
「下流」は「げりゅう」? ときに鋭い子どもたちの珍「読み方」とは|全力珍回答! ホメ夫先生のやる気引き出し術(21)
こんにちは、辻・アインシュタイン・ホメ夫です。6月5日、関東甲信地方が梅雨入りしたと発表されました。ジメジメした気候が続きますが、子どもたちは元気いっぱいです。今回は、そんな子どもたちのときに鋭い珍「読み方」をお送りしたいと思います。
子どもたちは、実にユニークに言葉を使います。それはときに意識的に、またときには無意識的に、我々大人が吹き出すような表現をします。
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「下流」は「げりゅう」?
理科の単元に「流れる水のはたらき」というのがあります。流水による侵食、運搬、堆積作用のほか、それら水の働きによってできる地形や地層を扱う単元です。
その単元の学習の中で「川の上流では侵食作用がさかんで、流れが遅くなる下流では堆積作用による三角州などの地形が見られる」といったことがらが出てきます。
その授業中、Hくんがこう発言します。
「先生、げりゅうには三角州ができるんでしょ」
「おいおい、そうだけど、読み方は『げりゅう』じゃなくて『かりゅう』だよ」
「だって『じょうげ』っていうじゃん。だったら『じょうりゅう』に対して『げりゅう』じゃないとおかしいよ」
大人もちょっと「ほほう」と思ってしまうような発想ですね。子どもたちの頭は柔らかいのです。でもよくよく考えてみれば「上下」も「じょうげ」だけでなく「うえした」とか「かみしも」とか、ときには「じょうか」とも読むんですね。「上下両院」など。
でも、子どもたちに言われてみて、あらためて「そういえばどうだっけ」と思うことは多いのです。
「りんじく」?「わじく」?
同じく理科の力学単元で「輪軸」というのが出てきます。大小の滑車をくっつけたもので、身近なところでは自転車の変速機などに使われています。チェーンやベルトが巻き付いている、後ろのタイヤの部分です。 ドアノブなどもこの原理ですね。ドアノブが中心の軸の部分しかなかったら、とても小さな力では回せないはずです。
この「輪軸」、みなさんどう読みますか?
「りんじく」ですよね?
だいたいの大人はそう読むと思います。この字面を初めて見る人でも、だいたいはそうでしょう。
でも6年生のOくん、いきなりこう発言。
「先生、『わじく』の大きい方の輪っかって……」
おいおい……、さすがに『わじく』はないだろう、というホメ夫に対してOくんの言い分は
「だって、『じく』が訓読みなのに、『わ』が音読みの『リン』なのはおかしいよ」
ユニークだ……。
熟語には「湯桶読み」(上の漢字は訓読みで、下の漢字は音読みで読む熟語:あさバン・とりニクなど)や「重箱読み」(上の漢字は音読みで読み、下の漢字は訓読みで読む熟語:ガクぶち・ホンやなど)もありますが、Oくんが覚えた「違和感」もわからなくはないなと思い、調べてみました。
すると……、「軸」を「ジク」と読むのは音読みでした。だから「リンジク」という読み方は非常に自然なものだったのです。ちなみに「軸」の訓読みは「しんぎ」だそうです。「心木」のことで「中心となる木」のことですね。
いやぁ、勉強になります。
そうやって調べたことを、次週の授業で子どもたちと共有して「へ~そうなんだ」なんてやるのも講師の楽しみの1つです。
「梅雨前線」は何て読む?
なかには、単なる読み違いなどで「おいおい……」というものも。
「浮力」という単元のテストで、
「液体中にある物体が液体から受ける上向きの力をなんといいますか」
という「超」基本問題。もちろんこたえは「浮力」です。
この問題のこたえをひらがなで書いたKくん。
ひらがなで書くこと自体は別に即NGというわけではないということは別のコラムでも書いたのですが。彼の書いた「浮力」は、
「うりょく」
おいおい……(T_T)
ある女子生徒、Yさんと話していた時のこと。「梅雨前線」の話をしていたのですが、なんとなくYさんの「梅雨前線」の発音に違和感を覚えたので、
「ちょっと、ひらがなで『梅雨前線』書いてみ」
と言ってみたところ、
「は~い」
と彼女が書いたのは……、
「まいう~ぜんせん」
なんでやねん……(T_T)
※この記事は、「マイナビ家庭教師」Webサイトに掲載されたコラムを再編集のうえ転載したものです
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※記事の内容は執筆時点のものです
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