学習 理科

月の動きと形や見え方の変化~太陽や地球との関係を整理しよう

2018年6月14日 東荘一

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天体を苦手とする子供が多い理由は、宇宙という立体空間の中における各天体の動きをイメージする必要があるからでしょう。

例えば「月」は自ら光を発することなく太陽光を反射するだけですから、「太陽」との位置関係で光る部分の形や見え方は変わります。私たちは「地球」から「月」を見ているのですが、その「地球」は自転に加え公転もしています。見る相手である「月の動き」も、自転と公転は同時です。

つまり、「太陽」と「地球」と「月」との位置関係は、常に変わり続けているわけです。地球から見る月の動きと、形や見え方に影響を与える要素とは何なのか、具体的に解説します。

月の動きと形や見え方~月の自転と公転の影響

月周回衛星「かぐや」による撮影画像を見ると、「月」の表側と裏側では様子が異なることが分かります。たとえばクレーターの数は、表側よりも裏側のほうがかなり多いです。

私たちが「地球」から「月」を見るとき、常に「月」の表側しか見ることができません。その原因は、「月の動き」である自転と公転にあります。具体的に見てみましょう。

月の動きと形や見え方~月の自転と公転は常に同じ

「月の動き」である自転と公転は、周期がともに約27.3日、西から東の方向に回転運動をしています。上図で示しているのは、自転も公転も「4分の1周期」ずつ経過した状態です。

A点にある月について、地球側の半分を表とします。地球からは、月の表が見えています。月が公転で「4分の1」周期分だけ回転してB点に来たとき、自転も「4分の1」周期分だけ回転していますから、やはり地球側に向くのは月の表です。

以上の動きを繰り返していますから、月は常に地球に対して表を向けています。逆に地球からは、常に月の表しか見えません。これは「月の動き」である自転と公転が、周期・方向ともに同じだから起こる現象です。では、たとえば自転と公転の向きが逆であれば、どうなるでしょうか。

月の動きと形や見え方~月の自転と公転の向きが逆なら?

先ほどと同じように、自転も公転も「4分の1周期」ずつ経過した状態を示しています。月は地球に対して、表をみせたり裏を見せたりすることが分かります。つまり地球から常に月の表しか見えない状態というのは、「月の動き」である自転と公転の周期がピッタリと同じで、かつ自転と公転の向きが同じだから起こることです。

もし試験で「なぜ月は地球から見て、表しか見えないのか?」と問われたら、「月の自転周期と公転周期が同じ」かつ「月の自転と公転が同じ向き」だからという、2つの条件を記述しなければなりません。

月の動きと形や見え方~地球の自転の影響

「太陽」も「月」も「星」も、すべて東から西に移動します。これは「地球」が西から東に向けて自転しているからです。「太陽」と「星」は丸い形なので気づきませんが、「月」は丸くないときもありますから、東から西に移動していく途中で見え方も変わります。その動きを具体的に見てみましょう。

月の動きと形や見え方~「満月」の動き

「満月」は、夕方18時頃に東の地平線から昇り、午前0時頃に南中し、朝6時頃になると西の地平線に沈みます。夜の間、東から西に移動し続けるのは、地球が自転しているためです。地球から月を見ている人は、自分が地球とともに動いていることに気づいていないため、月だけが移動して見えます。

さらに月は常に地球の周りを公転しているのですから、「月の動き(東から西)」のスピードを厳密に考えるならば、「地球の自転」と「月の公転」の両方を考慮に入れなければなりません。

月の動きと形や見え方~「上弦の月」の動きと月の傾き

図に示した「上弦の月」は、夕方18時頃から南の空に見えはじめ、午前0時頃には西の地平線に沈みます。夕方18時より前にも空にあるのですが、周りが明るくて見えませんから、点線で示しています。

図を見て分かるように、「上弦の月」が南・南西・西の位置にあるとき、それぞれ月の傾きが異なります。逆にいえば月の傾きを見ると、いま月のある方角が分かるということになります。

「地球の自転」によって、東から西に移動するという「月の動き」に加えて、月の見え方(傾き)が変わるという現象も同時に起こります。

月の動きと形や見え方~地球の公転の影響

「月の動き」は公転周期も自転周期も約27.3日なのに、月の満ち欠けの周期は約29.5日です。両者に差があるのは、地球の公転が影響しています。具体的に見てみましょう。

月の動きと形や見え方~「月の満ち欠け」と「地球の公転」

上図の月(C点)はちょうど太陽と地球の間にありますから、新月です。月の公転周期である約27.3日後に、月は地球のまわりを1回転してD点の位置に来ます。ところが地球もその間に公転しているため、D点は太陽と地球の間になく、月(D点)は新月となりません。

つまり月の満ち欠けの周期(上図では新月から新月)は、月の公転周期よりもさらに「月がD点からE点まで公転で移動する時間」だけ長くなります。ここでは具体的な計算をしませんが、そのプラスアルファの時間は「約2.2日」なので、月の満ち欠けの周期は約29.5日となります。

以上のように月の形や見え方は、「月の動き(自転と公転)」と「地球の動き(自転と公転)」が影響します。問題を見て、どの要素が関係するのか、即座に判断しなければなりません。月の動きは、暗記だけでは点数につながらない、練習と習得が必要なテーマです。

まとめ

◎ 月の形や見え方は、「太陽」「地球」「月」の位置関係によって決まります。

◎ 「月の動き(自転と公転)」と「地球の動き(自転と公転)」の何を考える問題なのか、試験では即座に判断する必要があります。

◎ 単に暗記しようとしても点数を取ることはできません。頭の中を整理して、練習と習得に努めましょう。

※記事の内容は執筆時点のものです

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