中学受験ノウハウ 連載 塾のトリセツ

【新5年生・新6年生向け】実力テストで点数が出せない子には何が足りないの?│中学受験塾のトリセツ#32

2024年2月27日 天海ハルカ

1

毎日の勉強はしているし、小テストでなら点数が取れている。

なのに、クラス分けテストや模試などの実力テストで点数が取れない……。

わが子が頑張っているのは伝わってくるだけに、見ている親としてはもどかしくなってしまいます。

努力が結果に反映されたほうが、子ども自身のモチベーションも上がりますしね。

今回は、実力テストで点数が出ない子へ、改善のヒントをお話しします。

実力テストで点数が取れない原因

勉強しているのに実力テストで点数が取れない理由は、主に3つ考えられます。

  • ただ暗記している
  • 問題文が読めていない
  • 正答にこだわりすぎる

ただ暗記している

勉強はしているものの、理解ではなく暗記をしてしまうタイプです。

テストでできなかった問題を 、解答を見れば「知ってる」「わかる」と言う子はこのタイプかもしれません。

暗記は得意なため、シンプルな設問がメインとなる小テストでは点数が取れますし、一問一答も得意です。

しかし、問われ方が変わると、途端に答えられなくなってしまうことがあります。

たとえば理科で、冬の気圧配置の特徴が西高東低であることは知っていても、西高東低の天気図を見て「季節が冬である」とは解答できない、などのケースです。

図や表の読み取り、長めの文章読解が問題の中に入ってくると、難しく感じて答えられなくなるというケースもあります。

知識は持っていても答えられない、正解が取り出せないのが弱点です。

問題文が読めていない

知識はあるのに、問題文を読めていないため正しく答えられないタイプです。

もったいないタイプともいえます。

国語でいえば、記述問題で「気持ち」を問われているのに、「理由」を答えてしまうなどです。

めんどうくさがりな性格の子がしがちな失敗ですが、そうでなくとも、テストで急いでいると早とちりしてしまいやすいんですよね。

また、知識や解法を定着させるために、同じ問題を繰り返し解いているとやらかしてしまいがちな失敗でもあります。

たとえば「誕生日」で練習していたせいで、「タンジョウ」が問題なのに「誕生日」と書いてしまうミスです。

練習でよく解いた問題と同じだと早とちりしてしまうのは、頑張った証拠でもあるんですけどね。

正答にこだわりすぎる

正答にこだわり、一問に時間をかけすぎてしまうタイプです。

テストの答案を見て、丁寧に書かれているところと真っ白なところとがはっきり分かれているならこのタイプかもしれません。

正答にこだわるのは悪いことではありませんが、テストで点数を取るにはある程度の割り切りが必要です。

このタイプには真面目で頑張り屋さんな子が多いと思います。

知識を正しく理解できる反面、量をこなせません。

学年が上がると、予習、復習、宿題に過去問など、勉強すべきことの量が増えていきます。

すると、徐々に満足のいく家庭学習を終わらせることが難しくなってしまう可能性があります。

原因別、テストに強くなる勉強法

塾のテキストは効率的に知識を蓄え解法を身につけられるように作られています。

ですから、塾から指示された内容を進めていくのが基本です。

さらに子どもの傾向別に工夫を入れることで、その勉強がさらに身につき点数にも反映されるようになります。

「ただ暗記している子」には出題の工夫を

知識や答えを暗記してしまう子は、同じ問題であれば解けます。

しかし、問題がひねられるとわからなくなってしまうので「応用力がない」と評されることも。

必要なのは多様なアウトプットです。

いろいろな種類の問題をこなすことで、必要な知識が頭から取り出しやすくなります。

同じ問題を繰り返すだけでなく、塾のテキストで手をつけていない問題があるならやってみましょう。

実力テストで間違えた問題をじっくり解き直すのも良いですね。

「知っている知識でさまざまな問題が解ける」という経験を積むのが目的です。

もし、親御さんにもう手間かける余裕があるなら、解けた問題を加工して、もう一度解かせてみてください。

たとえば、漢字の問題では同じ答えでも文を変えてみるだけで、印象が変わります。

具体的には「シャワーをアビル」という問題を「注目をアビル」にするなどですね。

この場合、シャワーとセットで「浴びる」を覚えていた子は、書けなくなってしまいます。

同じ知識をいろいろな角度から理解することで、問われている内容に合わせた知識が取り出せるようになっていくでしょう。

「問題文が読めていない子」には音読と印付けを

問題文を読めていない子は、「読みなさい」と言っても聞きません。

読まざるを得なくなる工夫が必要です。

手っ取り早いのは音読ですね。家庭学習では問題文を音読するようにしてみましょう。

声を出すことで、「何が問われているか」「何を答えるのか」が意識できます。

声を出すのは嫌だという子には、問題文の「何を答えるか」の部分に線を引くなど、印をつけさせます。

たとえば算数なら「あわせて何円ですか」、国語なら「気持ちを答えなさい」の部分ですね。

もちろん、音読と印付け、両方やってもOKです。

音読や印付けのクセがつけば、問題文を読むとき自然とその部分に注意が向くようになります。

練習でよく解いた問題と同じだと早とちりしてしまうタイプの子は、言い換えれば練習をしっかりモノにできるタイプ です。

練習時に音読や印付けができるようになれば、すぐそれをクセにできるので、改善は早いと思いますよ。

「正答にこだわりすぎる子」には時間の意識を

正答にこだわりすぎる子は、一問にかける時間が長いのが難点です。

真面目ゆえに、消去法である程度正解の可能性を上げられる選択問題であっても「正しい答えがわからないから」と空欄にする子もいます。

とにかく正答を出すことが最優先と考えてしまうため、まずは意識改革が必要ですね。

入試を含めたテストで正答を出すことはもちろん重要ですが、より高い点数を目指すならひとつの問題にこだわってはいけません。

テストには制限時間があります。テストには正答率が一桁のような難問も多いので、そこに時間をかけてしまうのはもったいないですよね。

時間内に素早く問題を解き、難しいときは飛ばすことに慣れていきましょう。

たとえば理科や社会で何も思いつかないような語句問題は、一生懸命考えたところで正答が浮かぶ可能性は極めて低いと思います。

こういった問題を見極めてさっと飛ばせるようになると、点数が取れる問題に割ける時間が増えます。

わからない問題を飛ばすときは、選択肢問題なら何か答えを書くクセもあわせて身につけたいですね。

余裕があれば、飛ばした問題は印をつけて時間が余った時見直せるようにすると、さらに点数に繋がるでしょう。

アウトプットに注目しよう

勉強しているのに点数が取れないときは、インプットではなくアウトプットに注目してみてください。

ただ勉強量を増やすのではなく、やり方を変えてみましょう。

せっかく蓄えた知識が点数にならないのはもったいないですからね。

一生懸命勉強したなら、点数というかたちで報われてほしいと思います。

タイプに合わせて普段の勉強に一工夫を取り入れると、本来持っている知識が生かせるようになる可能性は大いにあります。

今回挙げた原因に心当たりがある場合は、ぜひ試してみてくださいね。

 

この連載では匿名での質問を受け付けています。ぜひ、塾について、中学受験についての質問などを、こちらの質問受付フォームからお寄せください。

※記事の内容は執筆時点のものです

1