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[読者質問に回答]塾の進度についていけない……6年生の夏から転塾を検討するのはアリ?│ 中学受験塾のトリセツ

2024年7月13日 天海ハルカ

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6年生の夏は「中学受験の天王山」と言われ、受験勉強の本番が始まります。

「塾の授業が合わないかも」と思ったとき、転塾は良い選択となるのでしょうか。

一番大切なのは子どもの気持ちなので、子どもが勉強しやすい環境を作ってあげたいですね。

今回は「中学受験塾のトリセツ」へ届いた「6年生夏からの転塾はアリ?」というご相談に、塾講師の立場からお答えします!

コース変更は検討中に。転塾を検討すべき?

■ニックネーム

ぷー

■お子さまの学年

6年

■質問内容

塾の進度についていけず、劣等感を感じつつあります。

コース変更をお願いしましたが、検討中となりました。

6年の7月で転塾は怖いです。

でも、最終的に合格すればいいのでそれも視野に入れています。

どうすればよいでしょうか。

ぷーさん、はじめまして。

塾の進度についていけず、コース変更や転塾などを考えているとのこと。6年生の夏は焦りや不安が大きいかと思われます。コース変更が検討中となり、もどかしい思いもされていることでしょう。

質問ではコース変更が検討中とありましたが、これは塾都合で検討中なのでしょうか。コース変更が受理され、お子さんの学力や志望校にあったコースに入れれば状況は良くなると思うのですが、あまり望めないのでしょうか。

その状況にもよりますし、お子さんが転塾を強く望んでいるということであれば別ですが、そうでなければ原則としては、6年生のこの時期は転塾ではなく、今の塾に通いながら志望校に向けた勉強を進めていくのが良いと思います。

転塾は負担が大きい

子ども自身が転塾を希望しているなら別ですが、ぷーさんのおっしゃる通り、転塾は本人にとっても怖い選択のように感じます。

受験の近いこの時期に、怖いという気持ちを背負ってまで転塾するのは、リスクが高いと言えるでしょう。

転塾による環境の変化で前向きに勉強を進められるようになる可能性はありますが、確実ではありません。

「転塾したけど前の塾のほうが良かった」となる可能性も考えられます。

テキストや授業の進め方が変わり勉強が進めづらくなったり、授業中に発言や質問がしにくくなったりと、慣れるまでは不便を感じる可能性も。

環境の変化を楽しめる子なら良いのですが、そうでなければ勉強以外に気をとられる部分が増えて、もったいないと思うのです。

塾からの要求を取捨選択して負担減を

コース変更を希望されたということなので、もしかしたら志望校に対して、現状の塾が目指しているレベルが高すぎるとお考えなのかもしれません。

その場合は、塾から出される宿題を親が取捨選択し、勉強内容を調節してみても良いでしょう。

宿題の中に基礎問題と応用問題がある場合は、基礎問題を中心に解き進めます。

目指す学校にもよりますが、算数の応用問題については、完全に捨ててもいいでしょう。

国語の読解でも、本文を読むだけに留め、問題は一切解かなくて構いません。

本文を読むだけでも物語の展開パターンや筆者の価値観などがストックされるため、コスパが良いんですよね。

また、家では授業で扱った問題の解き直しのみをし、あとは小テストの準備や過去問に時間を使うというのも良いです。

もちろん塾の先生に宿題の優先順位を尋ねて、優先度の高いもののみ手をつけていくことができるならそうしてみてください。

偏差値より志望校対策を重視して

6年生の夏期講習からの塾は受験直前という雰囲気になります。

この時期にはどこの塾でも、ほぼ受験に必要な内容をひととおり勉強し終えていることでしょう。

夏期講習からは復習や分野別の強化がメインのため、偏差値を上げることよりも志望校に合格するための勉強が必要になります。

塾の進度についていけないということなので、まわりとの点数差も気にされているのかもしれません。

受験が近づくこの時期は、点数にも過敏になりますよね。

しかしクラスの平均点や最高点と、志望校に必要な点数は別物です。

入試で戦う相手はクラスメイトではありません。

大事なのはクラスで上位を取ることではなく、志望校に合格すること。注目すべきは塾での出来より、志望校合格に必要な学力です。

基礎学力を身につけ、苦手を克服しながら、過去問を中心に勉強していきましょう。

志望校対策をしながら併願校も調整を

最終的に合格すれば良いとのことですので、第一志望校は固まっているのかなと思います。

でしたら、併願校を見直してみるというのもひとつの手かもしれません。

たとえば今、第一志望校以外にチャレンジ校の受験も考えているのであれば、それをやめてみるとか。

チャレンジ校の代わりに、第一志望校の前に練習として受験する学校を増やすという考え方です。

目標が高いと頑張れる子もいますが、「できなかったらどうしよう」「今の点数ではだめかもしれない」と委縮してしまう子もいます。

そういう子は、目標を緩めることで心が軽くなって焦りや不安、劣等感が和らぐかもしれません。

まとめ

6年生の夏は塾が本格的な受験モードになり、点数や順位などの数字がより気になるようになります。

それがやる気に繋がる子も多いですが、追い詰められて劣等感を抱いてしまう子もいるのが難しいですよね。

家では自信と安心を得られるよう、併願校を緩めたり励ましの声かけをしたりしてバランスがとれると良いと思います。

周りと比べる気持ちを和らげ、志望校に向けて自分のペースで勉強を進められるよう、サポートしてあげてくださいね。

 

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※記事の内容は執筆時点のものです

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