学習 算数

和差算を線分図や計算で解く方法を解説! 公式当てはめをやめて特殊算の土台を学ぶ

2024年1月25日 みみずく

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中学受験生が最初に学ぶ特殊算の一つが和差算です。公式に当てはめて解いている受験生もいるかもしれませんが、それだと応用問題で手も足も出なくなります。公式に頼らない和差算の解き方を理解しましょう。

2つの数の和差算の解き方

和差算は、いくつかの数の和と差からもとの数を求める特殊算です。典型的な和差算の【問題1】を解いてみましょう。

【問題1】大小2つの数があります。2つの数の和は58、差は4です。大小2つの数をそれぞれ求めなさい。

和差算を線分図で解く

【問題1】では、大小2つの数があるので、下の線分図のように2本の線を描きます。和の58と差の4も書き込んでおきましょう。

下の図のように、小さい数の線に差の4を足してみます。そうすると、大きい数×2=58+4=62とわかるので、大きい数は62÷2=31です。

一方、下の図のように、大きい数の線から差の4を引いてみます。そうすると、小さい数×2=58-4=54とわかるので、小さい数は54÷2=27です。

線分図を描いてみると、次の関係が成り立っていることも理解できるでしょう。これを「公式」として覚えている受験生も少なくないはずです。

  • 大きい数=(和+差)÷2
  • 小さい数=(和-差)÷2

和差算を計算で解く

大きい数を□、小さい数を△として和と差の式を作り、消去算の考え方を利用して計算で解くこともできます。実際に和と差の式を作ると次の通りです。

  • 和:□+△=58
  • 差:□-△=4

消去算では、□か△のどちらかを消すことを考えます。(和+差)=(□+△)+(□-△)=58+4です。+△と-△に注目して△-△=0なので、□×2=62となります。したがって、□=62÷2=31より、大きい数は31です。

□=31を和の式に代入して(置きかえて)、31+△=58となります。△=58-31=27より、小さい数は27です。

3つ以上の数の和差算の解き方

公式が使えない3つ以上の数の和差算も線分図や計算で解いてみましょう。

3つの数の和差算の解き方

【問題2】太郎君、次郎君、三郎君の3人がはじめに持っていたお金の合計は10000円でした。太郎君は1500円の本を買い、次郎君は1000円の本をそれぞれ買ったところ、太郎君の持っているお金は次郎君の持っているお金より1200円少なくなり、三郎君の持っているお金と同じ額になりました。太郎君がはじめに持っていたお金はいくらですか。

【問題2】はお金の問題ですが、和差算の考え方で解けます。長い問題文を正確な線分図で表しましょう。

まずは、太郎君と次郎君が本を買った後、太郎君が持っているお金は、次郎君が持っているお金より1200円少ないので、太郎君の線より次郎君の線を長く描きます。また、太郎君が持っているお金は、三郎君の持っているお金と同じ額になるので、三郎君の線は太郎君の線と同じ長さにします。

次に、太郎君の線に、本を買うのに使った1500円を描き加えます。同じく、次郎君の線に、本を買うのに使った1000円を描き加えます。

ここまで描いた上で、はじめに持っていたお金が一番少ない三郎君について、(三郎君の持っていたお金)×3=10000-(1500+1200+1000)=6300となり、三郎君の持っていたお金は6300÷3より2100円とわかります。したがって、太郎がはじめに持っていたお金は2100+1500=3600(円)です。

4つの数の和差算の解き方

【問題3】花子さんは国語、算数、理科、社会のテストを受けました。国語と算数の平均点は91点で、4科目の平均点は90点でした。算数が理科より3点高く、社会より5点低いとき、国語は何点ですか。

【問題3】には平均が出ていますが、平均から合計点を求められるので、和差算の問題として考えることができます。線分図を描くのが大変そうなので、計算で解いてみましょう。

国語を□点、算数を△点、理科を■点、社会を▲点として、次の4つの式を作ります。国語と算数の平均点が91点なので、国語と算数の合計点は91×2=182(点)です。また、4科目の平均点が90点なので、4科目の合計点は90×4=360(点)で、理科と社会の合計点は360-182=178(点)です。

  • 国語と算数の合計点:□+△=182 … ①
  • 理科と社会の合計点:■+▲=178 … ②
  • 算数と理科の点数差:△-■=3 … ③
  • 算数と社会の点数差:▲-△=5 … ④

まずは、①~④の式を見て、「□、△、■、▲のどれかを消せないか?」を考えます。③+④=(△-■)+(▲-△)=3+5で、△-△=0なので、▲-■=8 … ⑤となります。

次に、②+⑤=(■+▲)+(▲-■)=178+8で、■-■=0なので、▲×2=186となります。したがって、▲=186÷2=93(点)です。

最後に、▲=93を②に代入して■+93=178より■=178-93=85、■=85を③に代入して△-85=3より△=3+85=88を求められました。したがって、国語の点数は、△=88を①に代入して□+88=182より□=182-88=94(点)です。

和差算は特殊算の土台になる

線分図や計算を使った解き方は他の特殊算でも使えます。そのため、和差算でさまざまな解き方を試してみると、その経験が特殊算を考える上での土台になります。和差算を公式当てはめにしないことが大切です。

※記事の内容は執筆時点のものです

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