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新紙幣発行で渋沢栄一が一万円札に! 中学入試の時事問題に出そうな知識のまとめ

2024年6月19日 みみずく

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2024年7月3日、2004年以来20年ぶりに新紙幣が発行されます。新しくなるのは一万円札、五千円札、千円札の3種類です。この類のニュースは中学入試の社会で時事問題として出やすいので、受験生は関連知識を押さえておきたいですね。

新紙幣を発行するのはなぜ?

日本国内で「円」として発行されているお金には、一万円・五千円・二千円・千円の紙幣と、500円・100円・50円・10円・5円・1円の硬貨があります。2024年7月3日に新しくなるのは一万円・五千円・千円の紙幣です。

新紙幣の様式は財務大臣が定める

紙幣は一般的に「お札」と呼ばれますが、正式名称は「日本銀行券」です。正式名称からもわかる通り、日本の中央銀行である日本銀行が紙幣の製造や流通の中心となっています。

紙幣は、財務大臣の製造命令に従い、日本銀行の発注を受けて国立印刷局が製造します。その後、日本銀行に納入され、金融機関を通じて実社会に流通します。

「新紙幣の人物を誰にするか?」など、新紙幣の様式についても、財務省・日本銀行・国立印刷局で協議し、最終的には財務大臣が定めます

偽造しにくく、使いやすい紙幣にするため

財務省のHPによると、新紙幣発行の目的は「より偽造しにくく、誰にとっても使いやすい紙幣となるようにするため」です。「誰にとっても使いやすい」というのは、世界的な潮流となっているユニバーサルデザインの考え方を意味します。

ユニバーサルデザインとは、年齢や性別、文化、身体の状況などによらず、誰にとっても使いやすい設計です。ユニバーサルデザインの新紙幣は、識別マークや額面数字の大型化などで一万円・五千円・千円を区別しやすくなります。

新紙幣発行とキャッシュレス決済の関係

券売機などの設備は新紙幣に対応するように更新しなければなりません。一方、企業の中には、キャッシュレス決済だけの設備に切り替える動きも出ています。

キャッシュレス決済とは、現金を使わずにお金を払うことです。具体的にはクレジットカードやデビットカード、電子マネー、QRコードなどがあります。

日本では経済産業省が中心となってキャッシュレス決済を推進しています。新紙幣発行はキャッシュレス決済が浸透するきっかけになるかもしれません。

新紙幣に採用された人物は誰?

中学受験生は新紙幣と旧紙幣に採用された人物と彼らの業績を合わせて知っておきましょう。

一万円札:福沢諭吉→渋沢栄一

一万円札の人物は福沢諭吉から渋沢栄一に変更されます。

[写真1]一万円札(福沢諭吉)

福沢諭吉は幕末から明治時代に活躍した思想家で、江戸時代にアメリカやヨーロッパを視察し、帰国後に蘭学塾を開きました。この塾が後に慶應義塾となり、現在の慶應義塾大学へとつながります。明治時代に福沢が出版した『学問のすすめ』はベストセラーとなり、現在の人権思想の基礎になりました。

新一万円札(渋沢栄一)

渋沢栄一は幕末から昭和時代に活躍した実業家で、江戸時代に幕臣としてヨーロッパに渡りました。その経験を活かして、明治時代には官僚となって日本の近代化を進めました。この時期に富岡製糸場(群馬県)に関わります。官僚を辞めた後は、日本初の銀行を設立しただけでなく、多くの会社の創立にも関わりました。「近代日本経済の父」と呼ばれます。

五千円札:樋口一葉→津田梅子

五千円札の人物は樋口一葉から津田梅子に変更されます。

[写真3]五千円札(樋口一葉

樋口一葉は明治時代に活躍した小説家です。代表作として文芸雑誌『文学界』に発表した小説『たけくらべ』があります。

[写真4]新五千円札(津田梅子)

津田梅子は明治時代に活躍した教育家です。6歳のとき、日本初の女子留学生としてアメリカに渡りました。再び渡米した後、女子英学塾を開きました。この塾が後に津田塾大学となります。津田は、女性の地位向上こそが日本の発展につながると信じ、女性の高等教育に生涯を捧げました。そのため、日本の女子高等教育の先駆者とされます。

千円札:野口英世→北里柴三郎

千円札の人物は野口英世から北里柴三郎に変更されます。

千円札(野口英世)

野口英世は明治時代から昭和時代に活躍した医学者です。アメリカのロックフェラー医学研究所で、梅毒の病原菌であるスピロヘータを発見しました。黄熱病の研究のために南米エクアドルへ行き、その後アフリカにも渡りましたが、そこで自ら黄熱病に感染して亡くなりました。

[写真6]新千円札(北里柴三郎)

北里柴三郎は幕末から昭和時代に活躍した医学者です。ドイツで細菌学者のロベルト・コッホについて細菌学を研究し、世界で初めて破傷風菌の培養に成功しました。また、血清の発明などの功績も残しています。帰国後は、日本初の伝染病研究所を設立し、コレラ・チフス・赤痢・結核など、伝染病の研究に生涯を捧げました。「日本近代医学の父」と呼ばれます。

ちなみに、野口英世は一時期、北里柴三郎の助手を務めました。また、北里に伝染病研究所の場所と建設費を提供したのは福沢諭吉です。

新紙幣発行は経済史としても出題されやすい

新紙幣発行は、経済史(お金の歴史)としても出題されやすいので要注意です。日本最古のお金「富本銭」から新紙幣までを整理し、それぞれの時代にどのような商業や貿易が行われていたのかをまとめておくとよいでしょう。

 

 

写真の出典

[写真1]一万円札(福沢諭吉):「お札の基本情報~現在発行されているお札~」(国立印刷局) ( https://www.npb.go.jp/product_service/intro/genzai.html )を加工して作成

[写真2]新一万円札(渋沢栄一):「新しい日本銀行券及び五百円貨幣を発行します」(財務省)( https://www.mof.go.jp/policy/currency/bill/20190409.html )を加工して作成

[写真3]五千円札(樋口一葉):「お札の基本情報~現在発行されているお札~」(国立印刷局) ( https://www.npb.go.jp/product_service/intro/genzai.html )を加工して作成

[写真4]新五千円札(津田梅子):「新しい日本銀行券及び五百円貨幣を発行します」(財務省)( https://www.mof.go.jp/policy/currency/bill/20190409.html )を加工して作成

[写真5]千円札(野口英世):「お札の基本情報~現在発行されているお札~」(国立印刷局) ( https://www.npb.go.jp/product_service/intro/genzai.html )を加工して作成

[写真6]新千円札(北里柴三郎):「新しい日本銀行券及び五百円貨幣を発行します」(財務省)( https://www.mof.go.jp/policy/currency/bill/20190409.html )を加工して作成

※記事の内容は執筆時点のものです

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