中学受験ノウハウ 習慣づけ

中学受験も有利になる!? 読書で伸びる「4つの学力」

2018年7月19日 石井知哉

一般的に中学受験は小学校で習う範囲を超えたレベルの問題を扱います。ですから、保護者としては「読書時間よりも、勉強時間のほうが重要では?」と考えるかもしれません。ですが、読書は中学受験につながる力を養います。今回は読書で伸びる「4つの学力」について解説します。

読書で伸びる学力1 ――「語彙力」が増える

「語彙」とは「言葉」のこと。したがって「語彙力が高い」とは、単語・熟語や慣用句、ことわざ、故事成語、比喩表現など「知っている言葉の意味が多い」ということです。語句の知識は入試国語でも頻出ですし、読解力や表現力とも密接に関わります。

読書は未知の言葉に出会えます。知らない言葉に出会うために読書すると言ってもよいくらいです。辞書的な意味を知らなくても、前後の流れやストーリー展開から大まかの意味をつかめます。語彙力は国語力の中でも重要な要素ですが、言葉の意味は、単語集や問題集で機械的に覚えるのではなく、文章を読みながら前後の文脈の中で「生きた言葉」として覚える方が身につくのです。

読書で伸びる学力2――「読解力」が磨かれる

「読解力」とは「読んで理解する力」のこと。「文章を読み情景が頭に思い浮かぶ力」とも言えます。たとえば、次の文章をお子さんと読んでみてください。

二人の若い紳士しんしが、すっかりイギリスの兵隊のかたちをして、ぴかぴかする鉄砲てっぽうをかついで、白熊しろくまのような犬を二ひきつれて、だいぶ山奥やまおくの、木の葉のかさかさしたとこを、こんなことをいながら、あるいておりました。

宮沢賢治『注文の多い料理店』より

さて、この文章からどこまで読み取れたでしょうか? お子さんに「登場人物は?」「出てくる動物は?」「場所は?」「季節は?」と質問してみましょう。

まず、若い紳士が2人登場します。「イギリスの兵隊」は紳士たちの装いを描写する表現で、登場人物ではありません。犬も出てきますね。「白熊」は比喩であり出てきませんが、大きくて白く毛並豊かな犬の様子がよくわかります。また、舞台は山奥で、季節は「木の葉のかさかさした」とあるので、葉が枯れて落ち葉が積もる晩秋から冬だと推察できます。

「読解力がある」とは、このように文章から場面の様子や情景が思い浮かぶということです。もちろん、技術の進んだ現代ですから、実写やCG、イラストやアニメーションを用いれば、一目見てわかるようにすることは可能です。しかし、それでは言語表現を汲み取り、そこから推理、洞察、思考する能力は養えません。だから、入試では読解問題を出すのです。

読解力強化には、実際に文章を読むのが一番ですから、読書は最高のトレーニングの場です。読解問題は国語では必出です。算数の文章題も「日本語を読み解いて数式で表す」という作業が求められますし、理科や社会の問題文も日本語で書かれます。読解力は全教科で重要なのです。

読書で伸びる学力3 ――「表現力」が豊かになる

作文試験で表現力を測る学校(公立中高一貫校など)も多いですが、そんなときに「好き勝手に書いてよい」と考えるのは大間違い。正しい日本語のルール(主語・述語、修飾・被修飾、接続表現など)に沿うのが前提です。

表現力は読解力や語彙力と連動します。「正しく書く」と「正しく読む」は表裏一体の関係なのです。日頃から読書に親しんでいる子供は、読むことを通じて、正しく伝わりやすい文の組み立て方や、文章の流れを自然と会得していきます。この結果、豊かな表現力が育ち、さまざまな言葉で話したり書いたりでき、作文も得意になります。

読書で伸びる学力4 ――「論理的思考力」が鍛えられる

「論理的思考力」とは「筋道を立てて物事を考える力」のことです。簡単に言うと、次の関係をとらえ考える力です。

● 原因 ⇄ 結果の関係(AだからB ⇄ BなぜならA)
● 具体 ⇄ 抽象の関係(AつまりB ⇄ BたとえばA)

人間は具体的思考から始まり、成長に伴い10歳前後から抽象的思考が可能になると言われています。ここで重要なのが「言語」です。人間は常に「言語を通じて思考」するので、言語活動(話す・聞く・読む・書く)が思考力の向上に直結します。

論理的な説明文は、小学校高学年から読む機会が増えますし、中学入試では頻出です。物語文は一般的に、登場人物の行動や感情、場面や情景など内容が具体的なので、読んでわかりやすい。これに対し、論説文は筆者の主張や因果関係が中心なので、抽象的です。具体例も述べますが、あくまで主張の理由付けや実証に留まります。このため、論説文が苦手な子が多いのです。

低学年からの読書で、具体的な文章はもちろん、抽象的な文章も理解しやすくなり、因果関係の把握力もつきます。こうして、論理的に考える力が育ちます。

読書の効果はとても大きなものです。ただ「中学受験 合格のために読書をさせる」という考えはおすすめできません。子供が「楽しい」「興味がある」という理由で喜んで本に手を伸ばす。それこそが、「4つの学力」を高めるのです。

※記事の内容は執筆時点のものです

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