中学受験も有利になる!? 読書で伸びる「4つの学力」
一般的に中学受験は小学校で習う範囲を超えたレベルの問題を扱います。ですから、保護者としては「読書時間よりも、勉強時間のほうが重要では?」と考えるかもしれません。ですが、読書は中学受験につながる力を養います。今回は読書で伸びる「4つの学力」について解説します。
読書で伸びる学力1 ――「語彙力」が増える
「語彙」とは「言葉」のこと。したがって「語彙力が高い」とは、単語・熟語や慣用句、ことわざ、故事成語、比喩表現など「知っている言葉の意味が多い」ということです。語句の知識は入試国語でも頻出ですし、読解力や表現力とも密接に関わります。
読書は未知の言葉に出会えます。知らない言葉に出会うために読書すると言ってもよいくらいです。辞書的な意味を知らなくても、前後の流れやストーリー展開から大まかの意味をつかめます。語彙力は国語力の中でも重要な要素ですが、言葉の意味は、単語集や問題集で機械的に覚えるのではなく、文章を読みながら前後の文脈の中で「生きた言葉」として覚える方が身につくのです。
読書で伸びる学力2――「読解力」が磨かれる
「読解力」とは「読んで理解する力」のこと。「文章を読み情景が頭に思い浮かぶ力」とも言えます。たとえば、次の文章をお子さんと読んでみてください。
二人の若い紳士が、すっかりイギリスの兵隊のかたちをして、ぴかぴかする鉄砲をかついで、白熊のような犬を二疋つれて、だいぶ山奥の、木の葉のかさかさしたとこを、こんなことを云いながら、あるいておりました。
宮沢賢治『注文の多い料理店』より
さて、この文章からどこまで読み取れたでしょうか? お子さんに「登場人物は?」「出てくる動物は?」「場所は?」「季節は?」と質問してみましょう。
まず、若い紳士が2人登場します。「イギリスの兵隊」は紳士たちの装いを描写する表現で、登場人物ではありません。犬も出てきますね。「白熊」は比喩であり出てきませんが、大きくて白く毛並豊かな犬の様子がよくわかります。また、舞台は山奥で、季節は「木の葉のかさかさした」とあるので、葉が枯れて落ち葉が積もる晩秋から冬だと推察できます。
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