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中学受験「夏を上手に乗り越えて、塾の成績を上げるための無料セミナー」レポート

2018年7月09日 鈴木恵美子

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去る2018年6月15日、東京・新宿にて『中学受験情報局 かしこい塾の使い方』と『マイナビ家庭教師』が、「中学受験・夏を上手に乗り越えて、塾の成績を上げるための無料セミナー」というイベントを共催しました。中学受験を目指す親子にとって夏休みをどう過ごすかは重要。夏期講習をかしこく利用しながら成果を出す方法や、夏の家庭教師の活用法が紹介され、集まった80名の保護者が熱心に聞き入りました。今回はその概要をご紹介します。

最初に登壇したのは「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」主任相談員で、「塾ソムリエ」として活躍する西村則康先生。受験生の夏の上手な使い方というテーマでお話をされました。

学年別「夏休みの大切な目標」とは?

「最近の大手塾の夏期講習は、勉強量が平常授業の数倍にもなります」と西村先生。しかも予習型授業が増え、新しく学ぶことと弱点補強を同時進行しなくてはなりません。限られた時間でのステップアップを目指すため、各学年別にそれぞれの夏休みの目標を掲げました。

●小4生の目標
①読み・書き・計算の基礎学力を高める
②考える=「書きながら解く」習慣を身につける
③一学期の復習と二学期の予習

※②は特に算数の応用問題で重要。すぐ式にあてはめて解こうとするのではなく、分かっていることをメモや図にしながら考える習慣をつけないと、本物の学力は伸びません。「どうすれば解けるか、書きながら考えてごらん」と常に子供に促すようにしましょう。

●小5生の目標
①基礎学力を高める(少数・分数の計算力、語彙力、問題を読んで理解する力)
②理解→納得へ(忘れにくい学習)
③一学期の復習と二学期の予習

※勉強量が増えると問題文を読まない子が増えます。この夏に「最後まで読む正しい習慣」を付けさせましょう。②の納得は「なるほど!」という感情の動きを伴った理解のこと。これにより、学習した内容を長期記憶として定着させることができるのです。

●小6生の目標
①弱点単元と項目の洗い出し→対策
②知識の再定着
③インプット型→アウトプット型の学習へ

※6年生の夏休みは、解き方を学ぶ(インプット)学習から、その場で解く(アウトプット)学習に切り替えるべき時期です。「授業で出された問題は、1問でも2問でもその場で正解する努力をしようね」と子供に言い聞かせましょう。また正解できなくても、頑張った過程をほめてあげましょう。

夏期講習の授業を全部消化するのはむずかしい

ところで塾の平常授業では、ひとつの単元を数週間かけて復習しながら定着させていくのが普通です。「それに対して夏期講習は多くの新単元を学ぶために繰り返す余裕がなく、一回の授業で完全理解を目指さなければいけません」と西村先生。しかしほとんどの子供にとって、一回の授業で全部を理解し、その日のうちに定着させるのはおそらく無理でしょう。

そんな理由から、夏期講習に普段の授業のつもりで参加すると何も理解できないまま過ぎていくことになりかねません。「ですから難しすぎる問題よりも解けそうな問題を優先し、授業内容の“一部定着”を目指すことが大事です」と西村先生は強調しました。

夏期講習の復習を家庭で効率的に行うには?

それでは、夏期講習中の家庭学習を効率よく進めるにはどうしたらいいのでしょうか。内容を取捨選択し、確実に定着させるコツの例として、西村先生は次の方法を紹介しました。

●「〇△×勉強法」
塾の授業で出題された問題に「○……簡単に解けた」「△……だいたいわかったけれど、少し自信がない」「×……授業中に解けず、先生の説明を聞いてもよくわからなかった」で印を付け、復習では〇×を捨てて△を最優先にします。これによって学習効率がグンと上がり、同じ勉強量で成績アップも可能です。

●その日の塾の授業を再現
一日に2問ほどで十分なので「今日解いてきた問題をお母さんに教えて?」と親御さんが生徒役となり、子供に授業の再現をしてもらいます。問題文を読み、ノートの書き込みを見て、先生からどんな説明を聞き、その時にどのように感じて納得をしたかを思い返すことで、授業内容が深い理解となって定着するはずです。

家庭学習の悩みは、家庭教師が関われば解決!

「とはいえ夏の家庭学習に関する困りごとは尽きないようです」と西村先生。「塾の宿題は全部やるべき?」「宿題の取捨選択はどうする?」「子供が学習内容を本当に理解しているのか疑わしい」という相談をよく受けるそう。「比較対象のない親御さんにとっては、わが子の理解レベルがどの程度で、どこに弱点があるのかを客観的に見るのはむずかしい。子供のモチベーションアップも考慮したうえで学習の戦略を考えられるのは、経験を積んだ本当のプロの家庭教師だと思います」と西村先生。

一方、「授業で理解できなかった問題が多い」「授業を思い出すのに時間がかかる」「分からない問題をすぐに教えて欲しい」「見張らないとちゃらんぽらんになる」など、塾の授業の再現や、見守りといったサポートによって解決する困りごとも多くあります。それについて西村先生は「誠実な教科力のある第三者が関わるとうまくいく。たとえば自分の体験も生かしながら子供を導ける、学生家庭教師のような存在です」と考えを述べました。

夏を最大限に生かす、プロと学生の「役割分担」

変わって『マイナビ家庭教師』事務局の運営主任が登壇。「学生家庭教師はプロの家庭教師に経験では及びませんが、学生だからこその良いところもあります」と、西村先生に技術指導を受けて活動している学生家庭教師のメリットについて、以下のように紹介しました。

●学生家庭教師は年齢的に自分自身の受験の記憶が新鮮なので、子供の立場になって指導できる。
●受験を経験した先輩として身近なロールモデルになり、子供のモチベーションアップにつながる。
●学生は夏休みに比較的時間の自由が利くので、夏休み期間だけ授業回数を増やすこともやりやすい。
●その場合プロの家庭教師に比べてリーズナブルなので、少ない費用負担で多くの指導が受けられる。

そしてプロ家庭教師と学生家庭教師それぞれのメリットを生かし、両方が関わることで学習効果をグンと高められると説明。「プロの家庭教師がその子供の弱点を見つけて対策・戦略を立案し、その学習計画を学生家庭教師が実行し、フォローする。このような役割分担によって、家庭学習の“質”と“量”を向上させることもできるのです」と締めくくりました。

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夏休みの学習を中学受験のステップアップにつなげるには、塾と家庭、家庭教師のそれぞれができることを把握し、役割分担を明確にすることがポイントです。上手な事前スケジュールで、ぜひ有意義な夏休みを過ごしましょう。

西村則康氏・プロフィール

プロ家庭教師集団「名門指導会」代表。
中学受験情報局「かしこい塾の使い方」主任相談員。
日本初の「塾ソムリエ」としても活躍中。40年以上中学・高校受験指導一筋に行う。コーチングの手法を取り入れ、親を巻き込んで子供が心底やる気になる付加価値の高い指導が評判。暗記や作業だけの無味乾燥な受験学習では効果が上がらないという信念から「なぜ」「だからどうなる」という思考の本質に最短で入り込む授業を実践している。また、学習指導だけでなく、受験を通じて親子の絆を強くするためのコミュニケーション術もアドバイスする。「中学受験は日常生活を犠牲にしてまで行うものではない」「主役は塾の先生や家庭教師ではなく、お子さんとご家庭だ」という「生活の延長線上の受験」を理想に掲げている。著書に『中学受験は親が9割』(青春出版社)、『中学受験基本のキ! (日経DUALの本)』(日経BP社)など、20冊を超える。

西村則康公式サイト  http://www.nishimuranoriyasu.com
名門指導会  https://www.meimon.jp
中学受験情報局「かしこい塾の使い方」  https://www.e-juken.jp

 

※記事の内容は執筆時点のものです

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