子供の集中力を高める家庭の中の環境づくり
部屋で一生懸命勉強中かと思いきや、すぐにスマホやテレビが気になったり、リビングに来てお菓子を食べたり……。うちの子は集中力がないみたい……。などと悩みを抱える親御さんも多いもの。学習に集中力は必須ですが、それを高めるための方法はあるのでしょうか。受験生専門の心療内科「本郷赤門前クリニック」の院長を務める吉田たかよし先生に聞いてみました。
中学受験での集中力のアップダウンは親次第!?
受験生専門の心療内科ということで、吉田先生は日ごろから多くの親子と関わりますが、カウンセリングをしていると子供の集中力が高まる家庭と低下していく家庭の差が見えてくるそうです。
「集中力の低い子供は、親からのプレッシャーによって心が追い込まれている状態であることが多いですね。テストの点数のことばかりに親の関心が集中し、問い詰められていると、『点数!点数!点数!』という単調なストレスにさらされ、脳の働きが低下して集中力を落としていく。そうすると、親はさらに『点数!点数!』と言ってしまう。こうした悪循環に陥っているケースがとても多いのです。このような悪循環が続くと、集中力だけでなく、応用問題を解く能力も大きく低下してしまうので、受験期には絶対に避けたいですね。点数や偏差値という結果のみにとらわれず、子供の努力しているプロセスをしっかり認めてあげてください。そうすることでモチベーションや集中力も回復します。また、集中力が足りないと感じたら、子供と会話をする時間をとることです。話すことで、偏ったストレスにさらされていた脳の状態が改善されるのです。『集中しなさい!』と叱るのではなく、脳が集中しやすくなる環境を整えてあげるということを第一に考えて接してあげてください」(吉田先生)
豊かなコミュニケーションが脳を刺激する!
「子供の集中力を高めたいならば、親も積極的に子供の勉強内容に関心を持ち、学習に参加するようにしましょう。わかるところは教えてあげたり、わからない部分は子供に教えてもらったりしてもいいでしょう。だれかに教えるなど、学んだことをアウトプットする行為は脳内で知識の定着を促す効果があるので、子供にとって大きなメリットがあります。学習内容について対話したり、説明したり、『親と受験勉強を共有している』という感覚を得られるコミュニケーションが子供の脳を健康な状態で活性化させてくれるのです。親のかかわり方、受験勉強への共感や関心の高さも、子供の集中力を高める要素としてとても重要だと断言します」(吉田先生)
集中力を高めるポイントは、親の意欲と適切な休息にあり!?
受験勉強の期間にわが子の集中力がないと感じると、親としては焦りや不安を感じるものです。しかし、そこで安易に子供を叱ったり追い詰めるような言動をしてはいけません。
学習内容に親も関心を持ち、子供と喜怒哀楽を共有するようにしましょう。喜怒哀楽に関わる大脳辺縁系は集中力にも大きな影響を与えると吉田先生はいいます。親子の豊かなコミュニケーションによって脳が活性化するということを忘れずにいたいものです。
親子共々脳がイキイキと健康に活発に働く家庭で育った子供は、中学受験だけでなく、その先の人生でも活躍できる人へと育ってくれそうです。
※記事の内容は執筆時点のものです
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