学習 連載 中学受験算数の基礎力を伸ばす

「水量の変化」の基礎力|中学受験算数の基礎力を伸ばす#13

専門家・プロ
2024年1月18日 さち

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中学受験は算数で決まる、とよく言われます。もっとも得意不得意が分かれやすく、点差がつきやすいとされるからです。この連載では、中学受験算数の基礎力を測る & 伸ばすアプリ「ドリる算数」を開発されているドリさんの監修の元、ドリるゼミ・計算くらぶの計算アドバイザーのさち先生に、算数の基礎力とは何か、どう伸ばすべきなのかをうかがいます。

こんにちは!さちです。

突然ですが、お子さまは「水量の変化」に関する問題は得意ですか?

  • 容器に入っている水の体積や深さを求める
  • 容器に円柱や角柱を沈めた時の水の深さの変化を求める
  • 水を入れた容器を傾けてこぼれた水の量を求める

など、中学受験算数では、水に関する問題がよく出題されます。

比や仕事算などとからめて出題されることも多いので、そのような問題に取り組む前に基礎を確認しておきましょう。

この記事では、「水量の変化」の基礎力について、以下の3つに分けてお伝えします。

  1. 体積と水量の基本
  2. 視点を変えてみよう
  3. 容器に角柱をいれると…?

1. 体積と水量の基本

まずは基本事項のおさらいです!

次の問題をお子さまに解いてもらってください。

下のような直方体の容器があります。

(1)この容器の容積は何Lですか。
(2)この容器に18dLの水を入れると、水の深さは何㎝になりますか。

では、解説です。

(1)容積は底面積×高さで求められます。

底面積は20×30=600㎠、高さは20cmなので
容積は600×20=12000(㎤)と計算できました。

次に単位をLに変換します。
1000㎤=1000mL=1Lなので、
12000㎤=12L と分かります。

答え 12 L

答え 12L

(2)18dL=1800mL=1800㎤なので、水の深さを□cmとすると次の式が立てられます。
600×□=1800
□=1800÷600=3

答え 3 cm

ポイントは

  • 水量=底面積×高さ
  • 単位の換算(L・dL・mL⇔㎤)

です!

まずはここをしっかり押さえておきましょう。

体積の単位変換は、「ドリる算数」の体積の単位変換 で練習できます!

2. 視点を変えてみよう

次の問題です。

以下の問題を解いてみてください。

① 図1のような直方体を組み合わせた容器に、48Lの水が入っています。
容器にふたをして面ABCDEFがゆかにつくように置くと、水の深さは何cmになりますか。

② 図2は三角柱を横に倒した容器に10cmの深さまで水を入れた様子です。
入っている水の体積は何㎤ですか。

それでは答えです。

① 面ABCDEFがゆかにつくように置くと図3のようになります。
この立体の底面積は40×60-30×30=1500(㎠)です。

48L=48000㎤の水が入っているので、水の深さを□cmとすると次の式が立てられます。

1500×□=48000
□=48000÷1500=32

答え 32 cm

② 水が入っている部分を面DBCEが上になるように置きかえると、
図4のように「底面が台形の四角柱」と考えることができます。

この立体の底面積は(6+20)×10÷2=130(㎠)、高さは20㎝なので、水の量は
130×20=2600

答え 2600 ㎤

ポイントは

  • 初めの図では側面になっている面を底面だと考える

です!

「底面=下になっている面」とは限りません。

どの面でも、その面を下にすると底面になります。

視点を変えて「別の面を底面と考える」という発想を持っておきましょう!

3. 容器に角柱をいれると…?

最後にこちらの問題にチャレンジしてみましょう!

底面積が100㎠の水そうに、6cmの深さまで水が入っています。
底面積が20㎠の角柱を水そうの底につくまで入れると、下の図のようになりました。
このときの水の深さは何㎝ですか。

それでは、解答です。

水そうに入っている水の量は
100×6=600(㎤)

また、角柱を入れたあとに水そうを上から見ると、下の図のようになるので
水が入っている部分の底面積は
100-20=80(㎠)

角柱を入れる前後で水の量は変わらないので、深さを□cmとすると次の式が立てられます。

80×□=600
□=600÷80=7.5

答え 7.5 cm

いかがでしたか?

難しそうに見えますが、水量=底面積×高さという基本の考え方を使って解くことができました。

まとめ

「水量の変化」が苦手なお子さまは以下のポイントをチェックしましょう。

  • 基本は「底面積×高さ」です。迷ったときはここに立ち返りましょう!

  • 下になっている面=底面とは限りません。「側面を下にする」という視点を持ちましょう!

  • 角柱を立てる問題では底面積の変化に注目してみましょう。底面積がどう変わるかが分かれば、あとは底面積×高さで問題を解くことができます。

以上です。

「水量の変化」の問題が得意になりますように!

※記事の内容は執筆時点のものです

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