連載 「下剋上受験」桜井信一 特別インタビュー

中学受験は学力を伸ばす絶好のタイミング|「下剋上受験」桜井信一 特別インタビュー(7)

2017年3月03日 中学受験ナビ 編集部

両親は中卒、それでも娘は最難関中学を目指した! そんなインパクトある実話がベースのTBS系ドラマ「下剋上受験」……。その原作者である桜井信一氏に、自身が監修を務める「マイナビ家庭教師」のこと、中学受験のこと、勉強方法についてなど、受験生を抱える保護者はもちろん、すべての親御さん必見の話を聞いた。

普通の子が学力を伸ばすうえで絶好のタイミングなのが中学受験。この機会を逃すと挽回はむずかしくなっていく。一発逆転のチャンスはここしかない、のだ

――前回は、「解き方を覚える」という勉強法には限界がある、というお話でした。

そもそも暗記算数で記憶をたよりに答案を埋めること……これではほんとうに問題を解いているとはいえないのではないでしょうか。

本来、問題を解くというのはそんな機械的な作業じゃないんです。問題文を見た瞬間に次のアクションはどういうふうにして、どんな手順を踏めば答えにたどり着けるか、瞬時に判断しながら手を動かし、頭を回転させること。なにより答えにたどり着くコツを掴んでいることが大切なんです。

さらに文章題を解く、図形の体積を求める、どんな種類の問題であっても必ず計算して答えにたどり着かなければなりません。複雑な計算問題があまり出題されない学校であっても、絶対に必要とされるのが 「道に迷わず正確にゴールにたどり着く能力」です。まあカーナビゲーションのようなものですね。常に近道を選びながら進んでいかないとならないわけで、これはすごいことですよ。

道に迷わず短時間で目的地に着くことができるとなれば、いろいろと考える余裕ができてくる。それが体感できれば相当な力になる。これこそが「算数力」だと私は思います。

――「数字を見つめる目」を養ったり、「道に迷わず正確にゴールにたどり着く能力」を身につけたり……と、つまり中学受験では 「算数力」のレベルが問われているわけですね。

ええ、中学受験という機会を父娘で経験してみてつくづく感じます。小学校の高学年に猛勉強しなければならない中学受験は、普通の子が学力を伸ばすうえで絶好のタイミングだと……。

うちの子がもし受験勉強をせずあのまま中学生になり、そこからあらためて分数や小数、整数などの本質を見つめることができただろうか。広さ、かさ、速さはどうしてあんな公式なのかを掌握できただろうか。

おそらく中学校では負の整数を習い、方程式を習い、比例を習い、ゆっくり数を見つめる余裕もなくその場しのぎで解いていったことでしょう。うちの娘のことだから、ただただ真面目にそれらをこなしてくれたかもしれません。

しかし、結局得たものは公式の山。そんな付け焼刃の知識で高い水準の問題を攻略できるはずがない。ということはその段階でハイレベルの学校はもう目指せない。中学受験を経験してみて、そして中学や高校で習う数学の難易度を見て、そう思うのです。

――「高度な中学受験算数は無意味」といった見方も一部であるなか、桜井さんの「普通の子が学力を伸ばすうえで絶好のタイミングだ」という言葉には実感がこもっているだけに、強い説得力があります。

地頭のいい子は、まったく問題ないと思うんです。みんなが公式を習うときに、その理屈や仕組みを感じることができるのでしょう。そんな子は高校受験からのスタートでもグングン伸びるのかもしれません。そうじゃないと公立高校から難関大学に合格することの説明がつかなくなる。同じ時期に同じ単元を習ったからといって同じ結果になるとは限らないわけですね、当たり前の話ですけれど。

頭のいい子は普通の子とはひと味違い、小学校の学習のなかだけで、分母が異なる分数の足し算はなぜ通分しないといけないかを説明できるのでしょう。

でもうちの子は違う。少なくとも私の小学校時代は違った。分母が違うときは通分すると教えられた。でも掛け算のときにもうっかり通分してしまう。だって、理由なんて考えたこともなくルールだと思っていたわけですから。

――普通の子が陥りやすい傾向として、ルールに則り機械的に解いてしまいがち、と。

私は、中学受験塾にどうしても頑張ってもらいたいと思っているんですね。「もっと多くの人に中学受験を広めてほしい」そう思っています。小学校の高学年でハードな勉強をすることが先々どんな得になるか大声で説明してほしいと思うんです。中学受験は普通の子にとってかなり重要なタイミングだ、と。

小学校の勉強を普通の子が普通に習っただけでは、もはや挽回はむずかしいということを伝えてほしい。中学生になってから、頭のいい子以上の勉強量で頑張ってもなぜか勝てず、結局やる気を失うというパターンは想像に難くありません。

でも、もし小学校の高学年を極めたら展開は変わるでしょ? 成長との相関が非常にうまくかみ合っているという意味でも 「中学受験は貴重な機会」です。

どうかたくさんの人に中学受験の重要性に気づいてほしいと思います。大学受験までの一連の流れのなかで、絶妙のタイミングにあるのが中学受験だと知ってほしいと思うのです。一発逆転のチャンスはここしかないのですから……。

文◎「マイナビ学生の窓口」編集部

※この記事は「マイナビ家庭教師」Webサイトに掲載されたコラムを再編集のうえ転載したものです


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※記事の内容は執筆時点のものです