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算数の基礎は計算力だけではない? 算数が苦手な子の本当の弱点と改善策5選

2024年2月27日 みみずく

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「算数は基礎が大事」と聞くと、「基礎=計算力」と考えられがちです。一方、算数が苦手な受験生は、計算力以外のところでつまずいていることも少なくありません。算数が苦手なお子さんの保護者の方向けに、考えられる本来の弱点とその改善策を紹介します。

算数の基礎は計算力だけではない

模擬試験などで算数の点数を取れない子どもにたくさん計算練習をさせても、好ましい効果が見られないことがあります。また、算盤や公文で計算力を鍛えていたはずなのに、中学受験算数になった途端、さっぱりできなくなる子もいます。

こういう子たちに共通するのは、計算力以外の基礎に弱点があるという点です。保護者は、子どもの弱点がどこにあるのかを正しく把握して、それを克服させるとよいでしょう。

算数が苦手な子の本当の弱点と改善策5選

保護者は、子どもの模擬試験の点数だけを見て「計算力が弱い」と考えるのではなく、問題用紙の書き込みなどをチェックして本当の弱点を把握することから始めましょう。

1. ルールを守らない

「ルールを守らなければいけない」という規範意識が薄い子がいます。こういう子は、教科書や問題文に書かれているルールを無視したり、大人の指示を守らなかったりします。そのため、計算の順序があいまいになりがちです。

たとえば、「同じ式の中に足し算・引き算と掛け算・割り算があったら、まず掛け算・割り算をする」というルールを守らずに、左から順番に計算してしまったり、たまたまキリのいい数字になるところを先に計算してしまったり。当然、正しい答えを導くことができません。

保護者は子どもに「ルールは考えてわかるものではなく、覚えて守るべきものだ」としっかり教えます。その上で、計算の順序などのルールを何度も口で言わせ、しつこいくらい確認して、確実に定着させましょう。また、日常生活でも、ルールを守ることを徹底させる必要があります。

2. 問題文を読まない

問題文をよく読まず「これはこういう問題だ」と早とちりしてしまう子がいます。さらに、途中で行き詰まっても、問題文を読み直さずに、考え込んで時間を浪費したり、何となく思い付きで答えを書いてしまったりすることも。

保護者は子どもに、問題文を音読させた上で、答えるべきものに線を引かせます。「左の図で、斜線部分の周の長さは何cmですか。ただし、円周率は3.14とします。」という問題文なら、「斜線部分の周の長さ」に線を引けるかどうかをチェックします。また、数値替え問題を大量に解かせることで、子どもが問題文を読まなくなることもあります。この場合、数値替え問題の演習を省くことも必要でしょう。

3. 手順が毎回違っている

同じような問題を解いているのに、手順が毎回違う子がいます。たとえば、和差算を、あるときは公式で解き、あるときは線分図で解きます。さらには、分数を分母から書くのか、分子から書くのか、これすら毎回違う子もいます。手順が毎回違うのは混乱の原因になります。

保護者は子どもに、同じタイプの問題は同じ解き方をするよう徹底させます。混乱しなくなるまでは、「和差算は必ず線分図で解くこと」のように、一つの解き方に限定するのも効果的です。

確かに、別解の可能性を考えることは算数の学力、とくに応用力を伸ばすのに役立ちます。しかし、とりわけ算数が苦手という子の場合は、まず基礎的な実力をしっかりつけていくことを重視しましょう。目安として偏差値60以上を目指すわけではない場合、別解を追い求めるよりも、一つの解き方を何度も反復して確実に定着させた方が学力向上につながりやすいでしょう。

4. 言葉を正しく覚えていない

「素数」「公約数」などの言葉を正しく覚えていないため、何をすべきかがわからない子がいます。円周の長さと円の面積を頻繁に間違う子は、そもそも「周」の意味を知らない可能性があります。また、台形の「上底」「下底」を「上の辺」「下の辺」という風に間違って覚えているせいで、台形の向きが変わっただけで面積を求められなくなる子もいます。

保護者は子どもに、言葉を教科書通りに覚えさせます。たとえば、算数の教科書では、「長方形」が「角がみんな直角になっている四角形」と定義されています。しかし、子どもはこの定義ではなく、「縦と横の長さが違う四角形」などと自分なりに解釈して覚えがちです。こういった勘違いを防ぐためにも、保護者は子どもに「『長方形』とは何?」と何度も聞いて、口頭で言葉の正しい定義を言わせましょう。

5. すぐに手を動かしてしまう

問題に書かれている数字を使ってとりあえず計算してしまう子がいます。こういう子は頑張っているように見えますが、勉強の方向性を誤っているので、保護者は惑わされないことが大切です。

保護者は子どもに、問題を解く前に「これから何をしたいの?」と聞いて、解き方の方針を言葉で説明させます。子どもが「三角形の面積を求めたいので、まずは底辺の長さを求める」などと説明できたら褒めてあげましょう。一方、「計算する」などの漠然としたことしか言えないなら要注意です。こういう子には「計算する前に方針を立てよう」とアドバイスするとよいでしょう。

きちんと弱点を克服して算数の基礎を固めよう

算数が苦手な子の本当の弱点はさまざまです。それを明らかにして改善していけば、算数の基礎が固まります。ただ計算練習にひたすら時間と労力を費やすよりも、弱点を的確に見抜いて、算数の点数(偏差値)を大きく伸ばしてあげたいですね。

※記事の内容は執筆時点のものです

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