ナメクジに塩をかけると溶けるのはなぜ? 水溶液の濃度と浸透圧の関係を理解しよう
オーストラリアのシドニーで2010年、当時19歳だった男性がふざけてナメクジを食べ、寄生虫に感染して1年以上も昏睡状態に陥りました。その後この男性が死亡を報じるニュースが話題になり、「ナメクジは怖い」と思った人も多かったのではないでしょうか?
そんな危険なナメクジですが、有名な弱点があります。塩をかけると溶けてしまうことです。今回は、ナメクジの弱点をヒントにして、水溶液のおもしろい性質について解説します。
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ナメクジに塩をかけると溶ける理由を考えよう
「ナメクジに塩をかけると溶ける」といわれますが、そもそも「溶ける」とはどうなることなのでしょうか? この疑問に答えるには、「浸透圧」について理解する必要があります。
水溶液の濃度を等しくしようとする「浸透圧」
図工などで使うセロハンには不思議な性質があります。下の図のようなU字管の真ん中をセロハンで区切って、片方に薄い食塩水を、もう片方に濃い食塩水を入れます。このとき、両側の液面の高さをそろえておくのがポイントです。
しばらくすると、薄い食塩水側の液面が下がって、濃い食塩水側の液面が上がります。水は通すが食塩は通さないセロハンがあるため、両側の濃度を等しくしようして、薄い食塩水側の水が濃い食塩水側に移動するからです。これが「浸透」と呼ばれる現象で、水の移動を引き起こす力が「浸透圧」です。浸透圧は、水溶液の濃度差が大きいほど大きくなります。
ナメクジは「溶ける」のではなく「縮む」
水は通すが食塩は通さないセロハンのような膜を「半透膜」といいます。実は、ナメクジの表面も半透膜で覆われています。そのため、ナメクジに塩をかけると、表面の食塩濃度が高くなり、浸透圧によって体内の水分が体外へと出ていきます。つまり、ナメクジは「溶ける」のではなく、体の水分を失って「縮む」のです。
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