
「子ども同士のトラブル」に対して親ができること│中学受験塾のトリセツ#57
「隣の子がうるさい」「嫌なことを言われる」など、塾ではしばしば子ども同士のトラブルが起こります。
本来なら講師がきちんと対処すべき問題ですが、集団授業ゆえうまく解決まで至らなかったり、大人の目が届かない帰り道で何かが起こったりすることもあるでしょう。
今回は、子どもからトラブルの話を聞いたとき、親ができることについてお話しします。
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子ども同士のトラブルの例
子ども同士のトラブルはさまざまですが、よく見られるのは次の3つです。
- 嫌なことを言われる
- 嫌なことをされる
- 授業環境を乱される
トラブルといっても、小学生だと悪意のない行動の結果ということも少なくないのが、難しいところでもあります。
嫌なことを言われる
嫌なこととは、発言の間違いや点数の低さをからかわれるといった単純な悪口だけではありません。
テストの点数や偏差値、受験校といった「口外されたくないこと」を大声で言われることも入ります。
子どもは、センシティブなラインがそれぞれ大きく異なります。たとえば自分の点数や偏差値を知られることが嫌ではない子は、他人の点数や偏差値も悪気なく言ってしまいがちです。
嫌なことをされる
私が所属する校舎では消しゴムすら貸し借りを禁止しているくらい、子ども同士の物の貸し借りはトラブルが起きやすいものです。
貸したまま持って帰られたり、自分が使いたいときに返してもらえなかったりといったトラブルですね。
また、交換採点でもトラブルは起こります。
交換採点というのは、となりの席の子と答案を交換して採点しあうものですが、採点が汚かったり、余計なことを書かれたりということがよく見られます。
余計なことというのは悪口ではなく、「もうちょっと!」「すごいね!」というポジティブなコメントも多く、本人は親切心から書いているため講師としては注意の仕方も難しいんですよね。
これらはその場で解決できればトラブルに発展せずに済むのですが、嫌だということを言えない子は不満を溜めてしまいます。
授業環境を乱される
自分が直接何かをされたわけではないですが、授業中にうるさくて嫌な子がいるという話はよく聞きます。「特定の子の発言が多すぎて授業が進まない」というケースも見られますね。
授業に関する発言は悪いことではないのですが、「自分の疑問はすべて質問したい」「思いついたことは言わないと気が済まない」という子もいます。
授業に関わる内容だと講師もその子の発言に対応するため、「うるさくて嫌だ」と感じている子は不満を言い出しづらいのです。
子ども同士のトラブルを防止・解決するには
子どもから聞いたトラブルを親御さんが解決するには、「子ども同士でトラブルが起きているようです」と塾へダイレクトに相談するのが一つの手といえるでしょう。
しかし、塾への相談はハードルが高いと感じることもあると思います。
そこで、塾へ相談するときのコツと、家庭でできる他の対策を紹介します。
他の相談事と一緒に塾へ相談する
塾へ相談するときは、トラブルの話だけより、“他の相談事のついで”というかたちでやんわりと伝えるほうがハードルが下がるかもしれません。
たとえば成績や進路相談の流れで「そういえば、子どもからこういった話を聞いたことがあるのですが…」とトラブルの話を切り出します。
親が問題視していることが伝わると、授業などで意識して見てもらえる可能性が高まります。
実は、塾側としてもこうした相談は助かることもあるのです。というのも講師側からすると、子ども同士でのやりとりは、本人達が嫌がっているのか楽しんでいるのかがわかりづらいからです。
子ども同士のトラブルがどの程度のものか正確に判断するのはなかなか難しいですが、塾側としては本人が嫌がっている確証を得られると、早い段階で生徒を止めたり注意したりしやすくなり、穏便にトラブルを解決できる可能性につながります。
その場で先生に言うように子どもに伝える
「他の子がうるさくて説明が聞こえなかった」「交換採点の点数が違う気がする」などは、その場で先生に言うようにお子さんに伝えてみてください。
親などを挟んで後から何とかすることも大事ですが、その場で解決できた方が、子どもにとって困りごとは少なくなるでしょう。
この場合、反撃したり子ども同士で解決を試みたりするのは、本人にとってハードルが高いと思います。むしろ、ここで反撃できるなら子どもも悩みませんよね。
少し嫌だなと思ったときは、相手ではなく、先生に言うのが効果的だと伝えましょう。要望を伝えるのがわがままかなと遠慮してしまうタイプの子には、「他に困っている子がいるかもしれないし、その子も助かるよ」と言ってあげると、勇気が出るかもしれません。
親が塾へ迎えに行く
子ども同士のトラブルは、自由に話せる帰り道に起こることもあります。この場合は、親が迎えに行くのが有効です。
「親が迎えに来ているから」と言えば、問題を起こしがちな友達と一緒に帰らなくても不自然にならず、トラブルを防止できるでしょう。
しばらく別々に帰るようにすれば、相手と一緒に帰る習慣がなくなり、親が迎えに来なくなっても1人、もしくは別の友達と一緒に帰りやすくなりますね。
塾へ向かうときも時間をずらし、相手と一緒の時間を過ごさなくて済むようにすると状況が変わるかもしれません。
塾のトラブルを子どもが話しやすい環境を作ろう
子ども同士のトラブルは、本人たちだけで解決するのは難しいものです。
言い返したり反撃したりすることで、どちらに非があるかわからなくなり、最初にやられた側も非があると認識されたら余計に悔しさを感じてしまうでしょう。
まずは塾の先生を巻き込み、親も迎えに行くなど、大人が介入すると状況が好転しやすいと思います。
とはいえまずは、子どもがトラブルを認識して親に話してくれないと気づくことも難しいでしょう。
子どもが成績だけでなく、塾のできごとを話せるような空気を作ってあげたいですね。
※記事の内容は執筆時点のものです
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