連載 プラスにする中学受験

【連載第7回】「プラスにする中学受験」~子供の自信をつけるには~

2016年5月20日 杉山 由美子

親も子も成長、発達できる機会にしたい。子供が自信をつけるために、いっしょに勉強しませんか。
いまもすてきな家族だなと記憶に残っている家庭があります。小6、中3、高3の3姉妹が受験。なんとダブルブッキングならぬトリプル受験のまっさい中で。

さらにお母さんまで資格試験を控えていました。家族中が受験モードです。共働きのお母さんとお父さんは3人の娘の塾の送迎、お弁当つくりを手分けしてこなしていました。居間は家族みんなの勉強部屋。それぞれの教材がこたつのそばにありました。

そこにはいい意味の緊張感がみなぎり、いい雰囲気が漂っていました。

「みんな必死。わたしもがんばっているから娘を監視する余裕もないの」

そう苦笑いするお母さんは、でもどこか幸せそうでした。

受験が迫ってくると、どの家庭もピリピリしてきます。つい子供にむかって参考書やドリルを投げつけ「そんなにやる気がないならもうやめなさい」と叫んだりしたことがあると打ち明けてくれたお母さんもいます。

「受験は家族イベントだと思って楽しんでやります」と言っていたお父さんも、受験が近くなると、夜遅く帰宅してから息子を叩き起して復習させたりしています。

受験は親を変身させます。でもそれほど熱をいれてがんばらせないと、いい成果は得られないというのも本当のところ。賢い母たちが選ぶ塾として一時話題になったS塾はあまり子供たちを追いつめず、講師を愛称で呼ぶような明るいゆとり塾でした。でも結果は思わしくありませんでした。

きびしくても全身全霊でがんばった体験のなかで子供は伸び、結果は成功ということになるのかもしれません。

でも親がヒートアップしすぎて子供の自尊心まで根こそぎ踏みにじってしまわないように自制することが大切です。

「だめね」「どうして成績がさがったの」「頭悪いのね」

といったマイナス評価は最悪。自分に自信をなくします。中学受験後、勉強嫌いになったら最悪です。「受験勉強頑張った」という自信が残るようにしてください。カッとして言った言葉は胸に残ります。

そのためにわたしはお母さんも、なにかチャレンジすることをお勧めします。そうすると自分だって毎日、目標まで勉強することはむずかしいこと、ついさぼってしまうことがわかって冷静になれます。

もっとも最近の母には「わたしは大学院の試験、昔取った杵柄で通ったけど、息子は中学受験落ちたわ」なんて言うひともいますが。

生涯、勉強の時代。お母さんも一緒に成長しませんか。

※記事の内容は執筆時点のものです

杉山 由美子
この記事の著者

出版社勤務をへて、フリーランスライターに。おもに教育、女性が働くことについて取材、執筆をしている。著書に『長男が危ない』(草思社文庫)『中学受験SAPIXの授業』(学研新書)『お金をかけずに「できる子」を育てる』(岩崎書店)など多数。