【中学受験に向けた計画の立て方】受験勉強スタート時期からすべきこと「小学4年生」編
中学受験で成功するために、欠かせないことを知っていますか? それは、いつまでに何をしておくべきか、受験当日から逆算した必須スケジュールを把握しておくこと。これを押さえておかないと、受験直前にシワ寄せがきて子供の心がポッキリ…なんてことも起こり得ます。そこで、中学受験を目指す親のお悩みアドバイザー・安藤由紀さんに、各年代でしておくべきことを聞きました。今回は「小学校4年生編」です。
入学前から小学校3年生までの記事はこちら
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小学4年生は、受験勉強の“基礎固め期”
小学3年生で入塾準備をこなしたら、塾の新4年生からいよいよ本格的な勉強がスタートします。とはいえ、本番まで残り3年。スパートを掛ける時期ではありません。中学受験を目指す4年生の目標は、受験勉強の基本ともいえる「正しい家庭学習習慣を身につける」ことです。
「家庭学習習慣の大切さは、「小学校低学年編」「小学校3年生編」の記事でも言及してきました。同じじゃないか、と思うかもしれませんが、それはまだ中学受験勉強に入る前の家庭学習のこと。
塾の4年生になってからは、『正しい家庭学習習慣で4年生の学習内容を身につけ、1週間のライフサイクルがうまく回るようにする』ということが大切なんです」(安藤さん、以下同じ)
子どもによっては、比較的早く1週間の流れに順応できる場合もあるそうですが、そう簡単ではないため「1年をかけてもいいテーマ」と安藤さんは語ります。4年生でやるべきこととともに、その重要性について解説していきましょう。
新4年生の2〜3月は、とにかく通塾生活に慣れる
「入塾直後の新4年生(3年生)の2〜3月は、先生も友達も授業の時間も『学校』とはまったく違う『塾』の環境に慣れることに専念しましょう」
その要因のひとつが、「家庭学習による復習」です。これにより、これまでと生活リズムが大きく変わります。この時期、勉強自体はそこまで難しくありませんが、それでも学校の授業とは異なる難しさですし、なによりも圧倒的に量が増えてきます。
親自身もはじめてのことに困惑してしまうので、親子ともに慣れる努力が必要です。
勉強が本格化…4月は“問題”が勃発しはじめる時期
「ようやく勉強に本腰を入れるわけですが、この時期に1度目の“問題多発期”を迎えます。それまでは中学受験の良い面を聞かされて過ごしたものの、本格的に勉強と向かい合ってみた子供たちは『こんなに勉強しなければいけないなんて!知らなかった・・・』と、現実とのギャップに驚くからです。そのため、“終わらない”“やりたくない”“言うことを聞かない”といった問題が起こりやすくなるのです」
そんなときに、ひとつのガス抜きとしても行なっておきたいのが「受験校の下見」。4〜5月にかけて行われる学校行事に合わせて親子で行ってみましょう。
6年生では下見をする余裕はないため、4〜5年生のうちに行うのが一般的。ただ、5年生のときに体調を崩したりすると、下見の機会が失われてしまうので、4年生のうちに1回、気に入っている学校には5年生でもう1回行ってみるのがよいでしょう。
「たいていは、春が文化祭なら秋は体育祭、といったように、年2回のチャンスが訪れます。門をくぐると各校で全く雰囲気が異なります。生徒に直接ふれあい校風を感じとる絶好の機会なので、逃さないようにしてください」
4年生の夏は、遊ばせてあげられる“最後のチャンス”
「やる気低下のピンチを乗り切ったら、すぐに夏がやってきます。夏期講習の時期ですが、4年生では『●●のクラスに入るために頑張らなきゃ!』と気張る必要はありません。それよりは、日々の家庭学習をきちっと押さえる方が大切。ある程度のレベルのクラスで受講できれば問題ありません」
そして、安藤さんは「4年生の夏で一番やってほしいのは“遊ぶこと”」と語ります。というのも、5年生になると思い切り遊べるほどの余裕はなく、まして6年生ではそもそも遊ぶことができないからだそう。
「夏期講習の宿題を終わらせたら、海、山、水族館、博物館…とにかくいろんな場所に遊びに行って、親子で楽しみながらたくさんの体験をさせてあげてください。ひとつ気にしてほしいのは、体験と知識を一致させるような関わり方をすること。
本や図鑑、地図で見たものを実際に見て触れる。たとえば、外で遊ぶときにポケット図鑑を持っていって、葉っぱや虫の種類を確認できるようにしたり。そんな経験をすると、『これってなんだろう?』という興味がどんどん高まります。最終的に、4年生以降の理科などで植物や昆虫の単元を学ぶとき『あ、これあのときみたやつだ!』という実体験と知識のつながりが良い学びと知識を定着させます」
難易度がグッと上がる秋。真面目な子ほど、悩みが深くなる
「秋になると、勉強のレベルがワンランク上がります。これまでも大変だと思っていたのに、解けない問題が増えてきます。量も増えた…もっと勉強をしないと追いつかない…やりたいこともたくさんあるのに全部できない…。そんな状況に陥ると、とくに優等生タイプのお子さんだと突然ストレスが表面化してしまうのがこの時期です」
じつはこの問題、安藤さんのお子さん自身が体験したこと。勉強に時間がかかり、好きなことをやりきれない日々のストレスから、身体的な症状が現れてしまったそうです。そんな経験を通して、安藤さんは解決策として、こんなことを語ってくれました。
「子供は、遊ばないと勉強できないものです。時間の許す限り思いきり遊ばせて、子どもの気持を満たしてから、笑顔で『じゃあ勉強はじめようか!』という流れで勉強をしてもらう。だからこそ、子供が『やってもいいかな』って思えるスケジュールで納得してやってもらうことが必要なんです。そうじゃないと、潰れてしまったり、逃げてしまったり、ただ塾に行っているだけ、という状況になります」
4年生の内容をクリアしないと、次のステージが困難になる
これと通ずる問題として、“4年生の学習内容は、4年生のうちにマスターする”ことも重要とのこと。
「遊びの誘惑、勉強の難しさや量に負けて、『今日はここまで、これ以上やりたくない』といったような学習態度だと、気づいた時には積み残しがたくさんできてしまいます。勉強量に潰されてしまうのは問題ですが、これはこれで問題です。5年生の単元は、よりレベルが高く、4年生の学習内容が定着していることを前提で組み立てられています。それに、毎週違う単元を進んでいくので、追いついていけなくなる。だから、4年生の時点で、家庭学習習慣をきっちり身につけたうえで、ひとつずつクリアしていくことのが大切なのです」
5年生の壁を登りきるために、4年生で土台をつくる
小学校4年生は、受験勉強の土台をつくる学年。来たる5年生の“壁”を登りきるための布石です。通塾生活に慣れ、学習内容をしっかりと理解・習得できなければ、次のステップに進むことが困難になってしまう可能性が高くなります。そのためにも「家庭学習習慣を含めた、1週間のライフサイクル」を確立することが大切なのです。
※記事の内容は執筆時点のものです
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