中学受験ノウハウ 連載 塾のトリセツ

【新4年生向け】志望校はいつまでに決めればいい?│中学受験塾のトリセツ#33

2024年3月12日 天海ハルカ

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中学受験塾の最終目標は志望校合格です。

ではその志望校はいつ決めるのか。

すでに志望校を定めて入塾してくる子もいますが、それは少数派。

まずは塾へ入って、偏差値などを知ってから本格的に考えるというケースが多いのではないでしょうか。

志望校を確定するのは5年生後半~6年生のはじめで、まずは下準備として塾へ通ってみるという感じですね。

今回は志望校を決める時期についてお話しします。

「理想の志望校」と「現実的な志望校」

私は、志望校という言葉には2種類の意味があると思っています。

「理想の志望校」と「現実的な志望校」です。

理想の志望校は「行きたい」「行けたらいいな」という『憧れの対象』で、現実的な志望校は『合格する可能性があり』『行きたいと思える』学校のことですね。

「理想の志望校」は、入塾前から親御さんがイメージをしていることが多いのではないでしょうか。

たとえば、親御さんの出身校や住んでいるエリアで名前の知れた学校を「志望校」として思い描きがちですが、子どもも同じように理解・共感してその学校を目指しているということは少ないように感じます。

というのも、多くの子どもにとって入試や志望校選定というのは未経験のもの。

具体的な想像がしづらいため、入塾後にさまざまな話を聞き勉強を進めてから、ようやく志望校というものを考えられるようになるのです。

偏差値などを加味して親子で現実的な志望校を決定していくのは、5年生の後半以降となるケースが多いように思います。

現実的な志望校決定は5年生の冬~が多い

実際に受験するという意味での現実的な志望校を決めるのは、5年生の冬が多いと思います。

というのもその時期、6年生クラスへの進級に向けて志望校を書く用紙を渡されるんですよね。

中学受験塾では、6年生になるとすぐ、遅くとも夏ごろには志望校別の授業が始まります。

5年生の冬に書いた志望校は、クラス分けや授業内容に生かされるのです。

塾から志望校を書かされるとなると、ぼんやり考えていた志望校をしっかり親子で話し合い、いったん志望校を定める機会が生まれます。

ただし、5年生の冬に書く志望校は確定ではありません。

6年生の冬になって急に変更する人もいるぐらいなので、大まかな志望校で大丈夫です。

6年生になってから模試などで偏差値を確認し、学校説明会などでイメージを固めていきます。

秋には過去問を始めるので、6年生の夏ごろには一旦現実的な志望校を決めておけると良いですね。

塾通いを通して志望校を固めていくことも

多くの子どもにとって受験とは未知の世界。

入塾前に親と志望校の話をしていても、実際に自分が受験するというのはピンときていない子が多いものです。

そもそも志望校決定の指針のひとつである偏差値は、塾のテストや模試を受けなければわかりません。

受験の参考となる偏差値がわかるのは早くても4年生以降のため、4年生でははっきりした志望校を決めておくというのは難しいんですよね。

塾へ通い出すと、先生やクラスメイトとの会話で中学校の名前が出るようになります。

「この問題は○○中学で出題された」などですね。

また、塾には中学校や説明会のチラシ・ポスターなどもたくさんあります。

そういった小さなきっかけから、子ども自身が気になった学校を調べて志望校になることもあるでしょう。

子どもは勉強を進めるうちに受験への意識が出て、志望校を考えられるようになります。

塾へ通い始めの頃はあまり志望校を固めていなくとも問題ありません。

あまり焦らなくても大丈夫ですよ。

志望校が決まらないときにやってみたいこと

焦らずともよいとはいえ、志望校が決まっているほうがモチベーションは上がります。

「志望校選びが進まない」「とっかかりがない」という場合は、次の方法を試してみてください。

志望校が決まらないとき(中学受験ナビ)

これらは親御さんがやってもよいのですが、子ども自身に志望校を意識してほしいもの。

本人が動けるよう働きかけられると良いですね。

学校説明会へ行ってみる

学校説明会や文化祭など、実際に学校へ行き自分の目で見る機会を作る方法です。

小学生にとって受験というのは想像の世界。自分事とするためには自らその世界に触れることが重要です。

受験の先に何があるかを知ることは、勉強のモチベーションになります。

「校舎がきれい」「先輩が優しい」といったささいなことが、子どもにとっては大きな力になるんですよね。

「ここで勉強してみたい」「この学校に通ってみたい」という感覚こそ、志望校選びで重視すべきポイントです。

「女子校がいい」「近いところがいい」など、今まで意識していなかった「学校の選び方」も考えられるようになるかもしれません。

志望校を決めることはできなくとも、志望校選びの意識が出ればうれしいですよね。

友達と話してみる

正確で細かい情報は情報誌やホームページにありますが、それだとどうしても他人事であまり興味が持てないという子も多いんですよね。

志望校とまではいかなくとも、とにかく塾の友達と中学校について話ができると考えが広がります。

評判の良い学校や人気の学校などについてなんとなく聞くだけでも、学校選びに興味が持てるかもしれません。

友達と情報交換をすると、自分も情報を集めて教えたくなるというメリットもあります。

たとえば親に聞いたりホームページを見てみたり、自分から動くようになる可能性も。

集めた情報で自然と志望校が絞られればうれしいですし、そうでなくとも志望校選びの基準ができてくればいいですよね。

塾に相談してみる

塾に通っているのなら、志望校についてぜひ塾に相談してほしいです。

塾には、そこへ通う子たちが過去に受験した学校の情報が蓄えられています。

同じくらいの偏差値の子が目指した学校や、我が子の性格に合う学校などを聞けることもあるでしょう。

私の場合、担当する生徒さんが静かに勉強をしたい子であれば校則などがしっかりとした校風の学校、元気な子にはその逆の自由な校風の学校を紹介することがあります。

これは塾が子どものことを理解してからでないと難しいため、相談するのは入塾してしばらく経ってからが良いですね。

もちろん、塾がおすすめする学校が結果的に子ども本人や保護者の方の希望に合わないこともあります。

その場合は、そう伝えていただけたら大丈夫。

塾としても、そこへ行ってほしいわけではなく、卒業生の話などから参考になればと情報を伝えています。

ひとつの参考情報として聞き、気になる学校があればそこから親子で調べてみるといいですね。

志望校は焦らず決めよう

志望校は早く決まっているにこしたことはありませんが、焦って決めるものでもありません。

実際に受験するという意味の志望校は、5年生後半から徐々に固めていくイメージでOKです。

とはいっても大人は受験というものがどういうものかわかっているだけに、気が急いてしまうものですよね。

私も自分の子どもに対してはどうしても落ち着いて考えられなくなりがちなので、とてもよくわかります。

小学生は受験を知らず、中学校へのイメージも偏差値も発展途上。

勉強を進めながら少しずつ決めていけば大丈夫です。

あまり焦らず、お子さんとじっくり話をしていってくださいね。

 

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※記事の内容は執筆時点のものです

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