、何かを頑張らなければいけないときには、面倒な心になります。食事や睡眠のように、いつでも必要ってわけではなく、ときには邪魔な心になるのです。

娘が6年生のとき、好きな男の子がいました。夢中になっているというほどでもなかったとは思いますが、中学受験が終わってすぐのバレンタインにはその子の自宅にチョコを持って行きましたから、おそらくずっと頭の隅にあったのでしょう。でもやっぱり、中学受験が疎かになるほどの気持ちではなかったんだと思います。これは優先順位の問題ですね。

そうして切り抜けた中学受験のあと、がやってきました。その「嵐」そのままです。

そういえばどの番組をみても嵐が出ているような気がする。嵐が娘の高校時代の勉強時間ほぼ全てを奪いました。2の3乗は「ニノ参上!」に聞こえるほどの重症。娘を叱るべきか嵐を恨むべきか、為す術がなくイライラした毎日が続きました。

この問題は別に娘だけの特別な話ではなく、お友達の中にアイドルに夢中で勉強どころではない子がちょこちょこいたように聞いています。仲の良いお友だちの中には、リアルな恋愛に夢中で勉強どころではない子もいました。

じゃあ、アイドルや恋愛に対して興味の薄い子だけが優秀かというとそうではないという現実があります。しっかり切り分けることができる子や、夢中でもわずかに残ったその時間で結果を出す子もいます。

よく考えると、恋愛問題というのは学生時代から社会人までずっとついてまわります。両立とまではいかなくても、うまく心の上でバランスをとって立たないといけないのです。

「とうさんはそういうのが不器用でね。こっちをはっきりさせてから、本来の道に戻ろうなんて考えてしまう子どもだったよ。野生動物で考えるとそのバカさ加減がよくわかるんだけどね。メスに夢中で狩りをしないんだから、そりゃ真っ先に空腹になって仲間にペコペコするハメになるよね。挙げ句の果てにその姿をみたメスにも愛想を尽かされてしまう」

あたまカキカキしながら話す私に、娘は何を思ったのかいつか聞いてみたいと思います。

我が家では恋愛問題に関して、反対も賛成もしないと決めています。いつかそのときがくるまでは、どちらの態度もとらないことにしているのです。

ぺんぺん草さまも、この問題に敏感にならず、むしろ無関心なフリをしてみてはどうでしょう。想像してみてください。その方がうまくいきそうな気がしませんか。

※記事の内容は執筆時点のものです

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