連載 プラスにする中学受験

【連載第6回】「プラスにする中学受験」~学校選びは居心地の良さが重要~

2016年5月06日 杉山 由美子

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学校選びは柔軟にできるだけたくさんの学校説明会に親子で足を運びましょう。大切なのは「友だちができる学校かどうか」を感じられること。

ひと口に私立中学といってもさまざま。校門から玄関まで歩いて10分もかかる玉川、関西では小高い丘陵地にある神戸女学院ような広い敷地をもつ学校もあります。戦後できた学校では桐蔭も広い敷地があります。
広い敷地がなくても人気が高いのは桜蔭中学。校舎は駅近ですが、運動場はありません。古びた校舎ではきびしそうな女教師が教壇に立っていました。黒板を食い入るように見つめるのはショートカットのボーイッシュな少女たちです。

近年ますます人気上昇の豊島岡も敷地は狭い。校舎は8階建て地下3階。立派な椅子完備の採光の取れた図書館、ピアノ室、お茶室、料理教室から、地下の体育室もいくつもありました。ここで少女たちは地味なセーラー服で運針をしていました。

私立中学校の設備や校舎はかなり異なります。宗教も違います。仏教、カトリック、プロテスタント、雰囲気が歴然と違います。

男女共学がふえましたが、内実は別学と呼べる学校も少なくありません。女子校の改革は目覚ましいものがあります。制服もセーラー服から洗練されたスーツに、進学実績もあがっています。補習授業もしてガンガン数学や理系科目も力を入れています。男子校では医学部進学実績を誇る学校がふえています。留学を視野に入れた進路指導もしている学校もめだちます。

しかし大事なことは、ここで「わが子は幸せな6年をすごせるかどうか」「友だちができるかどうか」です。取材してどの学校にもいじめもあり、不登校の子はいると知りました。でもいい学校ほど、校長先生はじめ教師は親身に対応しているとも知りました。だから親は信頼してわが子を託そうと思うのでしょう。思春期の繊細な時期、生徒にはいろいろな問題は起きるのです。

けれど学校が相談に応じてくれて、友だちがいれば、乗り越えていける確率は高いと思いました。「学校は成績のいい子にとって居心地のいい場所だから」ある校長先生のことばです。成績上位2割をキープできて、友だちがいる学校であれば、その子にとって居心地のいいところになるでしょう。そのことも考慮して学校を見つめてください。ちなみに親の出番は多いので、母にとっても居心地がいいか実感してください。

※記事の内容は執筆時点のものです

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