繰り返されるケアレスミスを防ぐには「アクションスリップ」対策を
「また計算ミスしたの? 気をつけなさいってあれほど言ったでしょ?」返ってきたテストを見て、ため息をつきたくなる親は多いことでしょう。内容が理解できているにもかかわらず、単純なミスで点数が引かれているのを見るのは、親としても腹立たしいものです。でも、お定まりの「気をつけなさい」「よく読みなさい」「落ち着いて」という言葉では、くり返すミスを防ぐことはできません。
ミスをなくすためには、その原因を把握し、適切な対策をしていかなければなりません。ここでは多くの子供が犯しがちなケアレスミスの原因と対応策を紹介します。
Contents
ケアレスミスが多いA君
■実例
A君は、学習内容はきちんと理解できているのに、テストになると、小数点の位置を途中でずらしてしまったり、約分を忘れたり、円周の長さと面積を取り違えたりと、小さなミスをくり返しています。「気をつけなさい」というお母さんの言葉にも、本人は「わかっているから大丈夫」と、いまひとつ真剣にとらえていない様子です。
ケアレスミスをしがちな子供のタイプ
・ 普段から忘れ物が多い
・ 気分にムラがあり、やる気のある時とない時の差が大きい
・ 字が雑で汚い
行動の面で「ケアレスミス」をしてしまう「アクションスリップ」
思考や判断は間違っていないのに、行動の面で「うっかりミス」をしてしまうことを、心理学では「アクションスリップ(または単にスリップ)」と呼びます。計算ミスや単位のそろえ忘れなど、いわゆるケアレスミスと呼ばれるものに相当するのがアクションスリップです。
アクションスリップは、何かをしようとするときに、自分の行動をきちんと把握しないまま、習慣に任せて、自動的に行動するときに起こります。
計算や漢字の書き取りなど「体に覚えさせる」という言い方がありますが、その目的は、繰り返し練習して慣れることによって、やり方をひとつひとつ考えなくても、体が自動的に反応して、行動できるようにすることにあります。
これまで数えられないほど書いてきた自分の名前を書く場合には、字を考えることもなく、自然に手が動いているはずです。
ところがその一連の動作の中に、ふっと気をそらせるものが紛れ込んだり、よく似た別のものと取り違えたりすると、覚えたはずの体が誤作動を起こします。よくわかっているはず、慣れているはず、という場面で起こりやすいミスです。
アクションスリップを防ぐには
このミスへの最善の対処法は、自分の行動をモニターすることです。ちょうど駅員さんが指差し確認を行うように、自分が立てた式や解答もチェックしてやればよいのです。
「ミス・ノート」で自分のミスのしやすいところを見つける
テストが戻ってきたら、その日のうちに、どこでミスをしたかをノートに記録します。答案を丁寧に振り返り、間違えたところをそのままノートに写します。それから、ここで筆算をずらした、単位を間違えた、約分をし忘れた、漢字の送り仮名を間違えた……と赤ボールペンで訂正していくのです。こうしたノートを作成すれば、自分のやってしまいがちなミスに気づくことができます。
勉強するときは、ミス・ノートを手元に置いて、自分のミスしやすいところを確認しながら勉強します。単位のそろえ忘れが多かったら、式の段階で「単位よし!」とチェック。約分し忘れが多かったら、答えが出て安心する前に「約分よし!」とチェック。
送り仮名間違いが多ければ、漢字の書き取りが終わったら「送り仮名よし!」とチェック。「自動的な動作」ではなく、陥りやすいミスを中心に、ひとつひとつ確認しながら進んで行く癖を、普段からつけるのです。
そうすることで、一時的に時間がかかるようになったとしても、ミスをなくすことができます。ミスをなくすことで点数が上がれば、勉強に対するモチベーションも上がることでしょう。
※記事の内容は執筆時点のものです
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