学習 理科

磁力線と電流と方位磁針の関係まとめ

2018年5月08日 東荘一

「方位磁針のN極は磁力線の方向を向く」。単純な話であるにもかかわらず、なぜ磁力線の問題を苦手にする子供が多いのでしょうか。理由は簡単で、磁力線が直線方向に進まないからです。

つまり磁力線と電流と方位磁針の関係を、立体空間の中で理解する必要があるということです。逆に言うと、これらの3次元的な関係さえ完全に把握してしまえば、磁力線の問題は理解できると言っても過言ではありません。

さらに言うと、「電流の向き」と「導線の手前側および向こう側における磁力線の方向」で充分なのです。理由は後述しますが、そのつもりで特に前半部分をじっくりと読み進めて下さい。

磁力線と導線を流れる電流との関係

導線に電流が流れたときに発生する磁力線の向きを理解するためには、「接線」の概念を知っておく必要があります。ところが小学生の算数において、「接線」は登場しないという現実があります。

以上の点が、子供にとって磁力線を理解しにくい最大の原因でしょう。「接線」の概念は「物体の運動」においても必要となりますので、ぜひとも習得していただきたいものです。

私の経験上、雰囲気は子供にも理解できるようですから、ここが最大の砦だと思って取り組んでください。

磁力線と電流~接線の方向とは?

【図 1】(左)のように、糸につながれた球が回転運動をしています。【図 1】(中)は、回転運動の最中に糸が切られた様子を示しています。糸の切れた瞬間、球はどの方向に飛んでいくでしょうか。

それの答えは、【図 1】(右)に示すように、異なる4ヶ所において球はそれぞれ矢印の方向に飛んでいきます。図を見ると、「矢印の実線」と「糸があった点線(球と回転円の中心を結ぶ点線)」とは直角になっています。この実線は、円の「接線」です。

物体が回転運動をするとき各瞬間では、回転円の接線方向に運動をしていると言えます。

磁力線と電流~電流まわりの磁力線の向きとは?

導線に電流が流れると、【図 2】に示すような磁力線が発生します。図の左は斜め上から見た様子、図の右は真上から見た様子です。

日常生活で使うネジは進行方向に向かって右回りなので、「右ネジ」と呼ばれます。磁力線の向きは、まさに「右ネジ」と同じ方向ですから分かりやすいと思います。

右手の親指が指す方向と電流の向きを合わせると、右手の残り4本指と磁力線の向きが一致します。磁力線を理解するためのさまざまな方法のうち、右手を使う【図 2】のような理解が最も実体に近いでしょう。

磁力線と電流~導線の向こう側に方位磁針がある場合

【図 2】のうち、ちょうど導線の向こう側となる位置は「A」点です。「A」点において磁力線は左方向に向かって進んでいますから、方位磁針が「A」点にあれば、N極は左方向への力を受けます。

磁力線と電流~導線の手前側に方位磁針がある場合

 

【図 2】のうち、ちょうど導線の手前側となる位置は「C」点です。「C」点において磁力線は右方向に向かって進んでいますから、方位磁針が「C」点にあれば、N極は右方向への力を受けます。

「B」点では手前方向、「D」点では向こう方向となり、問題用紙との関係を考えると平面に収まらないので、非常に問題を作りにくい位置です。つまりここでは、「導線の手前側および向こう側における磁力線の方向」を理解すれば充分なのです。

ここまでを完全に理解すると、右手を使いさえすれば磁力線の問題を間違えることはないでしょう。試験中も、必ず右手で確認してください。

子供を見ていると、たまに左手を使っているケースに出くわします。本質から離れて単純に覚えようとすれば、現実にこのようなことがおこってしまいます。ちなみに左手を使えば、もちろん答えはすべて逆になってしまいます。

磁力線が方位磁針に与える影響~磁力線(地球と電流)の方向が違う場合

方位磁針に影響を与える磁力線には、もともとあった地球による磁力線と、電流が流れることで新たに発生した磁力線とがあります。これら2つの磁力線について、方向が異なる場合を考えてみます。

磁力線と方位磁針~地球の磁力線との関係

地球による磁力線は上(北)方向、方位磁針のN極も上を向いています。上段も下段も電流は上方向、方位磁針の位置は上段が導線の向こう側(【図 2】のA点)、下段が導線の手前側(【図 2】のC点)です。

電流で新たに生じる磁力線(上段は左方向、下段は右方向)が方位磁針に力を加えるため、上段のN極は左に、下段のN極は右に傾きます。

磁力線と方位磁針~電流の大きさとの関係

地球による磁力線の強さは変わりませんが、電流による磁力線は電流が大きいほど強くなります。したがって電流が大きいほど、方位磁針のN極は傾きが大きくなっていきます。

磁力線が方位磁針に与える影響~磁力線(地球と電流)の方向が同じ場合

もともとあった地球による磁力線と、電流が流れることで新たに発生した磁力線について、方向が同じ場合を考えてみます。

磁力線と方位磁針~地球の磁力線との関係

地球による磁力線は上(北)方向、方位磁針のN極も上を向いています。上段も下段も電流は右方向、方位磁針の位置は上段が導線の向こう側(【図 2】のA点)、下段が導線の手前側(【図 2】のC点)です。

電流で新たに生じる磁力線(上段は上方向、下段は下方向)によって、上段は地球の磁力線が強まり、下段は地球の磁力線が弱まる効果が生まれます。いずれの場合も方位磁針のN極は地球の磁力線の方向、つまり上を向いたまま傾きません。

磁力線と方位磁針~電流の大きさとの関係

上段は電流が大きくなっても上方向の磁力線が強くなるだけですから、方位磁針のN極は上を向いたままです。下段の電流が強力で地球の磁力線を上回る場合には、全体として磁力線の方向が下向きとなるため、方位磁針のN極は下を向きます。

まとめ

◎ 導線の手前側および向こう側における磁力線の方向を、完全に理解しましょう。

◎ 試験中でも、必ず右手を使って確認しましょう。

※記事の内容は執筆時点のものです

この記事の著者

京都大学工学部、東京大学大学院(工学)、世界最大の外資系コンサルティング会社の共同経営者(パートナー)を経て、教育業務を開始。業界最大手の中学受験塾で、小学3~6年生3000名以上の理科を担当し、習熟度に応じて幅広い学習指導を行いました。学習方法や各テーマの解説をおこなう、小学生向けサイト(偏差値アップの勉強法)を運営しています。以下のリンクからご覧ください。

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